Serena*Mのあたまのなかみ。
何かの診断メーカーで「明日会えたら君に伝えたいことがあるんだ」って言葉から浮かんだ一篇。
マフィアと言うか893
カラ松とトド松と言う名前だけのn番煎じのパロディ。
明るくない話なので苦手な方は回れ右。
マフィアと言うか893
カラ松とトド松と言う名前だけのn番煎じのパロディ。
明るくない話なので苦手な方は回れ右。
人と人との出会いなんて偶然が基本で、運命なんてほんの1%も満たないと思っていた。
『人』と云う字は人と人とが支え合って出来ているだなんて有名な教師が言っているらしいが、人間、生きるも独り、死ぬも独りなのだとカラ松は思う。
実際自分の生い立ちだってクソみたいなものだ。
年若い両親は毎年のように子供を作り、そして育てられないと彼らを政府の運営する乳児施設へとすぐに送り出す。
1度も顔を見に来たことも無ければ家へ呼び寄せたことすらなかったので、彼にとって両親とは写真だけの存在であり、ただ自分をこのクソみたいな世の中へ放り出した悪鬼であり、ただ命に名を呉れた人なだけだった。
そんな彼が“マトモ”な人生を歩まなかったなんて、想像に容易い。
15で飛び出した児童擁護施設、お情けで出して貰えた中学校。
高校になんて進学する気も無かったから夜の町へ繰り出し、知り合ったのはチンピラまがいの仕事をする暴力団員の下っ端構成員。
そのままずるずるとその暴力団に属し、与えられた仕事は借金の取り立てで。
まだ17にも満たない彼はいっぱしの凄みを利かせてうら若いお嬢さんを泡風呂へ沈め、元気な兄さんの臓器を売り飛ばし、働き盛りのお父さんの新築した家を取り押さえた。
――違法だって?
そんなの、闇金に手を出した時点で違法の始まりだろう?
涙で懇願する人間に、カラ松はいつだって冷徹に返す。
「アンダにだって子供がいるんだろ?
売られたくなきゃ、さっさと耳揃えて返すんだな」
まだ子供の体格なのにその威圧的なオーラだけは上等の暴力団のようで、気付けば彼をこの世界に引きずり込んだ構成員は行方をくらまし富士の樹海へ。
一度だけアパートを詮索して金目のものをくすねたが、リサイクルショップに持ち込んでも二束三文だったので事務所のハンマーでご自慢だったであろうロレックスを叩き壊してやった。
事務所の床を汚したことに他の構成員からは睨まれたが、何が面白かったのか本部長が彼を気に入り、最近はこの本部長付きとして今までよりも面倒な回収と、それから裏の稼業にも手を出すようになっていた。
きっと、彼専用のポストが与えられるのも時間の問題で、疎んだ兄貴分から何度も絡まれたがその度に返り討ちにしてやった。
あまり語られていないけれど児童養護施設も政府の金だけを巻き上げる屑みたいな場所で体罰は当たり前、生き抜きたかったら強くなるしかない場所だった。
幸いカラ松は名づけの親から丈夫で体格の良い身体を受け継いでいたから、日々の鍛錬は欠かさず、殴る拳と蹴り上げる脚に磨きを掛け続けていたのだった。
そんな、ある日のこと。
回収に向かった家はもぬけの殻で、金目の物も一切置いてなかったから事前に『誰か』の介入で姿を眩ませた後だった。
こう言ったことは1度や2度ではない。
回収相手に同情してしまった構成員が事前に手筈を整えて逃すのだ。勿論、こっちが出向くタイミングまで把握して本当にギリギリの所で逃がすのだから100%上手く逃げられるとも限らない。
逃げた相手を何度か捕まえた事もあるカラ松だったが、探す時間と回収できる金額を天秤に架ければ“一応”探したことにして大した捜索もせず打ち切って次の回収案件に取り掛かった方が早い。それにカラ松は捜索隊じゃなかったから、それはプロの兄さん方に任せた方が安心出来る。
どかどかと土足で室内に入り、手当たり次第に食器棚を空けて意味もなくガラスのコップや陶器の皿を叩き割る。サイドボードに飾られた家族写真も壁に投げつけてスッキリしたところで、“捜索”を頼もうとスマートフォンの指を滑らせた時だ。
がたっ
リビングの向こうの和室の押入れから不自然に音がする。
「…?」
気になったカラ松は畳の上の土足も気にせず大股で横切ると、押入れの引き戸を乱暴に開けた。
「!!!!!!!!!!!!」
目の前に小さく蹲るのは、まだ年端も行かないような小さな子供でピンク色のうす汚れたトレーナーが妙に印象に残った。
「…誰だ、お前」
首根っこを掴んで持ち上げると、その子は小さく震え、涙を浮かべた大きな瞳をカラ松に向けた。
「お兄ちゃん、お父さんはもうボクのこと叩かない?」
それは家宅捜索をしたカラ松に吐く言葉とはかけ離れていて、この家庭が機能不全であり彼が常時夜逃げした“父”から体罰をされていた証拠だった。
幼い頃の自分と重なって、持ち上げたその軽い肢体をそっと床に下ろす。
見上げた子供はぎゅっと派手なアロハシャツを着たカラ松に物怖じせずに抱きついてきた。
「…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…
