ヨアケ×オトマリ

スマイルの寝相は良さそうだけど、ペコって寝相悪そうだよね、ってそれだけ。
ペコはタオルケットとか口元に無いと安心できない甘えっ子タイプだと思うんだけど、どうだろう？

その日は、鳥の声が煩くてふと意識が現実に戻された。
揺れるカーテンの外が、まだ仄暗いから夜明けはもう直ぐか、それか夜が明けて直ぐか。
少し伸びをしようとして、スマイルは左腕が妙に重いことに気づいた。
ぼやける視界に目を凝らすと、そこには丸まって眠るペコの姿。

――昨晩の情事を思い出して、独り、スマイルは赤面した。

狭いベッドの上、どうしても一緒に寝たいとダダを捏ねるペコを、抱きしめて黙らせて…そしてそのまま寝てしまったらしい。

自分の上には掛る毛布が、ペコの上に無いことに気づく。
スマイルの寝相は良い方だったので滅多なことで毛布が行方不明になることは無かったのだが、ペコの方はどうやら違うらしい。
蹴飛ばされた毛布を探すが、それは自分から余りにも遠い位置にあったので、仕方なくスマイルは自分の毛布を引っ張り直してペコの上へとそっと掛けた。

「…ん…」

寝起きのとろんとした声をペコが漏らす。

「…起こしちゃった？」

小さく尋ねたが、特に答えは無かった。

そっと肩を撫でると、丸まっていたペコがもぞもぞと動く。
自分にとって、ちょうど収まりの良い位置を探すように。
何度か自分の腕に顔を摺り寄せ、その柔らかい頬がスマイルの腕をくすぐる。
さっきは離れた位置にいたペコだったが、そうして動くうちにスマイルの呼吸がかかるような、そんな近くまで転がってきていた。
内側の腕と、腋の部分に良い場所を見つけたのだろうか。
ペコは何度か頭を押し付けると、また動かなくなってしまった。

今度、困るのはスマイルの方。
ペコがあまりにも近くて、鼻腔をくすぐるのはお揃いのシャンプーの香り。
朝なのも手伝って、また硬度を持ち始めた自身が辛い。
大きく深呼吸をして、腕の痺れを心地よく感じながら脳内にこの前覚えた古文を必死に暗唱し始めた。

少しずつ空は白み始める。
太陽が昇るのと、スマイルが眠りに落ちるのと、一体どちらが先か――

＊FIN＊