ミッドナイトにkissして

DCコミック/クラーク（スーパーマン）×ブルース（バットマン）

ダサタイトルクラブル②
（片仮名の羅列）

内容は特に無いヤツ。

「今夜のゴッサムは平和かい？」

ゴッサムで一番高いタワーから、煌く街を見下ろす闇の蝙蝠にスーパーマンであるクラークは尋ねる。
強いビル風にバットマンことブルースの漆黒のマントがはためき、その先は空の暗闇に溶ける。
縁に腰掛けたクラークは傍らのブルースを見上げたが答えは無言のままだった。

真下の大通りを青と赤のランプを光らせる車輌が高速で走りぬける黄色いスポーツカーを追う。
クラークの耳にはひったくりに遭ったのだろう、『誰か！』女性の金切り声が聞こえたけれど夜空にはバットシグナルは光らなかったから、これはこの混沌とした街の“日常”なのだった。

「…見えるのか、平和に」

彼の言葉はいつも低く、短い。

「君の目に平和に見えるのなら、僕はそれでいいと思ってるよ」

クラークは言うと、すっと立ち上がる。
今まで押さえられていた赤いマントが、ブルースのと並んではためいた。

隣のブルースは微動だにせず、その鋭い瞳を町中に光らせている。
黒のカウルから覗く頬が少しだけ痩せたように見えて、クラークは少しだけ恋人の身の上を案じた。

「…寒くなってきたから」

――素直に「ちゃんと寝てる？」「ご飯しっかり食べてよ」なんて云ってもうるさそうな顔をされるだけだろうし、逆に『バイタルチェックしたのか』なんてあらぬ疑いまでかけられてしまうから、クラークはなるべく穏便な言葉を選ぶ。

彼の言葉にブルースは顔だけを此方に向かせた。

「ほら、こんなに冷たい」

クラークは続けると、無防備に寒空に晒されたブルースの頬に触れる。
指先に感じる濃い髭の感触は、今朝から剃っていない証で、今宵はパーティのご招待もなかった証拠だった。

「…余計な世話だ」

そのまま街へと戻そうとする視線を引き止めて、ざらりと乾燥した唇をなぞる。

「ダメだよ、ブルース。
　君が倒れたら、誰がこの街を守るんだい？」

そう言って、優しく唇を重ね合わせる。

「ちゃんとケア、しなきゃ」

唾液で柔らかくなった其処に、もう一度彼は口付ける。
天下のプレイボーイの荒れた唇なんて、びっくりするほど珍しいものだ。

甘い余韻を楽しむ彼の耳に、遠く鐘楼の鐘が響いた。

――時間は丁度、真夜中零時。

「またね、僕のシンデレラ」

クラークが言うのと、バットシグナルが輝くのとほぼ同時だった。

「…誰がシンデレラだ」

ブルースは短く答えると、マントを翻してビルの谷間に落ちてゆく。
少しの間のあと、バットモービルが向こうの大通りを疾走していった。

「だって。
漆黒の中で眠る君は灰かぶり姫（シンデレラ）と同じじゃない」

クラークは主の居なくなった其処に小さく答えると、漆黒の空へと飛び出して行った。
ネオンに煌くこの街が嫌いなワケじゃない。けれど彼は故郷の星空が好きだった。


――ゴッサムは平和なのだろうか。否。バッドマンが居る限り其処に【均衡】が保たれるのだ。


＊FIN＊

過激派じゃないけどブルースは右固定。
長男ディックも右固定。
四男ダミアンは左固定です。
（突然の暴露）