もう悪いコトしないから、どうか父さんにだけは言わないで…」
うわ言のように繰り返す彼の言葉に、思わずカラ松はしゃがんで、ぎゅっと彼を抱きしめた。
「もう大丈夫。父さんはお前を殴ったりしないよ」
それが、トド松との出会いだった。
*
まだ年端も行かない幼児だと思っていたトド松は今年8つになる小学生で、幼少の頃から何度も児童擁護施設の世話にはなっているようだった。
夜逃げした親の金策が上手くいくと迎えられ、そして切迫してくると小学校すら行かなくなり、学校からの通報で保護される。そんな事を何度も繰り返しているらしかった。
夜逃げして、子供すら置き去りにするような親だ。
一緒に連れて行って足手まといな扱いをされるよりも、まだ雨風が凌げて食事の心配のない施設の方が彼にとっても有益だろう。
この地区の児童擁護施設に連絡をしてトド松を連れて行く。お役所仕事ってのはどうも面倒な手続きばかりだとタカを括っていたが、今回のように緊急性の高い場合と、そしていつもお世話になっていたトド松だから担当の職員とも顔見知りでいやにあっさりと施設の門をくぐれたのだった。
「お兄ちゃん、また遊びに来てくれる?」
施設の大広間で背中を向けたカラ松に、幼いトド松はそう声を掛ける。
子供心に何か感じる所でもあったのか、はたまた最初の出会いで抱きしめたのがいけなかったのか。
彼はカラ松の事をお兄ちゃんと呼び、慕っているようだった。それを買われてこの1週間はトド松のお守が彼の仕事となってしまったのだが。
放置子として育ったためかトド松は吐くまで食べるのが常で、それを直すだけでも精一杯な1週間だった。
箸の使い方も無茶苦茶で、『食事の綺麗さがその人を表す』と本部長から叩き込まれたカラ松は子供だった自分とどうしても目の前にいるトド松が重なってしまうので、少しずつ彼へ食べ物への執着心を逸らさせ、そして食事のマナーを教え込んだのだった。
食べる前には「いただきます」食べ終わったら「ごちそうさま」作ってくれた人へは「美味しかったです」この3つの言葉だけで驚くほど人は優しく接してくれるのをカラ松は知っていたから、必ず彼と食事をする時はこの言葉を徹底させていた。
食事の食べ方が少しずつゆっくりになり、きちんと手を合わせて食べられるようになった頃、こうして養護施設からのお呼びが掛かったのだった。
「…お前がいい子にしてたらまた来てやるよ」
トド松からの問いに、カラ松は背中を向けたままそう答える。
施設の職員らはチンピラまがいの格好をしたカラ松の事をあまり良く思ってなかったし、年の離れた弟なのだろうと思われていた。
振り向く素振りさえ見せず、彼は片手を上げた。それは「サヨナラ」の合図であり、もう二度とこんな場所には出向くつもりもなかった。きっとトド松も、この施設からまた新しい人生を始めるのだから、こんなクズみたいな人間は必要ない。せめてお前は真っ当な人生を歩んでくれ――
ほんの一時ではあったが、小さなトド松と過ごした日々はカラ松にとって「弟ってこんな感じなのかな?」と家族ごっこのようなものであり、そしてそれなりの情が湧いてしまった。
まだ真っ白で幼いこの子に、自分らの黒く染まりきった世界に来て欲しくなかったし、出来れば逆境にも負けず“普通”の人生を歩んで欲しかった。
「待ってる、ぼく、いい子にして待ってるから!」
一歩、また一歩と遠ざかる派手なスタジャンの兄貴分に、金切り声にも近いトド松の声が響く。
カラ松は買ったばかりのブランド物のサングラスを少しだけ下げて振り向いた。
「じゃぁな、トド松。いい子にしてろよ」
いつもは凄んでばかりのカラ松だったが、今日この時ばかりは17の少年の素直な笑顔だった。
*
結局の所、「サヨナラ」は実行出来なかった。
家族の温かさを教えてくれた小さな存在はカラ松の中で随分と“大切なもの”になってしまったらしい。
仕事柄、いつでも会いに行く事は出来なかったが時間を見つけては手土産を持って施設を訪れる。カラ松は別にお金に頓着しない方だったから、通う夜の街の女の子から聞く流行のパティスリーの菓子を大量に持っていってやった。そうすれば職員からも、施設の他の子らからもトド松の存在は認識されるし一目置かれる。
より平和に施設を過ごす為の知恵なら、生き抜いた彼には容易い事だった。
ところが、だ。
カラ松がトド松と交流して2年も経ったある日、面会の応接間で小学校4年になった彼は静かに「もう来ないで」と初めて出会った時のように涙を溜めた目で言ったのだ。
「…ブラザー?どうした、急に」
もうすっかり本部長代理として、そのやくざな格好も板に付いたカラ松がストライプの入った青い上質なスーツの脚を組み換える。
足元はイタリア製のオックスフォードで、しっかり磨かれたそれはピカピカと蛍光灯を反射していた。
「…もう、来て欲しくないんだ…」
俯いたカラ松の両手に、ぽろぽろと涙の粒が落ちたから其れは彼の本心で無い事は良く分かる。
「兄ちゃん、こんな格好で来ちまうからダメだったか?
