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Serena*Mのあたまのなかみ。
やりたい放題設定なアベンジャーズ④
その① その② その③


世界:
キャップ超人化及び冷凍、バッキーもウィンソル化済み。
WS時⇒キャップ(もやし)への愛の力により洗脳強制解除、そのままヒドラを物理で壊滅。ご都合主義でヒドラ時の記憶も持ったままなので素直にトニーに事の次第を暴露、険悪な雰囲気になったもののシビルウォー勃発せず、そしてピエトロも生きてる。全体的にアベンジャーズメンバーは仲良し。


キャップ(妻)
:金髪碧眼童顔雄っぱい美尻のバッキーのお嫁さん。童貞非処女。初めての子育てにてんやわんやな日々。旦那さんは任務で居ないし割とワンオペ。現在キャプテンアメリカは休業中。

バッキー(夫)
:片腕義手のイケメン色気野郎。長年のヒドラの洗脳をキャップを見ただけで自己解除した、ある意味拗らせたキチガイ。
現在はヒドラの残党処理のためシールドのエージェントとして活躍中。長期の潜入任務が多くてあまり家庭に居られないのが悩み。

ロビン(1)
:シールドのシモンズ博士の指揮の下誕生した、キャップとバッキーの遺伝子を引き継ぐ試験管ベイビー。
父似のブラウンヘア、母譲りの空色のタレ目。人見知りはしないタイプ。超人の子供ではあるけれど特別な能力があるのかは不明。
※名前の由来はキャップとバッキーの親愛なる隣人、サム(ファルコン/ハヤブサ)から

~AVGメンバー~
ワンダ
:ロビン大好きワンダお姉ちゃん。念力で玩具を浮かせて人形劇をしてくれるサマはまるで魔法使い。

ピエトロ
:口は悪いが根は優しい。バッキーがチョコバーを食べ過ぎないように見張っている。ワンダがロビンの気を引いているうちに高速で玩具を片付ける係。

ピーター
:親愛なるリアル隣人。ロビンのベビーシッターをよく頼まれる。ロビンがなんでも口にするのでダメなモノはウェブシューターで壁に貼り付けるタイプ。


***

「ウチの可愛い駒ちゃんに会いたい」

スタークタワーの最上階、居心地の良いジャズが流れる日曜のお昼過ぎ、兄と一緒にだらしなくソファに寝そべっていたワンダが漏らす。

奥のデスクでPCと睨めっこしているトニーがモニターから視線をワンダに移したが、何も言わないでまたモニターを凝視する。

「“ウチの”ってお前のじゃないだろうよ、ロビンは」

妹に押し潰されながらタブレットを操作していたピエトロが言ったが、ワンダはそんな兄のタブレットをトントンと叩いてスティーブから送られてきたロビンの動画を流し始めた。

長身のスティーブに抱かれたロビンが画面いっぱいに手を伸ばす。

『ほら、ロビン。ワンダお姉ちゃんにありがとう~って』

スティーブがロビンのスタイをカメラに写そうとすると、撮影者のバッキーの手が伸びてよく見えるようにと広げてくれる。

『あうー』

そのまま父にほっぺをふにふにと突かれてロビンはご機嫌顔だ。

『とっても素敵なスタイを有難う、ワンダ。この通りヨダレ魔神だから本当に助かるよ…』

映像はスティーブに移り、彼が抱いたロビンの口元を拭う所で映像が切れる。
ほんの30秒程の動画だったが、ワンダが(可愛いからと勝手に)贈ったプレゼントにも律儀にお礼の画像を送って寄越すものだから、ますますワンダはロビンにメロメロになるのだった。

「ロビンとは先週会っていますよ」

キッチンで食器を拭いていたヴィジョンが口を挟む。
“人間の感情を理解したい”と一生懸命な彼だったが、未だにワンダがロビンに向ける愛情は理解しきれてないようだった。

