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Serena*Mのあたまのなかみ。
DCコミック/ウェイン一家

俺アースによる今日も平和な駒鳥兄弟たちの恋人妄想。
ほんのりクラブルとジェイディク。





広い広いウェインのお屋敷に、兄弟其々に個室の部屋を持っていました。
長男・ディックは長子らしくブルースの寝室と同じ並びの、一番南向きの日差しが心地よい大きな部屋を、
次男・ジェイソンは「群れるのが嫌いだ」とお屋敷の離れに、
三男・ティムは地下に膨大な専用のコンピューターと専用回線とともに、
四男・ダミアンは率先して屋根裏部屋を。

休日こそ暖炉の大広間で、家族一緒に過ごす事の多い兄弟でしたが普段は其々の自室で好きに過ごすのがお決まりとなっておりました。

ある三日月の晩のことです。

大きな窓のカーテンに人影を見たディックはそっと薄いレースのカーテンを覗きました。
人影は向こうの大きな窓に消えてゆきます。この位置から分かるのはその窓の部屋が父であるブルースの寝室です。チラリと見えた赤いマントに彼はその人物がスーパーマンであり、父の恋人であるクラーク・ケントだと諒解しました。
夜空にシグナルはまだ輝いていませんでしたから、2人はつかの間の逢瀬を楽しむのでしょう。

ディックはそっとカーテンから身を引くと柔らかいナイトガウンを羽織って何処かへと駆け出します。
彼も、彼の恋人に逢いたくなったのでした。





ジェイソンの部屋は『お屋敷の離れ』ではありますが実際は壊れた機械や試作品の失敗品を詰め込んだ倉庫の一角でした。
無機質なリノリウムの床に直に置かれたマットレスが彼の住居スペースで、あとはがらくたから拾って適当に回線を繋げただけのモニターだけがこの部屋と外界を繋ぐ唯一の手段でした。
倉庫の出入り口にはこれ見よがしに南京錠がぶら下がっていますが、あくまでお飾りであってしっかりと電子ロックを含むセキュリティでこの倉庫は守られておりました(面白そうだから、とこの部屋のセキュリティを構築したのはティムで解除方法はブルースですら知りません)。

ジェイソンは半分寝転がってぼんやりとモニターを見ながら、夜食としてアルフレッドのサンドイッチを平らげていた時です。
背後の金属の梁が震えた気がして彼は天井を見遣りました。

「…見つかっちゃった」

ほの暗い冷えた天井に、一層濃く人影が動きます。

「どうやって入った?」

ジャムとピーナッツバターの塗られた甘いデザートのようなサンドイッチを胃に押しやって、ジェイソンは短く吐き捨てます。シュワシュワのジンジャーエールを飲み干すと、その人物は彼の前に軽やかに降り立ちました。

「…ふふっ、秘密。
好きな人に会いに来たらいけない?」

小首を傾げた仕草は少女のように可憐で、薄暗いこの部屋にぱっと明りが灯ったようでした。

「…」

ジェイソンは足元に置いたカーボンヒーターの熱量を上げます。
倉庫と言う建物の特製上、断熱材の無いこの広い空間は夜になると酷く寒くなるのでした。言葉だけはぶっきらぼうでも、彼は兄弟の訪問を歓迎しているようでした。

「こうするともっとあったかくなるよ?」

その人はジェイソンの上に圧し掛かるとぎゅっと彼を抱きしめます。

「…これだけで満足なのか?」

不敵にジェイソンが笑います。
彼はその人のガウンの合わせを掴んで引き寄せると乱暴に口付けました。

柔らかい上唇をなぞり、下唇ごと吸い上げます。
激しいその仕草に、ガウンの人物――ディックは思わず上擦った吐息を漏らしました。

ぷっくりと紅く染まった唇になった彼は同じように目尻も染めてジェイソンを見下ろします。

「…そっくりそのまま君に返すよ、その言葉」

――彼は真下の弟の熱い欲望を感じていましたので不敵に笑い返し、今度は彼から唇を重ねたのでした。





「…ねぇ、やっぱりもう少し良いマットレスにしない?」

がっしりとしたジェイソンの腕に抱かれてディックは呟きます。
随分と年期の入ったマットレスは所々のスプリングが外れ、真ん中部分だけが凹んだまま歪な形で“寝やすい”代物ではありませんでした。