誰かに苛められたか??」
感情が昂ぶるとどんどん声が低く、冷たくなってしまうのは既に彼の癖となってしまっていた。
「…なにも、なにもお兄ちゃんは悪くない…」
ふるふるとトド松は俯いたまま頭を振る。
胸騒ぎがしたカラ松は、立ち上がるとトド松のトレーナーの腕を捲り上げた。
あの頃に比べて大きくなったとは言え、まだまだ成長途中のトド松は細くひょろひょろだ。
そんな彼の強く握れば折れてしまいそうな腕に痛々しい青あざと、治りかけなのだろう黄色く変色した肌色が広がっていた。
「…!!」
カラ松が口を開くより早く、トド松が掴れた腕を抜け出す。
「ちょ、ちょっと転んだだけだから…!一輪車の練習してて…」
――一輪車の練習で、こんな腕の部分を打ち付けるワケがない。それなら、膝小僧だって同じように青あざを作ってても良い筈だ。なのにそれが、ない。だから、この腕の青あざは何かから庇って付いた傷だ。
「…そうか。一輪車、早く乗れるようになるといいな」
トド松の想いを汲み取った彼は「痛かっただろう?」続けて頭を撫でた。
「兄ちゃん、ちょっと先生と話したいことがあったんだ。
面会時間短くなっちまってごめんな」
カラ松は言い、面会時間の終了を告げる。
長い廊下の先、見えなくなるまでトド松を見送った後、担当の職員に低く告げた。
「施設長と話がしたい」
*
話は簡単だった。
頻繁ではないにしろ、トド松には肉親と思える兄が定期的にやってきては美味しそうなお菓子を置いて去ってゆく。その日は上機嫌のトド松が誰も面会に来ない他の子らからは羨ましいだけだった。それだけでも妬みの対象になるのに、彼は弟可愛さから必要な物は全て与え、袖の下もしっかり渡していたので小学校中学年にして個室を与えられていたものだから格好の苛めのターゲットとなってしまっていた。
今年の春までは体格の良い、鉄拳制裁も持さない男性の職員がいたから表立った苛め行為はなかったものの、移動でその職員が居なくなってから、トド松は施設の仲間たちからずっと苛められているようだった。
彼の為にと思ってしてきた事が裏目に出てしまったことへ、カラ松は自身への苛立ちを募らせる。
もうすぐ成人を迎える彼には、以前からずっと考えていたことがあったのでその思いを施設長へ告げた。いくら「ダメだ」と言われたって、可愛い弟分が苛められているのを見過ごすわけにはいかない。
年齢の割にお金だけは潤沢に持っていたから、早速彼は行動に移すことにした。――勿論、トド松には何も知らせず、だ。
狭いワンルームの歓楽街にあったアパートから、主要沿線沿いの家族用のアパートへ移り住む。今まで以上に金は稼ごうと仕事にも精を出した。
昼過ぎから夜明けまで、永遠と続く借金の取り立て。相変わらず「冷徹鬼のカラ松」なんて妙な名前で呼ばれていたが、それも仕事に対する評価なのだ、悪くない。
事情を知らない他の構成員からは「イロでも出来たか?」なんて揶揄われたが、彼はだんまりを決め込んでその嵐が去るのを待った。
仕事をこなせばそれなりの評価があがる。評価されれば自分の裁量で仕事を回せる。自分のためじゃない、誰かの為の時間が欲しい。
それから半年。
20歳の誕生日を待って、カラ松はトド松のいる養護施設へと足を運んだ。
「面会をお願いしたいんだけど。
あと、そのままアイツの出所手続きもして欲しい」
カラ松は入り口の受付の職員へそう告げる。一緒に手続きに必要な書類も全部出してやった。
久しぶりの彼の登場に職員らは手土産を期待いたが、今日は何も無いのを悟るとこれ見よがしに落胆して見せたのが分かった。
――どう転んでも地獄であるなら、せめてこの手で地獄を見せてやりたい。
歪んだ思いをぐっと心の底に仕舞って、久しぶりの面会室へと足を進める。
立て付けの悪い古い扉を開くと、半年前よりも一回り身長が伸びたような、けれどほっそりとしたトド松が彼を迎えた。
「…お兄ちゃん…」
普段なら決して涙を見せようとしない彼が、一目を憚らずに大粒の涙を零したので、カラ松が訪問しない期間にきっと色々なことがあったのだろうと想像できる。
「…もう、もう、本当に来ないかとおも…っ…」
