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Serena*Mのあたまのなかみ。
やりたい放題設定なアベンジャーズ③
その① その②

息子が熱を出してオロオロするキャップとエロテロリストバッキーの話。





世界:
キャップ超人化及び冷凍、バッキーもウィンソル化済み。
WS時⇒キャップ(もやし)への愛の力により洗脳強制解除、そのままヒドラを物理で壊滅。ご都合主義でヒドラ時の記憶も持ったままなので素直にトニーに事の次第を暴露、険悪な雰囲気になったもののシビルウォー勃発せず、そしてピエトロも生きてる。全体的にアベンジャーズメンバーは仲良し。


キャップ(妻)
:金髪碧眼童顔雄っぱい美尻のバッキーのお嫁さん。童貞非処女。中身は生娘。キスする時は呼吸を止めちゃうタイプ。
現在キャプテンアメリカは休業して子育て中。

バッキー(夫)
:片腕義手のイケメン色気野郎。エロテロリスト。長年のヒドラの洗脳をキャップを見ただけで自己解除した、ある意味拗らせたキチガイ。
現在はヒドラの残党処理のためシールドのエージェントとして活躍中。

ロビン(3)
:シールドのシモンズ博士の指揮の下誕生した、キャップとバッキーの遺伝子を引き継ぐ試験管ベイビー。
父似のブラウンヘア、母譲りの空色のタレ目。ピエトロお兄ちゃんと追いかけっこするのが大好き。
※名前の由来はキャップとバッキーの親愛なる隣人、サム(ファルコン/ハヤブサ)から

~AVGメンバー~
ワンダ
:趣味の1つが料理。創作料理はあまりせず基本に忠実なタイプ。最近はロビンの苦手な野菜料理を研究中。

ピエトロ
:若干妹の尻に敷かれ気味の優しいお兄ちゃん。外遊びはパワフル。

ナターシャ
:ロビンにメロメロな親戚のお姉さんポジション。趣味の良い洋服をよく買ってくる(押し付ける)。

クリント
:ワンダとピエトロのお父さん。子供で困った事があれば何でもクリントへ相談を!

トニー
:財布の人。根は良い人なんだけど素直じゃない。


***



冬にしては温かい、小春日和の1日だったからすっかり油断してしまったのだろう。
薄着で1日中走り回っていたロビンだったが、夕方になると頬を紅くしてぐったりと母であるスティーブにしがみ付いてきた。

「あちゅい…」

額に手を当て、唯でさえ高い子供の体温がもっと高くなっている事に驚く。
大丈夫、言い聞かせるように背中を擦ると通りがかったトニーが減らず口を叩く。

「なんだ、超人の息子でも風邪か?」

隣にナターシャに思い切り裏拳を叩き込まれ、彼女は心配そうにロビンを覗き込む。

「…病院、行く?」

子供と言う生き物は“病院”と言う言葉に敏感なのを知っていたから、スティーブでも分かるロシアの言葉で話すと向いのソファに座っていたクリントが口を挟んだ。

「…子供の熱だ。こんな時間にERに行くほうが変な病気を貰ってきちまう。
 今夜はチキンスープでも飲ませて暖かくして寝かせてやるんだな。朝にはけろっとしてるだろうさ」

3児の父の言葉は適切で、ワンダがふわふわとしたブランケットをそっと手渡す。
空色の雲模様の描かれた其れはロビンのお気に入りで、ワンダがこの前のクリスマスにプレゼントしたものだった。

「…外で遊ばせ過ぎたか?」

申し訳無さそうにワンダの後ろで縮こまるピエトロにスティーブはそっと頭を振る。

「ピエトロに沢山遊んで貰って疲れちゃっただけだよ。ちゃんと着替えさせなかった僕の責任だ」

彼は小さな息子をブランケットで包んでそっと父と同じブラウンヘアにキスをする。

「…まま…」

か弱くロビンも腕を伸ばしたから、それだけでもう、その場に居る全員が胸を締め付けられるような辛い気持ちになった。

…ほんの少し前まではのんびりとした日曜のティータイムだったというのに。
久しぶりにトニーたちアベンジャーズのメンバーが遊びに来るから、と必死で家を片付けて、ホームパーティーをしたけれど、お開きの時間は呆気なく来てしまった。

――ロビンの父であるスティーブは先月から長期の潜入任務のため不在だ。
時々、短い連絡はあるものの、顔を合わせて話す機会には全く恵まれなかった。
熱の出たこの子を抱え、どうしたら良いのだろう。
相談したくてもバッキーはこの場にいないし、初めでの事に彼はただ狼狽えるだけだった。

「…私、何か作っておこうか?」

彼の不安げな表情に、ワンダがリビングの皿を片付けながら提案する。
彼女の趣味の1つに料理があったし、今日持参してくれたカッテージチーズとインゲンのサラダとチキングラタンはインゲンの嫌いなロビンでもお替りをするほど美味しい一品だった。
熱を出して不安な子を抱え、一人で料理や後片付けをするのは“母”の精神面でもよくないだろう。今だって、充分に不安げな表情を浮かべている。
敵と対峙すれば、的確に指示を出すあのキャプテンアメリカが、だ。

