大旦那さまと高校生

お耽美系スマイルとペコ。
お耽美ってなに！！！！と叫びながらだらだらと（昔やってたCMのハイジちっくに）
文学少女ぶりながら、寺修とかばっかり読んでたので（その割には内容頭に入ってない）
谷潤とか鴎外さんとか読んでないんスよね？
あぁエリス可哀想（物凄い言い訳）ユキチの文は高尚過ぎて頭に入らん。

まぁ…アレだ。

耽美主義難しい。
ああなんだつて苛々する。そんな感じ。

ちょうど、校門を出たときにひら ひらと粉雪が舞った。
強い風では無かったけれど、暫し立ち尽くして目を細める。
細い視界に映るのは、風にはためくペコのマフラー。
紅が、白に映えて綺麗だった。

「冬がくんね」

鼻の頭を赤くして、ペコが呟く。
かじかんだ手をこすり合わせて、それは祈りの姿にも見えた。
彼の長い睫に、小さな雪の結晶がふわりと彩っている。
気にならないのかな。
考えたけれど、美しいのでそのままにしておいた。

「…ねぇ、ペコ」

半歩先を歩く彼を、そっと呼び止める。

「なんだ？」

首を傾げた彼にスマイルは首を振る。

「…ごめん、なんでもない」

この時間が、永遠に続けば良いのに。
粉雪が舞う世界に、君と二人きり。

ぎゅっと抱きしめて、君の冷たい手を、顔を――全てを温めてあげたい。



暖かな暖炉のある大きな洋館に、
君は黒のワンピースのメイドさんで。

僕は書斎に篭る大地主になろうか。

君の全ては僕にあり、僕が全ての君を統括する。
その服も、所作も、その笑顔も。

その全てを剥ぎ取ったら、君は君と意識も無くて
君の仮面を被った僕、と云うことになる。

ねぇ、ペコ――


「スマイル？」

急に覗き込まれて彼の思考は洋館に佇む大地主から一介の高校生へ、現実に引き戻された。

「…なぁに、ペコ」

少しだけ、先の余韻を残した声で。

「いンや、なんでも。」

さっきの彼と同じく、ペコは何でも無いと首を振ると
また、手を合わせて息を吹きかけた。

「…何か、あったかいもの飲んで帰ろうか」

スマイルの提案に、ペコは嬉しそうに頷いた。
天上の天使も裸足で逃げ出すようなその笑顔に、もう一度スマイルの想像は洋館の大地主へと飛ぶ。


全部、わたしのもの。
僕だけのもの――

白銀に沈む世界に、紅をはためかせながら
暖かい珈琲を求めて、帰路に着く。


＊FIN＊