しゃくりあげながら抱き着いたトド松に、カラ松のオートクチュールのスーツが濡れる。仕事で汚されると即座に凄んで蹴り上げるカラ松だったが、今日の彼は思う存分このスーツに涙を吸わせてくれとばかりにぎゅっと彼を抱きしめる。
「…迎えに来たよ、トド松。兄ちゃんと一緒に住もう。
もう、誰もお前を殴らないし、苛めない。ずっと兄ちゃんが守ってやるからな」
さらさらの後頭部を撫でてやると、トド松が唯でさえ大きい目をさらにまんまるくさせて呟いた。
「…お兄ちゃんと、一緒に…?ほんとに…?」
「あぁ、本当だ。兄ちゃんがお前に嘘なんて吐いたか?」
優しいカラ松の瞳に、トド松の瞳からまた涙が溢れ出る。
――涙と鼻水でべしょべしょになったスーツの話はカラ松が酔うと必ずする話になった。
*
その後、トド松は地元の小学校を卒業した後、地元の中学に進学すると言い張ったのだがとある有名私立中学に入学した。
あんなクソみたいな環境の施設でもトド松は勉強家で頭も良かったから、荒れた地元の中学で才能を埋もれさせるよりもずっと良いと思ったのだ。頭の悪い自分が苦労したのもあったから、カラ松はトド松に“きちんとした”人生を歩んで欲しいと思っていた。
チンピラのような自分が迷惑になるから…と学校行事の参加や二者面談すらも渋るカラ松だったが「ぼくの家族は兄さんだけ」と言われ、断れる兄ではない。
普段の派手さは封印し、地味なダークカラーのスーツに黒縁の伊達メガネまでしてしまったから、その時のトド松は1週間は思い出し笑いで過呼吸になる程だった。
中学三年の夏、進路相談の時期になって2人は初めて大喧嘩をした。
今までは小競り合い程度の喧嘩はあれど、どちらともなく謝って仲直りするのが常だったのに今回は2人とも自身の意見を曲げなかった。
このままエスカレーターで付属高校に進めと言うカラ松と、卒業したら働くと言い張るトド松と。
話し合いはいつも平行線で、お互い睨み合ってそっぽを向くのだった。
「だから、金の心配は要らないって言ってるだろ。
オレはお前の兄貴なんだ、ちゃんとした教育を受けさせて何が悪い!」
「もうぼくだって子供じゃない!
自分で稼いで兄さんに少しでも休んでもらいたいのッ」
中卒の世間の辛さなら、嫌でも知っている。
だから、せめて勉強の出来るトド松にはこのまま大学まで無事に出て“普通”の人になって欲しかった。
お金の心配はないと兄は言うけども、その仕事が“普通”じゃないことはずっと昔から知ってた。
今更遅いのかもしれないけど、2人で仕事すれば“普通”の生活が出来るよ。もう危険なことは止めて、のんびり暮らそう。勉強なんて、家でだって出来るよ。
結局答えが出ないまま、迎えた進路相談。
「働く」と云った弟を教師の前で引っ叩いて土下座した。
「弟にはきちんとした教育を受けて人様の役に立つ仕事をさせたい」
そう真剣な眼差しで教師に告げる兄の姿に、泣き虫なトド松は相変わらず涙を零して「公立一本で受験します」と宣言したのだった。
そんなトド松が思いつめた顔でカラ松の寝室に来たのは合格発表を控えた晩だった。
「ん?眠れないか?」
安眠快眠を謳うアメリカ製のベッドに寝転がっていたカラ松が羽毛布団を上げる。子供の頃から一緒に暮らしていたので同じ布団で眠ることに全く抵抗が無かったから、ごく自然にカラ松はトド松の眠るスペースを作った。…最後に一緒に寝たのはいつだったろう。ふとカラ松は思う。
「兄さ…、カラ松。ぼくを抱いて」
ベッドサイドに突っ立って見下ろしたまま、トド松は言い放つ。
15の少年だ、性に興味を持ったって可笑しくない年頃だし、実際カラ松だってその頃からエロ本を隠し持つようになった。
弟からの頼みであれば本職の姉御の紹介だってしようと思っていた矢先だ。“抱いて”の意味を知らないで使っているわけではないだろう。
「…落ち着け、トド松」
カラ松は落としていた照明の光量を上げると起き上がってベッドサイドに腰掛ける。そして、棒立ちのトド松も引っ張って隣に座らせた。
「いいか、ドド――」
言いかけた言葉は、張り詰めたトド松の声にかき消された。
「好きなんだ、兄さんのこと」
彼は言って、膝に置いた手をぎゅっと締める。
その意味が家族以上の『好き』であることは今あるこの状況からよく分かる事だった。
「あぁ、オレも好きだよ」
さらりとカラ松は伝える。
「!!
