Serena*Mのあたまのなかみ。
キャプテンアメリカ/バキステ・バキもや
タイトルの本ネタはRENT
Twitterで春夏秋冬で推しを想像するから忙しいね~~~!って呟きを見たので軽率に妄想してみた短編集。
タイトルの本ネタはRENT
Twitterで春夏秋冬で推しを想像するから忙しいね~~~!って呟きを見たので軽率に妄想してみた短編集。
Spring:さくら
兵士にだって休みの日はある。
上官にもあたる幼馴染のスティーブは『休みなんて必要ない』とダダをこねたが人間、たまの休みだって必要だぞと兵舎から遠く離れたピンクの花を咲かせる樹木が植えられた公園へと連れ出す。
つい先週あたり、この公園に彼女と来たと言っていた兵士の話を小耳に挟んで大切な友人とこの土地では珍しいと云う【チェリーブロッサム】を見たくなったのだ。
「なぁ、綺麗だろ?」
バッキーは傍らのスティーブを見遣る。
満開を過ぎたのだろうその樹木は、ちらほらと緑の新芽を覗かせていたが淡いピンクの花は見事で、鞠のように丸くぽんぽんと咲き誇っているのだった。
「…うん…凄く、綺麗だ…」
見上げるスティーブの瞳はキラキラと輝いていて、遠出した甲斐があったなと心の内に頷く。
「ほら、バッキー、見て…」
スティーブが振り返った時、突風が吹いてバッキーは目を細める。
薄い視界の先にスティーブの姿がブルックリン時代のあのがりがりに痩せたもやし野郎に見えたから、慌てて彼はスティーブの腕を掴んだ。
「…バッキー?どうしたの?痛いよ」
もう一度見つめた幼馴染は、自分と背丈の変わらない筋肉質な“キャプテン・アメリカ”の姿で、
あの姿が自分の見せた幻影だったのだとバッキーは気付く。
「ぁ…悪ィ…」
慌てて離すと、スティーブは首を傾げて微笑った。
「僕が消えるとでも?」
――全く、天然の体をして幼馴染は時々鋭いことを言う。
肩を竦めたバッキーに、スティーブは唇を寄せた。
「…安心して。
ずっと一緒にいるよ」
Summer:向日葵畑
スケッチがしたいと幼馴染に連れて来られたのは、家からそう遠くない郊外になる向日葵畑で照りつける太陽に負けじと大輪の花を咲かせた其れは、普段芸術に興味のないバッキーですらも「見事だなぁ」と思う景色だった。
ちょうど良さそうな木陰を見つけたので並んで其処に座り、スティーブは鞄から絵画道具を取り出す。
慣れた手つきでスケッチブックに鉛筆を走らせる彼は目の前の風景に没頭していて、傍らのバッキーの存在なんて忘れてしまっているようだった。
手持ち無沙汰になってしまったバッキーは彼の横に転がると、ぼんやりと幼馴染を観察する。
平均よりもずっと小さい体格に見合う、薄い肉付き。
骨ばった細い腕。
父のお下がりだと言うズボンは相変わらずブカブカで、サスペンダーだってサイズが合っていなかった。
今度のクリスマスプレゼントは新しいサスペンダーにするかな、バッキーは欠伸を噛み殺す。
真剣な目つきはずっとひまわり畑を凝視していて、きっと彼の青い瞳には黄色いひまわりが写りこんで綺麗な黄金色なんだろうなと想像する。
金色の睫毛も、その髪の色も。まるでひまわりだと気付いてバッキーか声を漏らす。
「…何か面白いことでも?」
視線を逸らさずに口を挟んだスティーブに、今思った事を素直に口にした。
「いや、お前は俺のヒマワリだと思ってさ」
対するスティーブの返しは冷たい。
「…は?暑さで頭が可笑しくなったのか?」
やっぱりスケッチを続ける幼馴染に、バッキーは瞳を閉じた。
「…そうかもな。
ちょっと寝るよ。どうも寝不足みたいだ」
Autumn:夕陽が沈む海
夕方のランニングは、今日はちょっと趣向を変えようかと夏場は開放的なビーチになる砂浜まで走り込んできた。
相変わらず涼しい顔をして走るスティーブに、少しだけ息の上がったバッキー、そして2m離れたところからやっと追いついているのは二人の親友のサムで彼はさっきから
「タンマ!ちょ、タンマ!
