月と星が交わるとき

ショタペコとショタスマイルが浮かんだので書き殴った。
膝小僧は（略）

そして記念すべき50本目。
萌ってすげぇ…そしてこえぇ…

『僕、ペコみたいになりたいんだ』

そう幼馴染が云うから、コイツはオイラになりたいんだと、
オイラだけの秘密基地や、大好きな卓球場、それに先生に怒られた時の対処法なんかを教えてやった。
きっと、そうすればスマイルだってオイラと同じになれると思ったから。

オイラにばっかり教えて貰っては悪いと、スマイルはオイラの宿題を一緒に見てくれるようになった。

実はオイラも頭の良いスマイルに憧れてたから、オイラも頭が良くなってスマイルみたいになれるンじゃないかって思ったけど、
いくらオイラがスマイルにオイラの事を教えても、オイラがスマイルから勉強を習っても

オイラはスマイルになれなかったし、
スマイルもオイラになれなかった。

放課後、オイラはスマイルと手を繋ぐ。

「なぁに、ペコ？」

昨日の夜に放送していた映画（母ちゃんに黙って起きてたからすっげぇ怒られた）で、お互いの手を合わせると二人の血が入れ換わって同じになるって、そんなシーンがあったから試そうと思ったんだ。

「ん、こうして手を合わせるとお互いの血が入れ替わって…」

「…昨日の映画だね。
　でもあれはヴァンパイアの話だし、あれは爪で指を傷つけてからするんだよ」

おぉ、スマイル流石だ。映画、ちゃんと観てら…

いくらオイラとスマイルが掌を合わせても、伝わるのが体温ばかりでそれ以上の進展は何もなかった。

「やっぱり、オイラがスマイルになるのも、
　スマイルがオイラになるのも無理なん――」

云いかけた言葉を、スマイルが遮る。

「…此処なら」

スマイルが指さしたのは、さくらんぼ色の唇。

「？」

「此処なら、きっと伝わるよ…」

もじもじと、スマイルが視線を下げて
教室に差し込む西日が一層強くなった気がした。

キス、って云うんだろうか。
ドラマで見たことがある。

「…いい、ンか？」

スマイルの肩を、両手でしっかりと抱いて、

小さく頷くスマイル。眼鏡の奥の瞳が閉じたのを確認して、オイラの唇を押し付けた。


教室が真っ赤に染まるほどの西日。
小学校5年の、オイラとスマイルの思い出――


＊おしまい＊