「いいわよ、一人で行くから」

ワンダは言うと兄の腕枕から頭を引き抜く。

「俺も行くよ。此処に一人で居たってつまんないし」

妹に続き、ピエトロも立ち上がるとヴィジョンが「何かお土産を用意しますか?」と聞いてきたのでワンダは素直に頷いた。

「美味しい紅茶が良いかな。この前、ナターシャが美味しい紅茶のお店を教えてくれたの」

「コーラも持って行こうぜ。あのじーさんにコーラメントス教えてやりたいんだ」

一人で腹を抱えて笑い始めたピエトロにワンダは冷たい視線で一瞥すると、トニーがフライデーにピーターへの伝言を録音していた。

『ピーター?私だ。
 これからウチの双子がそっちに行くから面倒を見てやってくれ』

「“ウチの”ってなによ?」

「“ウチの”ってなんだ?」

ワンダとピエトロ、2人同時に振り向いたのでヴィジョンが「双子のリンク率って凄いですね」と斜め上の感想を述べるのだった。





玄関のチャイムを鳴らすと、珍しくこの家の主人であるバッキーがドアを開けた。

「…どうぞ」

任務が一段落したのだろうか。
普段シールド本部で見かけるより疲れて見えたが、その表情は柔らかかった。

「もうピーターは来てるぞ」

彼は続ける。

「これ、お土産」

ワンダが紙袋を渡そうとしたがバッキーは短く頭を振る。

「スティーブに渡してくれ。俺は置き場所も何もわからん」

「…新作のチョコバーだと言ったら?」

バッキーの返しにピエトロが口を挟む。

「それなら話は別だ。寄越せ」

手を伸ばしたバッキーに、ワンダはさっと紙袋を背中に隠した。

「残念。今日は美味しい紅茶よ。そしていい加減にチョコバーは卒業したら?
 そのうちロビンの大好きなブーベアになっちゃうわよ」

――ブーベアとは幼児番組に出てくる大きな熊のぬいぐるみで、ロビンのお気に入りのキャラクターだった。

「ロビンに好かれるならブーベアでも良いかもな」

「その前に糖尿病になっちまうだろ」

そんな軽口を叩くうちにリビングへとたどり着く。

「ピエトロ、ワンダ!よく来たね」

キッチンで食洗機に食器を仕舞っていたスティーブが顔を上げる。
ソファでは先に来ていたピーターがロビンを膝に乗せて手遊びをしている所だった。

「スティーブ、今日は急な訪問でごめんなさい。
 迎えてくれてありがとう」

ワンダが礼儀正しくスティーブへと紅茶の袋を渡す。
綺麗なエメラルドグリーンの其れはイギリスの老舗のもので、ナターシャがお気に入りのブランドだった。

「逆にこちらこそ、いつも悪いね。そんなに気を遣わなくても良いのに…
 今度は手ぶらで遊びに来てよ」

スティーブが優しく微笑んだので、ワンダもつられてにっこりと笑った。

「今日はバッキーが居るのね、珍しく」

「あぁ、そうなんだ。
 今朝早くに返ってきてね。また夜には出かけてしまうんだけど…」

「あら、それじゃか家族団らんのお邪魔だったかしら…」

「いいや。
 バッキーには仮眠を取って欲しかったからね。君たちが来てくれるとロビンもご機嫌で泣かないしとっても助かるよ。僕一人だとどうも上手くロビンと遊べないんだ…」

少しだけ悲しそうに眉を曇らせたからワンダは励ますように肩を叩く。

「貴方はとっても良いお母さんだと思う。私の母も貴方みたいに素敵な人だったもの…」

スティーブがほっとした表情で頷いたので、ワンダも頷き返すと早速リビングで遊ぶピエトロたちの輪の中に入っていった。

「こんにちは、ロビン。ワンダお姉ちゃんよ」





眠そうなバッキーを二階の寝室へ仮眠させ、ピエトロとワンダ、それにピーターがロビンを囲む。
まだロビンは人見知りをしない子だったから遊んでくれる兄たちの登場に嬉しそうにぱたぱたと手を振るのだった。
スティーブは大人の目があるうちに、と大急ぎで夕食の支度を整え、部屋の隅で山になっていた洗濯物を畳む。
あのキャプテン・アメリカの所帯染みた行動に最初こそ驚きすれ、今ではそれが“普通”だったので誰もさして気にする風もない。

ワンダが念力でおもちゃを動かして人形劇をするのを、不思議そうな、きらきらした目で見るロビンを見るのがスティーブのちょっとした楽しみだった。

「あ、今日メントスコーラしようと思ってたのにすっかり忘れてた」

ソファで何度目かのブーベアのエピソードを見ていたピエトロが思い出したようにぽつりと呟く。

「ダメだよ、あれ。室内でやるべき事じゃない」

隣でピーターが難しそうな本を捲りながら返す。

「メントスコーラ?」

キッチンでお茶の準備をしていたスティーブが首を傾げる。

「知りません?これ」

ピーターが慣れた手つきで腕時計を弄ると飛び出したホログラムからまるで火山の噴火のように沸きあがるコーラの映像が流れた。
彼は隣のピエトロにメントスコーラの科学的説明をしているようだったが、彼の顔は“意味が分からないし聞いてない”ただそれだけだった。

「…わぁ!」

その実験を初めて見たスティーブが素っ頓狂な声を上げる。

やっと寝息を立てたロビンの頭を撫でていたワンダが、しぃっと人差し指を唇に充てた。

「あっ、ご、ごめん…」

スティーブが小さく謝る。ロビンは寝つきは良かったけど眠りが浅く直ぐに起きてしまう子だったし、今日はお客さんがいて興奮していたからなかなか寝付くのが悪かった。

「もうすぐケーキが焼きあがるから、そしたらティータイムにしよう」

スティーブがオーブンを覗いた後にキッチンカウンターから顔を出す。

「僕、スティーブおじさんのアップルパイ大好き!」

目を輝かせたピーターに、スティーブがはにかむ。

「アップルケーキとパイだけはバッキーも褒めてくれるんだ」

「なんだよ、惚気かよ」

目を細めて無表情になったピエトロにスティーブが「必ず運命の人は見つかるよ」そう力づけた。
その時、オーブンが電子音を響かせてケーキが焼きあがった事を知らせる。

「お、じゃぁオレは冬眠中のブーベアを起こしてくるよ」

ピエトロが立ち上がり、一瞬にしてその場から消える。

「僕、紅茶運びます」

ピーターもキッチンに行ってしまったのでワンダは一人、ソファに残されたロビンの頬を優しく撫でた。

「…貴方も早く大きくなって美味しい紅茶とアップルケーキでティータイムにしましょうね」

リビングには優しい午後の光が注ぎ、まるで聖母マリアとイエスのような宗教画の長い影を落としていた。

*おしまい*

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