「別にお前が寝るワケじゃないからいいだろ…」

そうジェイソンは答え、ディックを包み込むように後ろから抱えると綺麗に切りそろえられたうなじに顔を埋めました。
確かに普段此処で眠るのは部屋の主であるジェイソンですし、本人が困っていないのであれば外野であるディックが口を挟む問題でもありません。それに、こうして彼が訪ねた時もジェイソンはいつも下から快楽に溺れた兄を見上げている事が多かったのでした。

「…そうなんだけど」

ディックは小さく言うと、そのまま恋人の腕に体重を預けます。自分とは違う雄の匂いに妙な安心感を覚えて、彼は深い眠りへと落ちていきました。
規則正しく上下する恋人の背中を確認すると、ジェイソンもティムにセキュリティの強化を頼もうと思いながら意識を手放したのでした。





翌朝、シグナルの点灯が無かったのでしょうか、ウェイン邸の大広間で珍しくクラークも椅子に腰掛けて朝食を取っていました。
相変わらずブルースは眉間に皺を寄せたまま経済新聞に目を通しています。

「おはよう、父さん。それにクラークも」

朝の挨拶と共にディックと、それにダミアンが部屋に入ると其々に返されます。
ティムとダミアンは既に朝食は済ませたようで、綺麗に平らげられたお皿だけが残されていました。

デザートのフルーツを口に運んでいるクラークの向かいにディックが、ジェイソンは隣に腰掛けます。
アルフレッドが目覚めの珈琲を運んできてくれたので飲もうとカップを取ったところで、クラークは悪戯っこのようにジェイソンにウインクしました。

「僕も騎乗位って好きだよ」

「!!」

ジェイソンの顔が凍りつき、ディックが少しだけ恥ずかしそうに俯きます。

「…クラーク」

経済新聞から目を離さずに告げたブルースはクラークの扱いに手馴れているようでした。

「おっと、ごめんね。刺激が強すぎたかな?」

おどけて笑ったクラークに、やっぱりコイツは大嫌いだとジェイソンは改めて思います。

「じゃぁ、僕はこれで。
 また会いに来るよブルース。アルフレッド、美味しい朝食をご馳走さま!」

ごく自然にブルースの額に口付けをして窓を開けたクラークに、やっぱりブルースは経済新聞から目を上げずに「普通に玄関からは来れないのか」と呟いたのでした。

大広間ではクラークの残した爆弾発言により、妙な沈黙が流れていました。
もっとも、気を遣っているのはディックとジェイソンの2人だけで、ブルースは意に介していないのだけかもしれませんが。

2人が押し黙って朝食のプレートを食べていると新聞を読み終わったのかブルースが静かに席を立ちます。ジェイソンの隣を通った時、彼はうら若い恋人たちに伝えました。

「…あまり無茶は、するんじゃないぞ」

――無茶、ってどんな?それは父として?それとも同性のパートナーを持つ者へのアドバイス?

あまりに情報が詰め込まれたその言葉にディックとジェイソンは顔を見合わせ、そして彼が広間を出たのを確認すると思い切り笑ったのでした。

「僕、父さんの子供で良かったよ」

食後の紅茶を運んできたアルフレッドに、笑いすぎて流れた涙を拭きながらディックは言います。

「そう、嫌いになれないのがまた辛いよな」

珍しく軽口を叩いたジェイソンに、アルフレッドは目を細めて微笑みました。
私の子育ては間違っていませんでしたと、彼が大広間の暖炉の上に飾られた先代のウェイン家当主の写真を見遣るといつもと変わらない肖像の筈なのに、今日は微笑んでいるように見えるのでした。

ピカピカに磨かれた大きな窓の外には太陽が白く輝いています。
また新しいウェイン家の1日がこれから始まろうとしていました。


*FIN*

あぁうん、です・ます調でEROとか無理な話だった。
R18ジェイディクは別件で(真顔)

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