炉心融解

なんか気持ち悪いスマイル（平常運行）

君の唇を奪う夢を見た。
抵抗する君に平手打ちをして黙らせて、
大人しくなったところでもう一度その柔らかな唇に喰らい付く。
酸素が欠乏して力が抜けたのを見計らって両手を締め上げて、
制服のボタンをひとつひとつ、外してゆく。

また君は其れを嫌がるから、悲しくても僕は君の頬を殴って
口の端から落ちる、一筋の紅い体液がどうにも僕を昂ぶらせて

乱暴に君を掻き抱く。

暴君は僕自身なのか
これは唯の欲望なのだろうか

夢の中の僕は知る由も無い。




「どした、スマイル？」

急に話を振られて、僕は眼前に迫るペコに焦点を合わせる。
場所は学校の図書室。
珍しくペコが調べ物がしたいと、此処に借り出されたのだ。

「…ん、何？」

僕は平静を装って吐き返す。

「なンか、ぼーっとして」

「いつもと変わらないよ。
　ところで、調べ物は終わったの？」

僕は読みかけの本を閉じて尋ねる。
――内容なんて、全く頭に入ってこなかったけれど。手に取ったのはランボオの詩集だった。

「まだ★」

きひひひ、と悪戯っぽい微笑みを浮かべて、彼はまた広げた百科事典に夢中になる。

熱心に活字を追う其の文字にすら少しだけ嫉妬して
僕はそっとペコを見遣る。


ねぇ、ペコ。
君は毎晩僕に酷く犯されているのを知らない。
大きな瞳を涙に濡らせて懇願して
おあずけばかり食らわせて
しなやかなその肢体は僕だけの甘い果実。

机の下の熱い昂ぶりを抑えて、僕は小さく息を吐く。


いつか、君を

君と――そうして愛を語らいたい。



ああ、時よ、来い
陶酔の時よ、来い



目に留まった、ランボオの詩が脳裏に焼きついて離れない――


＊FIN＊

アレです、リンちゃんのあの曲。
ランボオはレオ様のトータルエクリプスが良いです。