ユーウツな月曜日と仲良しな金曜日

ジョジョの奇妙な冒険/仗億

友達の誕生日に捧げた一篇。
初めて書いた仗億ですw

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学生ならば誰だって憂鬱な月曜日の朝。
割と穏やかな（髪型に関することは別として）仗助だっていくら髪のセットが上手く出来てもこの日ばっかりは少しだけテンションが下がる日だった（月曜日のゴミ出しを朋子に頼まれる所為もある。なんでゴミ袋下げて歩かなきゃなんねっつーの）。
学校に着く前、いつもの曲がり角で「おはよ～」仗助よりもげんなりした顔をした億泰と待ち合わせてコンビニの自動ドアを開ける。仗助が窓側の漫画雑誌を捲ると、億泰は冷凍庫からお気に入りのアイスを取り出してレジに向かうのがいつもの流れだった。

――怖そうな面構えからは想像できないが、彼は大の甘党であり、憂鬱な月曜日の朝はこうしてストロベリー＆チョコチップのアイスを口にしないと元気が出ないと言うのだ。

「ありがとうございましたぁ」

夜勤明けの眠たげな店員に見送られてコンビニを後にすると、億泰は早速アイスをペロリと舐め上げる。

「あ～やっぱコレコレぇ」

強面の顔を緩ませながら嬉しそうに笑う億泰に自然と仗助の目も細くなる。

「なんかよ、リニューアルになってからチョコチップの配合が増えたみたいなんだけど…俺ぁ前の味も好きだったなァ」

柄も悪く縁石に座って（お行儀が良いのか悪いのか）アイスを頬張る親友の姿を仗助はじっと見下ろす。

ぺろぺろとよく動く舌、時折大きくアイスを食む唇――齧り過ぎて片側だけ膨れた頬に、本能をぶち込んだ熱い週末が脳裏を掠める。

仗助からの視線に気付いたのか億泰は

「そんな見たってやんね～ぞ」

怖い顔を作って彼に凄んだ。

「…いや、別に興味ねーし」

アイスには、ね。そう心で付け足して仗助がニヤリと笑うと、「？？？」素直な億泰は首を傾げる、その時――

「仗助くん億泰くん～！おはよ～～～っ！！」

通りの向こうで康一が手を振る。その隣には彼を慕う由花子の姿もあって、今日も彼女は通学鞄よりも随分と大きい重箱の包みを持っていた。

「おー康一、はよ」
「く～！　今日も見せ付けてくれるねぇ」

仗助も手を上げて挨拶すると、億泰ががっくりと項垂れる。そんな親友の姿に仗助は「やれやれ」肩を竦めると億泰の前に屈んでそっと耳打ちした。

「…俺じゃぁ、恋人として役不足？」

彼の言葉に億泰の目が見開く。
固まったままの恋人に仗助は「も～らい！」アイスを一口頬張ると

「こういち～一緒にガッコ行こうぜー」

そう通りに駆け出した。

「…は？　ま、ちょ…ま、待てよぉ～！！！！！」

目を瞬かせた億泰がやっと思考を現実に引き戻すと、慌てて残りのアイスを口の中に押し込めてワンテンポ遅れて仗助の背中を追いかける。そんな彼を見て通りの向こうの由花子が「顔が真っ赤ね。って言うか何で男の子ってあんなバカなのかしら。あっ康一君は別よぉ♡」なんてにっこりと笑顔を作った。
彼女の言葉に傍らの康一は

「ふふ、月曜日ってなんだか憂鬱だけどさ、こうして由花子さんと一緒に歩けるし、仗助くんたちは元気だして僕まで元気を貰っちゃうな」

なんて穏やかな笑みを浮かべて、恋人の由花子と微笑み合うのだった。

いつだって憂鬱な月曜日の朝。
だけど、恋人と過ごせるならば――其れも悪くない。

杜王町の、月曜日の朝の一幕である。

＊おしまい＊