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Serena*Mのあたまのなかみ。
バットマンシリーズ/蝙蝠一家とそのお相手

駒鳥が兄弟設定ないつもの俺アース話。

ウェインさん家の豪邸にはルームシアター(と云うよりかは軽めの試写室)があって、月に一回家族で映画鑑賞会してそうだな~って妄想から。

第一回 第二回





事の始まりはデートの日取りを決めようとした時の話だ。


ゴッサムの派手なネオンを見下ろしたブルースの背後から、クラークはそっと伺う。

「ブルース。良かったら、今度の週末…」

ブルースは少しだけカウルを傾かせて低く答える。

「Noだ。家族と予定がある」

“家族”と言われて強気にクラークはなれなかったから、「そう」と悲しげに呟いて闇夜へと飛び立って行く。

赤いマントが小さくなるのをブルースはじっと見上げていた。


「僕の家に久しぶりに泊まりに来ない?」

ゴッサムの屋敷で最新型のVRゲームに興じていたジョンがダミアンを誘う。

「いつだ?」

「学校が終わった金曜日とか」

コントローラーを激しく連打しながら言うと、ダミアンは首を振った。

「その日は予定があるから無理だな」

彼もコントローラーを扱いながら短く答える。

「そっか、残念」

ジョンは言って、ガッツポーズをした。
――どうやら、ゲームをクリアしたらしい。


地下の基地でドローンの修理をするティムに、コナーはのんびりと問いかける。

「ねぇ、ティム。明日、デートしようよ」

彼の誘いはいつも突然だったが、対するティムも慣れたもので眉1つ動かさず断ったのだった。

「無理。先約がある
 って言うか今会ってるんだから別にいいだろ?」

「お外で~~~デートしたいの~~~~」

コナーはばたばたと抗議したが、結局ティムにその願いが聞き届けられることはなかった。


――そんな3人からジェイソンに連絡が入る。

『ねぇ、金曜日の夜って何してるの?!』





返信をするより早く集まってきたクリプトン人たちは行儀よく座ってジェイソンを見上げる。
唯でさえ狭いアパートに血気迫るクリプトン人が集まったものだから、更に気温が上がった気がしてジェイソンは換気扇を回した。

「――で、何の用だ」

不機嫌な声を出しつつも、急な来客に冷たいコーラを差し出して家主は尋ねる。
ジェイソンの言葉に3人は声を揃えた。

「「「明日、何するの!?」」」

控え目だとは言っても興奮した彼らの声量は人間であるジェイソンには凶器となった。
キーンと耳鳴りした頭を振って、ジェイソンは答える。

「…明日?
 明日なら屋敷に行くだけだが…?」

「何か重要な用件なの?」

デートの誘いを断られたコナーが迫る。

「…や?別にそんな用でもないと思うけど」

「でも家族で集まるんでしょう?」

今度迫ったのはクラークで、

「お泊り会よりも重要な用件なんだ、絶対何かある!」

父の言葉にジョンが続ける。

「…?
 別にそんな重要な用事でもないと思うぞ」

ジェイソンは彼らが何故そんなに鬼気迫っているのか分からず、首を傾げながら溜息を吐く。

「「「だって僕らと会うより重要な事だよ!一大事じゃないか」」」

相変わらず興奮した3人はまた、ジェイソンに鼻息荒く迫った。

そんな彼らを哀れな視線で見遣って、ジェイソンは静かに答えたのだった。

「明日は家族でホラー映画を鑑賞する日だよ」





『ホラー映画』

その言葉にクリプトン人は部屋の隅に蹲る。

「ここここここわっ!!!!!無理!!!!!!絶対無理!!!!!!!!!」

ホラーゲームでサバイバルナイフだけでハードモードをクリアできるコナーが声を震わせる。

「ほ、ホラーってあれだろ…!?人形が急に動いたりとか悪魔が乗り移るやつ…!」

顔を白くさせたブルースが頷く。
隣では父の腕をしっかりと握ったジョンが「SADAKO…」小さく呟いた。

――彼らは苦手なのだ。
超人と呼ばれ、地球上で怖いもの知らずの生命体はホラーやスプラッタに対して異常な恐怖心を抱いていた。
以前、JAPANにある“OBAKEYASHIKI”の話をしたら途中でコナーが気を失ったとティムが話してくれたこともある。クラークは絶対に夏場の悪魔特集のチャンネルに合わせないとブルースが笑っていたことも思い出した。

「…来るか、明日」

ジェイソンがコーラを片付けながら訊ねると、3人は首をぶんぶんと振る。

「あ、明日は急ぎで仕上げなきゃいけない原稿があるから…」

「ちょっと家の用事を思い出しちゃったから、帰るね」

「が、学校の宿題溜まってたから!」

珍しく早口で3人は言うと、慌てて裏の窓から天空へ駆け出してゆく。

彼らが飛び立った後の埃に咳き込みながら、そろそろ部屋の掃除でもするか、ジェイソンは独り呟く。
思った後、自分よりも掃除の適任者が居たのを思い出して真夜中にも関わらず意中の人へ通話ボタンを滑らせた。

『Hi、ジェイソン!君から電話なんて珍しいね。明日のこと?』

「いや、今から会えないかと思ってさ」

『…いいよ。東通りのバーまで迎えに来て』

恋人の声がぐんと色を帯びたのを感じて、ジェイソンは愛車のキーを引っ掴んだ。


――家族との映画鑑賞会と、恋人とのデートはまた、別の話。
恋人がホラー映画が苦手じゃなくて良かったなと、ヘルメットの中でジェイソンは少しだけ笑った。


*おしまい*

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