なら…!」
顔を上げたトド松を、カラ松はじっと見据えた。
「ただ、オレの好きは家族としての好き、だ。
異性としての好きじゃない」
普段の声よりもぐっと低い其れはカラ松の感情が昂ぶっている証なのはトド松はよく知っていた。
「だから、お前の気持ちには答えられない。
さっさと部屋に帰って寝ろ」
射るような視線は今までトド松が見た事もないような圧倒的なオーラを放っていて、此れが“仕事中”の兄なのだとふと諒解する。
「…ごめん、なさい…」
その恋はきっと、拾われた時から。
押入れの暗がりに泣いていたあの時に差した、一筋の光。
家族写真を思い切り投げつけてくれて、心底ほっとした直後の人を殴らない大きな掌。
消え入りそう発した声が、薄明かりに溶ける。
――トド松の劣情に気付かなかったカラ松ではない。
少なくとも、彼だって見知らぬ子供を拾ったのだ。情を抱かないワケではない。
けれどそれは無意識に家族を求めた結果での愛であり、トド松が抱いたような感情は彼は抱けなかった。この先、“普通”の人生を歩ませたい人間として、こんなクズに欲望を抱かせて道を外させてしまうのは自身の信念に反する。
「…明日は合格発表だろ?
今日の言葉は忘れてやるから、しっかり明日発表見て来いよ」
カラ松は言うと、俯いたトド松の頭をぐりぐりと撫でてから背中を向けて寝転がった。
その時のトド松がどんな顔をしていたのかカラ松は分からない。けれど、背中越しに「おやすみなさい」と聴こえたので、ちゃんと返してやった。
「おやすみ、マイブラザー」
*
トド松の部屋の明かりが消え、彼が寝入ったことを確認するとカラ松はゆっくりとシンク下の戸棚を空けて滅多に空けないウイスキーを飾り棚から取ったグラスに少しだけ注いだ。
人間、不思議なもので「好きだ」と言われると途端にその言葉の本人を目で追いかけてしまう。
カラ松もそんな不思議な魔法に掛かってしまっていた。
今まではずっと、“家族”としてトド松を見守ってきたつもりだ。
『お兄ちゃんと似た服がいい!』とダダをこねられ、探した入学式のスーツ、白い目を向けられながらも出席した父母会、親子徒競走ではトド松を引きずるように走った運動会、学芸会では慣れない一眼レフカメラに悪戦苦闘しトド松の姿を写真に収めた。
リビングに飾ってある写真をゆっくりと見つめながらウイスキーをカラ松は傾ける。
一緒に暮らすようになって7年。よく考えればトド松が『彼女だよ』と女の子を連れてくることは一切無かった。ごく稀に同性の友人を呼んでのゲームパーティなんかはやっていたようだが、自分が遅く帰るのが分かっている時だけでカラ松の負担になるような事は一切しなかった筈だ。
今だって忙しいカラ松に代わり、トド松は部活にも入らず家仕事の一切を仕切っている。彼のすることと言えば気が向いたときの風呂掃除と食器洗い、それにお金を渡すくらいだった。今こうして磨かれたバカラのグラスでウイスキーを飲めるのも普段からしっかりとトド松が手入れをしてくれているからなのだ。
――普通、普通と強制しすぎて、トド松の自由を奪っているのはオレ自身なのでは…
琥珀色の液体をじっと見つめながら、ゆっくりと溶ける氷にカラ松はふと考える。
こんなクズのような生き方をしてきたオレに、アイツは何を重ねているんだろう、求めているんだろう。
カラ松は頭を抱える。
ずっとずっと、白か黒かの単純な世界で生きてきた彼にとって今の“グレー”の状況は非常に落ち着きが悪く、居心地が良くなかった。
さっさとこの感情にケリを付けたい。けれど、答えを出してしまっては今の生活の全てが崩れてしまうかもしれない。
ひとしきり頭を掻き毟ったあと、カラ松は独りで笑った。
――あぁ、きっとトド松もこんな感情をずっと抱えて、そしてオレに隠して生活してきたんだな。
やっぱすげぇわ。
見込んだ男だけはある。呟いて、残ったウイスキーを一気に煽った。
独特の燻香とカッと舌が焼けるようなアルコールが広がって、早く今夜の言葉は忘れようと、もう一杯を注ぎに彼はキッチンへと消えていった。
*
宣言通り、見事公立高校への入学をトド松は決めると、次は新しいバイト先まで決めてきた。