「ピエトロ」

ワンダが目配せするとピエトロが頷く。
彼はワンダの意図したことが分かっているようで隣のナターシャの腕を掴んだ。

「オレ、ほうれん草と小松菜の違いも分かんないからさ。教えてくれよ」

ナターシャがその意味を察知していいわよ、と片眉を上げる。

間髪居れずにトニーから投げられた財布を受け取って、2人は颯爽と玄関のドアへと消えた。

「悪いよ!」

思わず立ち上がったスティーブを、トニーが宥める。

「誰もじいさんの為にとは言ってない。
 一番辛いのはその子だ。子供は母と一緒に居るのが安心だろう?」

相変わらずの憎まれ口ではあったが、それでも彼がロビンを心配してるのは伝わったので素直にスティーブはロビンを抱きしめて、またソファに座った。
小さなロビンは不安なのだろう、ぎゅっと母にしがみ付く。

「…お父さんは洗い物って得意かしら」

遠ざかるエンジン音にワンダが重ねると、バートン家の大黒柱はおどけて笑う。

「毎週日曜のランチを用意するのはオレの仕事なんだ。後片付けまできっちりとやってるよ」

彼は大きい息子を安心させるようにぐりぐりとスティーブの頭を撫でて立ち上がる。

「…坊主を着替えさせて、子守唄でも歌ってやりな。
 そうすれば完璧にこの部屋だって片付いてるさ」

「…ありがとう…」

見回したスティーブの青い瞳に、皆への感謝と安堵からかうっすらと涙が浮かんでいた。





ロビンをパジャマに着替えさせて、子守唄を聞かせて暫くすると規則正しい寝息が聞こえたのでスティーブは部屋のモニターを起動させる。様子をチェックしながらリビングへ戻ると其処は既にもぬけの空だった。
キッチンには大きな鍋にくつくつと美味しい香りのチキンスープが残されていて、冷蔵庫に張られたホワイトボードにワンダの文字なのだろう、可愛らしい筆記体が並ぶ。

『勝手に冷蔵庫を開けてごめんなさい。
 中には貴方用のサンドイッチが入ってるわ。ありあわせのもので申し訳ないけど、食べて元気を出してね』

「…みんな…」

呟いたスティーブの声に、スマートフォンからロビンの声が響く。
どうやら浅い眠りで母が居ないことに泣き出してしまったようだった。

慌てて二階へと駆け上がり、小さな息子の手をぎゅっと握る。
母の姿を確認すると、ロビンは満足そうに息を吐いて目を瞑った。

いつまでそうしてロビンの姿を見ていただろう。
普段よりも赤くなった頬に、時々不安になってそっと身体を揺する。

薄く目を開けたロビンに安心して頭を撫で、またお腹をとんとんと撫でて。

――遠い遠い昔、熱を出したバッキーもこんな気分だったのかなと思うと無性に彼に会いたくなって、
『大丈夫だよ』と言って欲しくて……妙な寂しさが彼を支配した。
ずっと、ずっと。
愛する人にこんな気分にさせていただなんて。

「…まま…なくの…め…」

スティーブの嗚咽に気付いたのかロビンがそのぷくぷくした手を伸ばす。

「…泣いてないよ、大丈夫…」

目尻に溜まった涙をそっと拭うと彼は息子を抱き上げた。

少し休んだからだろうか、最初に比べていつもの体温に近い気もする。

「ワンダお姉ちゃんがね、ロビンに、ってチキンスープを作ってくれたよ。食べれそうかな?」

尋ねるとこくんと頷いたので、やっとスティーブも不安から解消されて優しく微笑んだ。

「…パパが帰ってくるまでに元気にならなきゃね」







『ロビンが熱を出したって本当か?』

真夜中を過ぎて、スティーブ専用の回線にバッキーからの緊急連絡が入る。

「あれ、バッキー。任務は…」

『スタークから連絡があったんだ。1分でも顔見せてやれって』

――全く、素直じゃないなぁとスティーブは苦笑する。

「うん。今は寝てるよ。ワンダがチキンスープを作ってくれたんだ。みんな優しかったよ…」

『…俺が傍に居ないときに、ごめんな。不安だったろ?』

薄くキッチンが透けて見えるホログラムにバッキーの悲しい顔が映し出される。
子供の心配よりもスティーブの心配をするバッキーは“父親”として自覚が足りないのだろうか。けれど、そんな事はスティーブにとってはどうでも良いことだった。
バッキーは変わらず、自分の心配をしてくれている――

「僕ね、バッキーに謝りたくって」

『何を?』

「ロビンが熱を出してるとき、ずっと不安で仕方なくて。
 でも何も出来なくて手を握ったりするくらいしか出来なくてさ」

画面の向こうでバッキーが頷く。

「ずっとこんな思いをバッキーにさせてたのかと思うと…僕は…」

『スティーブ』

彼が俯いたのでバッキーが優しくその名を呼ぶ。

『あれは勝手に俺が世話を焼いてただけだ。お前は気にしなくていい。
 今日だって一緒に居てやれなくてごめんな…』

彼の夫は相変わらずのプレイボーイで、目の前に居たらきっとこのままキスしちゃうんだろうなぁとスティーブは少しだけ考えて、ちょっとだけ残念だなと苦笑した。

『…愛してるよ、スティーブ』

どうしてスティーブの気持ちはバッキーにいつも筒抜けなのだろう。
お得意のウインクを一つ残して、夫との回線はプツンと途切れた。

残されたのは冷えたリビングの沈黙だけ。


きっと、話すことなら謝る以外にも沢山あったのかもしれない。
ロビンの話だってしたかったし、庭の鉢植えの話もしたかった。
けれど、彼が選んだのは遠い2人の昔話で、“母”とは違う話題だった。

だからきっと、似たもの夫婦だと言われてしまうのだろう。

テーブルのモニターから小さくロビンの声が聞こえたので、スティーブはまた階段を駆け上がった。
けれど今は不安な表情はなく、満ち足りた慈愛の表情を浮かべていた――


*おしまい*

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