touch me now

ダンケルク/ファリコリ

ファリコリに夢を見すぎてることは重々承知しております。
二度寝したら空組の夢を見たので其れをそのまま書いた一篇。

コリンズが目を覚ますと其処にファリアの姿はなく、ベッドサイドに腰掛けてぼんやりと窓の外を見入っているようだった。

「おはよう、ファリア」

ゆっくりと身体を起こしながらコリンズが声を掛けるとファリアが此方を向く。
優しい朝の光にぽってりとした唇が陰影を落としていて、ただ、好きだなぁとしみじみと思う。

「おそよう、だ」

対するファリアの返しは冷たい。
けれど振り向いた瞳は温かいのは知っていたから、さしてコリンズは気に留めずファリアの広い背中に頬を寄せた。
がっしりとした肉付きの、肩甲骨のところに指を滑らせてコリンズは昨晩己が付けた引っ掻き傷の存在に気付く。

「…ごめんね、痛かった？」

背中越しに呟くと「いや」ファリアの声が耳に響いた。

「…お前の方こそどうなんだ」

珍しく身体を気遣う発言をしたのは、昨晩の情事が激しかったと自負しているからだろうか。

「今日が休みの日で良かったなぁ…っては思うけど」

コリンズはゆっくりと刈り上げられたファリアの項へと手を伸ばす。

「…嬉しかったから、平気、かな」

彼はそのまま恋人の背中に頭を押し付ける。

「なら、いい」

相変わらずファリアの声は低く、短い。
けれどそれがコリンズには心地よかった。

「あ、ファリア…」

彼は何かを思い出したようにもぞもぞと彼を離れ、ベッド脇に置いた小瓶をファリアに手渡す。
派手な黄色の蓋の付いた其れは所謂『潤滑剤』と呼ばれる代物で2人が愛を確かめる上で必要不可欠なモノだった。

「…無くなりそう」

コリンズはファリアの隣で膝を抱える。
ちょうど陽の当たるその場所はコリンズの柔らかい金髪をキラキラと反射して、ファリアは少しだけ目を細めた。

「使っちまうか」

彼は呟く。

「…そんな義務的に」

額に皺を寄せながら蓋を捻る恋人に、コリンズは苦笑する。

「陽の光だよ、陽の」

ぶっきらぼうにファリアは続ける。

言葉とは裏腹に、彼が優しいのは充分コリンズは承知していたから少しだけ扇情的に彼を誘った。


「…じゃぁ、此処にファリアが塗って」


幾つもファリアの独占欲が散らされた、薄い肉付きの太ももを見せつけながら。

「後でどうなっても知らないぞ」

潤滑剤を掌に垂らしながらファリアが見下げたその視線に、背中にぞわりと電撃が走る。
触れても居ないのにぴくりとした恋人の本能に、ファリアは薄く笑った。

「…この強請り上手め」

「仕込んだのは、ファリアでしょ――」

目尻を染めたコリンズの唇に先に喰らい付いたのはファリアの方で、

やっぱりこの唇が好きだなぁとコリンズはその柔らかい感触を楽しむ。


――その日1日を彼らが如何過ごしたのかは誰も知らない。
けれど、残り少ないローションをすっかり使い果たしたのは事実だった。


＊FIN＊

夢だから私が考えたネタではあるんだろうけど。
脳って凄いね。
因みに私はコリンズ目線でした。