Serena*Mのあたまのなかみ。
どのCPでもそうだけど、恋に落ちる瞬間を考えるのは楽しい。
気付いたら好きだった、ってパターンでもLikeがLoveになる一瞬ってあると思うんだよね。
自分に無かった青春を二次元に押し付ける(笑)
気付いたら好きだった、ってパターンでもLikeがLoveになる一瞬ってあると思うんだよね。
自分に無かった青春を二次元に押し付ける(笑)
感情なんて、一時の気の迷いなんだと思う。
永遠に物事は続かないし、モノも、感情もいつかは壊れる。
その場しのぎに、誰かを好きと勘違いしたり、嫌いだと思い込んでみたり。
なんて人間って複雑なんだろう。
ゲーテの小説を読みながら、スマイルは思った。
昼休み、教室の隅で女子が恋愛話に花を咲かせている声が聞こえる。
中学校に入り、昔のようなイジメも無くなった。
教科書のラクガキや、上履きを隠されたり、そんな些細なものばかりだったけれど、やはり此処は中学校。
最初は面白がってつっかかってきた奴らも、反応の無いスマイルに飽きてそれを止めたのだった。中学には部活や試験もあったし、そっちの方が忙しいのもあったのだろう。
理由はどうあれ、スマイルにとっては平和な毎日になったのだった。
そんな中学2年生のある日のことだ。
終礼が終わって教室を出ると、廊下にペコが座り込んでいる。
いつも教室の中心で、バカ騒ぎしている彼がこうして大人しくしているなんて珍しい。
「どうしたの?」
肩に掛けたサブバックを掛け直しながら尋ねると、ペコは潤んだ瞳で告げた。
「…告白、された…」
――そう、恋だの愛なんて、一時の気の迷い。
けれど、スマイルの世界は一気に色褪せたものとなった。
身の入らない部活をしながら、話を纏めると、こうだ。
告白してきたのは、同じクラスのフクシマさん…の友達のAさん(名前までは教えてくれなかった)。
フクシマさん経由にラブレターなる恋文を渡されたのだと云う。
今度の日曜日に、一緒に江ノ島水族館に行きましょうと誘われたと。
ペコがらしくなく、ぽつぽつ話すその度に、スマイルの眉間の皺がどんどん深くなる。
心なしか、無表情と言うより鉄仮面のような張り付いた表情しかしなくなったので、ペコは喋るのを止めた。
こんな時は、そっとした方が身の為だ。自分の話を聞いて欲しかったペコは、別の部員の所へ行くと別の話題で盛り上がって、そして笑っていた。――どうやら、恋愛相談はスマイルにしかしていないらしい。
スマイルはちょっと、胸を撫で下ろしたが、まだ自分の感情に気付いていないようだった。
その日の部活帰りは、珍しく別々に家に帰った。
一緒に過ごした事も無いのに、どうしてペコのことが好きなの?
どうやって好きになったの?
英語の辞書を捲りながら、そんな事ばかり頭に浮かぶ。
ペコは友達なのに。小学校の頃からの、大切な友人なのに。
どうして『告白された』と聞いてから、胸の奥が痛くてモヤモヤとした感情が沸きあがるんだろう。
「あぁッ!」
昂ぶった感情を抑えることが出来なくて、スマイルにしては珍しく声を荒げるとベッドの枕を思いっきり床に叩き付けた。
友達じゃないか。
なんで素直に応援できないんだ?
深く深呼吸をして床を睨みつけても、
数学の答えのように直ぐに答えは出てこなかった。
今日は日曜日。
ペコがそのAさんと初デートする日、だ。
タムラに行ってもアクマにドヤされるだけだし、一人、彼は駅前の商店街をブラブラと流していた。
ついでに本屋に寄って本を買って帰ろう。そう考えて、駅ビルに入っている大型書店へと足を運ぶ。
入り口の新刊コーナーでは、夏を前に海や山、レジャーなんかをテーマにした本を特集していた。その中の1冊の表紙に惹かれて、そって本を開く。中表紙は綺麗なスカイブルーの紙で、ぼこぼことした模様が水面を彷彿とさせる。
表紙を飛ばして1章を見ると、真っ白なページに綴られた一言。
――この夏、僕は友達に恋をした――
その本の友達が同姓なのか異性なのか。頁を進めなかったから、スマイルには分からない。
けれど、最近不機嫌だった彼の、心のピースがかちりと埋まる音がした。
――あぁ、僕はペコが好きなんだ。
感情なんて、一時の気の迷い。
永遠に物事は続かないし、感情もいつかは壊れる。
その場しのぎに、誰かを好きと勘違いしたり、嫌いだと思い込んでみたり。
それは、いつもスマイルが思っていること。
だけど、その感情だけは違うと、彼は確信出来た。
叶わない思いだと、それは中学生でも分かる話だ。
だから、ペコを応援しよう、傍で笑って貰えるように、ずっと、一緒に。
認めてしまえば、今までの苛々さは嘘のように、スマイルの心は軽くなった。
携帯を取り出して、本当に久しぶりに、ペコにメールを送る。
TO:ペコ
FROM:スマイル
TEXT:
江ノ島水族館、楽しんでますか?
はしゃぎすぎて、水槽に落ちないようにね。
明日になれば、また今までと同じように、笑って過ごせる。
だから、今日だけは…
スマイルの頬を涙が伝った。
本屋の入り口には、駅ビルの夏のポスターが貼られている。
魅惑的な視線で、こちらを振り返るブロンドのモデル。
――誰のためでもなく、私のために
サマーバーゲン 7/3から開催★☆★
本格的な夏が、もうすぐ迫ろうとしていた――
*FIN*
タイトルはゲーテの【若きウェルテルの悩み】から。
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