Serena*Mのあたまのなかみ。
平和な駒鳥兄弟妄想。
ウェイン邸のハロウィンとクリスマスの飾りつけは毎年凝ってそうだし地元ではちょっとした観光名所にもなってそう(笑)
ウェイン邸のハロウィンとクリスマスの飾りつけは毎年凝ってそうだし地元ではちょっとした観光名所にもなってそう(笑)
もうすぐハロウィンを迎えるゴッサムシティは、通りを歩けばオレンジと紫のカラフルな装飾に溢れておりました。
魔女に黒猫、髑髏に蝙蝠…さまざまなキャラクターのシンボルで飾られた街は、犯罪の多い町だとは言えなんだか妙に浮かれて朗らかな街にも見えるのでした。
あまりこういったイベントに興味を示さないブルースではありましたが、ハロウィンと言えばゴッサムの大通りで仮装パレードがあり、そしてまた地区の子供たちがウェイン邸へとお菓子を求めてやってきますから普段は素っ気無いその豪邸もこの時期になると紫とオレンジに彩られるのでした。
勿論、蝙蝠の飾りも存分に使います。
先週のお休みを使って家族全員で家の周りの装飾は終わらせましたから(夜になるとキラキラと光る仕掛けも作ってありますし、なんとバットシグナルの電飾も用意しています)、今日は玄関の飾りつけをしようと兄弟全員で決めていたのでした。
長男のディックは軽やかに脚立に乗って天井のライトへ蜘蛛の巣に見せた飾りを乗せていきます。
次男のジェイソンは壁の装飾を一手に引き受けていて、そこかしこにカラフルなオーナメントを貼り付けていました。
それを手伝うのが末っ子のダミアンで、沢山のかぼちゃのランタンや黒猫の置物なんかを兄と口論しながら置いていきます。
そしてそんな兄弟を統括して飾りつけの細かな指示を行うのが三男のティムで、今もダミアンに飾りの顔向きの調整をさせたり、ディックに蜘蛛の巣の位置を変えさせておりました。
「ぼっちゃま方、少しお休みされては如何ですかな?」
上等なワゴンを押した執事のアルフレッドが紅茶を勧めます。
「あぁ、アルフ!ばっちりなタイミングだね」
脚立から歓喜の声を漏らしたのはディックで、ダミアンが飾りつけた人形をそのままに、アルフレッドお手製のクッキーに齧りつきます。
「わぁ、蝙蝠模様だ!」
ココア色のクッキーが蝙蝠に型抜きされていたのでティムが言うと
「ちょうど今の時期だとこう言ったお菓子作りの型抜きもハロウィン仕様になるんですよ」
アルフレッドは答えてジェイソンに温かい紅茶を手渡しました。
「いつ食べてもアルフレッドのクッキーは美味しいなぁ」
口の周りにクッキーの欠片をたっぷりつけて嬉しそうなダミアンに、ディックはその口をそっと拭ってやりました。
「今年のハロウィンのお菓子はこれにするの?」
毎年、ウェイン邸の配るお菓子はアルフレッドの手作りのお菓子です。
その年によってブラウニーだったりパウンドケーキだったり、キンキンに冷えた日にはその場で暖炉で作ったスモアを振舞った時もありました。
「そうですねぇ…」
アルフレッドは首を傾げます。
毎年のお菓子は大量でしたし、兄弟たちも手伝うのが常でした。
「これがいいよ、バットマンだし」
綺麗に型抜きされたココア色のクッキーを翳しながらティムが言うとアルフレッドは笑って頷きました。
どうやら、今年のウェイン家のハロウィンのお菓子は決まったようです。
「では、ぼっちゃま方、今年もお菓子作りの手伝いをお願いしてもいいですかな?」
兄弟も答えは決まっています。
「「「「もちろん!」」」」
*
「――と、言うわけで今年はバットマンのクッキーを配りますよ」
真夜中を過ぎて帰宅したウェイン家の当主であるブルースにアルフレッドは熱いコーヒーをサイドテーブルに置いて、今日の出来事を報告します。
コーヒーにはブランデーが入っていたので良い香りがあたりを漂っていました。
「もうそんな時期か…」
ブルースは脱いだばかりの漆黒のスーツを丹念に調べて呟きます。見回りだけで戦闘は無かったといえ、しっかりとチェックするのは彼のきっちりとした性格だからこそ出来ることでした。
毎年、訪ねてきた子供たちを出迎えるのに簡単な仮装はしていましたから、彼はアルフレッドを見上げると子供っぽく笑います。
「…今年はロビンの仮装でもさせようか」
言われたアルフレッドの目が見開き、そして彼も面白そうに笑みを浮かべました。
「ディック坊ちゃまとジェイソン坊ちゃまがどう反応されるか…」
「いいか、ロビンだぞ、ロビン」
ブルースは心底面白そうに続けます。
「では、ブルース坊ちゃまは…」
「勿論、バットマンに決まってるだろう」
特別製のクローゼットにご自慢の漆黒のスーツを仕舞うとやっとアルフレッドの用意したコーヒーに口を付けました。
「それなりの“風”の衣装を用意してくれ。もちろん、ロビンたちのもだ」
「坊ちゃまたちにはお伝えしなくとも…?」
「ディックとジェイソンは反対するに決まってる。だから当日までは秘密だな」
あまり感情を表に出そうとしないブルースの声が上機嫌なので、彼はこのハロウィンを楽しんでいるようでした。
「今年もよろしく頼むよ、アルフレッド」
ニヤリと笑った大きな息子に、アルフレッドは「仰せのままに」そうお辞儀しました。
――今年のウェイン家のハロウィンはどうなることやら。
絶叫する長男と次男の姿だけは目にしなくても想像できるでしょう。それに、兄らの格好に爆笑する弟たちの姿も。
きっとブルースは“肌色の厚手のタイツ”なんて許すはずもないでしょうから…
*おしまい*
いい年こいて生脚コスさせられるディックは私が見たいだけ。
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