止まれ!!!!じーさんず!!!」
そうずっと前方の二人に叫び続けている。
「サム!そんなに騒ぐと余計に体力を消耗するよ!」
爽やかに振り返ったスティーブに、バッキーも不敵に笑う。
「若者よ、修行が足りないぞ!」
「…ったく…!」
サムは思い切り嫌な顔を作ったが、もうこれ以上走るのは無理だと前線を離脱する。
「その辺にいるから、迷子にはなるなよ!」
一度、ニューヨークの地下鉄で目を離したら逆方向の地下鉄に乗って大変な思いをしたからサムは釘を刺す。
「大丈夫!たぶん!」
やっぱり爽やかにスティーブが振り向いて手を振る。
砂浜の上に直に座るのは砂が着くし靴にも嫌と言うほど砂が入り込んでたから、やれやれと頭を抱えながらサムは波打ち際にから少し離れた流木の上に腰を下ろす。
鮮やかな夕焼けを背景に走る二人の影は長く、絵になるような一枚だった。
みるみるうちに小さくなる二人の背中に、今日の晩飯はどうしようかとサムは考える。
暫く波打ち際を眺めていると、ようやくスティーブとバッキーはサムの下に駆け込んできた。
夕焼け色だった空は群青が増して、夜の帳が下りるのも近い。
「サム、腹が減った」
仏頂面のバッキーに、スティーブの顔が心なしか赤いような気がしたがサムは敢えて気にせず、歯を見せて笑った。
「さ、帰って飯にしようぜ」
Winter:冬の星座
「…雪…」
クリスマスマーケットの帰り道、ふと足を止めてバッキーが空を見上げる。
もうすぐクリスマスのこの季節、雪が降るのは珍しいことではなかったけれどやっぱりなんとなくウキウキと心が弾んでしまうものだった。
「わぁ、ほんと!」
傍らのスティーブもバッキーに釣られるように天を見上げる。
大都会であり、現代のこの地域はあの頃に比べて見える星は少なくなっていたものの、一等星は肉眼で見つけられる事が出来た。
冬空に大きく出来上がった三角形を見つけて、星座を見つけるのは子供の頃によくした遊びだった。
三角の近くに三つ並んだ星も見つけて、スティーブはあの頃と変わらない星空に喜ぶ。
「ねぇ、あの星ってなんだっけ?」
空を指差すスティーブの鼻が赤くなっていて、なんだか妙に其れが彼を幼く見せさせる。
「ん?」
バッキーは恋人の肩を抱くと頬を寄せた。
「冷たいよ、バック」
くすくすと笑うスティーブにバッキーは彼の冷えた頬を食む。
「そんな星空ばっかり見てないで俺の事も温めて欲しいんだが?」
悪戯っぽくウインクしたバッキーに、スティーブは頬を真っ赤にして首を振った。
「え、ぇ、ちょっと、バッキー!」
目を白黒させるスティーブに、今度は真面目にバッキーは向き合う。
「100年前も、100年先も。
変わらない星空のようにずっとお前の傍に居るよ」
彼の言葉に、スティーブが俯く。
恥ずかしくなったのか、彼はバッキーの手を取って駆け出した。
「雪も降ってきたし、早く家へ帰ろう。
僕達の我が家へ」
「そうだな、お前がまた風邪引いたら困るしな」
おどけて返したバッキーに、スティーブは満面の笑みを向けた。
「ねぇ、バッキー。
君と僕はきっと、この世界の連星なんだろうね」
*おしまい*
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