地元駅から家までの帰り道にある、小さな個人商店の花屋だ。ずっとこの街に住んでいるトド松は商店街の店主たちとも仲が良く、お惣菜のオマケや売れ残った鉢植えなんかを貰ってくることが多々にあった。
カラ松が商店街で買い物をしていると見知らぬ店主から「たまには早く帰っておやりよ」なんて注意されたこともある。不思議に思ってトド松に聞くとカラ松とトド松は年の離れた異母兄弟で、蒸発した両親に代わってカラ松が育てている…という設定にしてあると面白そうに教えてくれた。100%嘘ではないが、100%真実でもない。微妙な匙加減ではあるが妙にリアルな設定だな、とカラ松も感心したので近所ではその設定で振舞うことに決めたのだった。
彼の職業については誰もが閉口したが、ただ弟と生活するのに一生懸命なこと、弟が幸せそうなこと、それは誰もが分かることだったから商店街の店主らは時々兄弟を気にかけてくれるのだった。
「そこの角の花屋か?」
「そう、よく鉢植えのお花くれるところ。
ちょうどバイトのお姉さんが大学卒業で新しい人欲しかったんだって」
慣れた手つきでフライパンを返しながらトド松は続ける。
「兄さん、お皿出して」
「…おぅ」
言われて、食器棚から大きめの深皿を取り出す。ついでに同じシリーズの取り皿も取って、リビングのテーブルへと並べた。
白い大きなお皿に、たっぶりと盛られた八宝菜を持ってトド松が登場する。
今日の晩ご飯は中華で、トド松お得意の八宝菜に卵スープ、デザートのみかん入りの牛乳寒天は冷蔵庫で冷やしてある、完璧な布陣だった。
「おぉ、旨そうだ」
缶ビールのプルタブを引いてカラ松は嬉しそうに笑う。
「ぼくが作ってるんだもん。美味しいに決まってるでしょ?」
「ははは、そうだな。
我が家のコック長の料理は世界一だ」
「もう、調子いいんだから」
ペットボトルのウーロン茶をグラスに注ぐと、すぐにカラ松がビール感を合わせる。
「「いただきます」」
「…そして、高校入学おめでとう。
制服、よく似合ってたぞ」
カラ松が褒めると、トド松が嬉しそうにはにかんだ。
今日はトド松の入学式で、生憎急な用事の入ったカラ松は式典に出席できなかったから帰ってきてからトド松の制服姿をやっと見られたところだった。
中学は黒の詰襟の制服だったから、薄いグレーのジャケットと青いタイの制服が妙に初々しくカラ松の目に写った。小さい小さいと思っていたトド松だったが、今日久しぶりに並んでみたら175cmあるはずの自分とあまり変わりがなく、そろそろ身長が抜かれるか、シークレットブーツの利用をちょっと本気で考えてしまう。
「そうだ、入学祝い、何が欲しいか決まったか?」
飾り切りされた人参を取り分けているトド松に、カラ松は尋ねる。
中学の時も入学祝いに何が欲しいか聞いたけれど「義務教育で当たり前なんだから何も要らないよ」と断られてしまったのだ。
今度のは高校で義務教育ではないから、断れないだろうとカラ松は踏む。
「えっとね…」
彼の前に八宝菜を置いてトド松は微笑む。
けれど、その口元は微笑んでいたけれども瞳は全く笑いを含んでいなかった。
「…仕事、辞めてほしい。
もう危険なことはしないで“普通”の生活をしよう?」
*
――この世界から足抜け出来るのだろうか。
がらんどうになったリビングで、真っ暗な中でカラ松は両手を握ったり開いたりを繰り返している。
15の子供にすら、将来の心配をされてしまった自分が情けない。
ちょうど、この世界に足を踏み入れたのはいまのトド松より少し若いくらいの時だっただろうか。世界の全てが己の敵に見え、女と人を侍らせた暴力団の人間が勝ち組に見えたあの頃。
自分の面倒を見てくれた人が独り、また独りと消え、何処かで買った恨みからか何度か危ない目にも遭ってきた。今はただ、直属の本部長とその“代理”の名前で仮初の平和と自由を保障されているだけだ。また上の方のゴタゴタがあればパワーバランスが崩れ、この先どうなるかは分からない。いつか、いつかこの世界から足を洗おうと思いつつも既に10年の年月が過ぎてしまっていた。地位ならそれなり、貰う金ならたんまりと。
いつしかこの殺伐とした世界に慣れてしまっていたから、トド松の言う“普通”がどんなものなのか、すっかりと忘れてしまっていた。戻れるのだろうか、“普通”に。今更、どんな顔して無害な小市民の顔を作れば良いのか。
組織を抜けたいと告げた人間の末路なら、何度もカラ松はこの目で見てきた。
下のままじゃ、ダメだ。もっと上の職に就いて認められてから話を通さないと。久しぶりに覗いた冷徹鬼のカラ松の顔が闇に溶けていった。
*
年齢と共に月日が流れるのは早いと言うけれど、トド松の高校生活も本当にあっと言う間だった。
進学校ではなかったけれど、少しでも家計の足しになればと始めた花屋のアルバイトは3年近く勤め上げた故かすっかり社員レベルの仕事量に到達し、履歴書への記入を見越して始めた生徒会活動は会計としてその名を残し、奨学金も貰っていたから本業の勉学についても常に10位以内に入る実力の持ち主だった。
それに兄が格闘系に強いのもあり、自主的に身体作りもしていたので体育の評価もきちんと貰っていた。
カラ松からの高校入学祝いは未だに渡されていない。
それだけではなく、彼が高校に入ってからと言うもの今まで以上に仕事に忙しそうだった。週のうち1日顔を合わせれば良い方で10日も顔を見ないことだってしょっちゅうだった。けれど学校からの『お知らせ』については目を通しているのか、どんなに徹夜明けの酷い顔の時だって二者面談には時間通りにやってくるし、知らせなくても文化祭には必ずやってくるのだった。
高校三年生の冬休み前、その日は平日だったけれど1日中カラ松は休みのようで、トド松が学校に出かけるときはリビングのソファでしかめっ面のまま深く眠りこけ、家に帰ってきたらコーヒーを置いたまま船を漕いでいた。
「兄さん、風邪引いちゃうよ」
今日はバイトの無い日だったから、ドラックストアで日用品の買い物をしてきたトド松が大きなビニール袋を置いて兄にそっと毛布を掛ける。
「…ん…トド松か…おかえり…」
寝ぼけ眼を擦ったカラ松は年相応の26のまだ若い青年で、いつもぴっちりオールバックにした髪が今日は緩く前髪を作っていたから余計に幼くトド松の目に映った。
思わず、その薄く開いた唇に自分のを重ね合わせる。
子供染みた素っ気無い口付けだったけれど、それは長年の想いを募らせたトド松には充分な時間だった。
「…???」
まだ寝ぼけたままのカラ松の瞼が何度も瞬く。
「ば、晩ご飯の支度するね!!
今日は兄さんの好きなマーボー豆腐だよ!」
慌てて立ち去ろうとするトド松の腕を、カラ松は掴んで離さなかった。
「…トド松」
「あ、あのっ、その…」
――ずっと、彼の想いは知っていたから。無防備に寝顔を晒した自分が悪い。
だから、今の事も夢の出来事だと、現実じゃないと思い込んだ。
「入学祝いな、やっと、そろそろ渡せそうだ」
見上げて言うと、今度驚くのはトド松の番だった。
「…えっ、それって…?」
――3年前のお願い。仕事を辞めて欲しいって。“普通”に暮らそうって。
「あぁ、やっと爺どもの許可が下りた。今度の仕事がうまく片付いたらお前にやっと入学祝いを渡せる」
「わぁ、嬉しい!お祝い!お祝いしないとだね!兄さんの好きな物、ぼく、たーーくさん作るね!」
年甲斐も無くぴょんぴょんと跳ねて全身で喜びを伝えるトド松に、カラ松は優しく微笑んで掴んだ手を離した。
「あぁ、盛大に祝ってくれ。楽しみにしてるよ」
そしてまた、短く続ける。
「そして悪いけど晩飯食ったら仕事なんだ。
また留守を任せてしまうけど…よろしくな」
「…いいよ、だってこれで【最後】なんでしょう?
お見送りしてあげる!」
“仕事”についてずっと良い顔をしなかったトド松だから、今日のこの言葉はまるで夢を見ているような台詞だった。
トド松の喜びに、自然とカラ松も笑顔を作る。
「それから――明日会えたらお前に伝えたいことがあるんだ」
悪戯っぽく笑った顔に、其れが嬉しい報告なのだろうとトド松は予想する。
「なんだろう?楽しみにしてるね」
彼は言うと、食事の支度をしにキッチンに戻る。
仕事の前にシャワーを浴びて気持ちを入れ替えようと、カラ松も冷めたコーヒーを飲み干し風呂掃除をしにリビングを後にした。
*
夜が明ける前の高架下に、くぐもった叫び声が響く。
「…っな、てめェ!!!」
「逃げ切れると思った?
ウチの情報網さ、あんまり舐めないで欲しいな」
蹲るその人物に容赦無い蹴りを入れたのは他でもない冷徹鬼のカラ松で、蹴り上げた衝撃で彼ご自慢の革靴に小石の傷が付いてしまった。
「あーぁ、これさ、個人輸入して買った1点モノなの。汚してくれちゃってさ。意味分かってる??」
薄ら笑いすら浮かべながら踏みつける彼の横顔は外套の薄明かりに、あんなに優しく微笑んだ人物だとは思えない程別の人相を表していた。
「…兄貴、そろそろ」
隣に侍した舎弟であろう人物がカラ松に何かを耳打ちする。彼は頷くと屈んでまだ凄もうとするその人物に唾を吐き捨てた。
「いいよ、もう。アンタ。
綺麗なお嬢さんだね、アンタに似てなくてさ」
スマホに写したプリ画を見せると、途端にその人物の威勢が弱くなる。
「それだけは、あの娘だけは…!」
「知らない。あの娘のことは兄さんの担当だし。
兄さん、SMプレイ好きな人だからなぁ。どうなっちゃうんだろうねぇ???」
それだけ吐き捨てると後の処理を残した舎弟に任せてその場を後にする。
背後から短い叫び声が聞こえたが、断末魔の声にも聴こえたので「あんまりやり過ぎんなよ」そう振り向こうとした時だ。
腰に熱い痛みが走る。其れは全身を駆け抜けて酷い叫び声をカラ松に吐かせた。
分かることはただ1つ。背後からの一撃。
唯其れだけならカラ松にだって応戦出来た。ずっとこの世界で生きてきた人間だ。病院にすら行かない、酷いさまの傷だって腐るほどこさえてきた。けれど――
「――なぁ、仲間に嵌められるってどんな気分だよ。あぁ?」
蹲っていた筈の人物が威勢よくカラ松に右ストレートを繰り出す。
腰の痛みに上手く避け切れなかったカラ松は、左頬でまともにそれを受け止めてしまった。歯の割れる嫌な音がする。
直後、両手の自由が奪われる。視界からは分からなかったが、羽交い絞めにされたのであろう。
「アンタさぁ、人望ないな。
こいつら1本積んだら仲間になったよ」
逃れられない今度は強烈な一撃を鳩尾に叩き込まれる。
胃に鈍い痛みが走りこみ上げるモノがあったが懸命にそれは押さえ込んだ。
「てめ…」
言いかけた台詞は左からの殴打にかき消される。
「『逃げ切れると思った?』か。若造が。
逃げてみせンだよこっちはよ!!!!!!!!」
人間の急所を蹴り上げられ、声にならない叫びが木霊する。
「二度と追ってくんじゃねえぞ!!」
その人物は駄目押しにもう一度カラ松を殴りつけると踵を返してその場を後にした。
続いて、羽交い絞めにしていた舎弟もその場を去る。
急に独りきりにされたしまったカラ松は、高架下のフェンスにぐったりと凭れかかって胃の内容物を全て吐瀉する。痛みを堪えながら、折角トド松が作ってくれたのになぁ、ぼんやりと思った。
――あぁ、こんな所で立ち止まってるワケにはいかない。
彼は刺されたナイフを止血代わりにぐっと押し込め、ゆっくりとフェンス伝いに人気のある場所へ歩いてゆく。
ゆっくりとした足取りに、転々と続く血溜まり。うっすら白み始めた空に来た道を振り返るとまだそんなに遠い場所まで歩けていないのが分かって唯、絶望した。
――連絡。唯一の肉親へ。
白み始めたのは夜明けだからじゃないと、彼の神経が警鐘を鳴らす。
血に濡れた指でスマホの解除は難しく、挙句つるりと滑って落としてしまった。拾おうと腰を曲げて、激痛にそのまま倒れこむ。
――結局、クズはクズらしい最期なのか。裏切られ、誰にも看取られず。
倒れこんだ道のアスファルトの隙間から季節外れの桃色のコスモスが一輪揺れていた。
初めて会った時の弟も、こんなピンクのトレーナーだったな。
カラ松の瞳がゆっくりと閉じられる。
なぁ、トド松。
オレはお前が好きだったよ――
*
遠く離れた街で、トド松は日課にしている朝のランニングを行っていた。
夜の明けかけた、薄い紺色の空にオレンジ色の朝日が美しい。
折り返し地点の公園の朝焼けが綺麗だったから、彼はその景色を写真に収めて兄へと送った。
【おはよう、兄さん!朝日がとっても綺麗だよ】
既読にならないのは、いつもの事。
――さ、今日も一日頑張ろうっと!
深呼吸をすると、彼は家路へと駆け出した。
*END*
思いつくままに書き殴ったので非常に長い(真顔)
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