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Serena*Mのあたまのなかみ。
僕のヒーローアカデミア/セロ上

コンドーム×セロ上
0.01になると値段が跳ね上がると聞いて。
薄さの心地は個人の妄想ですw


3連休を控えた金曜の6時間目、最後の土産とばかりに実施された抜き打ちテストが終わり「休みだからって羽目外して怪我すんなよ!」そう笑ったブラドキングに疲れた顔でA組が返事をする。チャイムが鳴ってブラドキングが教室から出て行くと、「休みだぁ~~~!」癒しを求めるように上鳴は前の席の尾白の尻尾をこねくり回した。
まだ気温の高い日が続くものの、級友の尻尾の毛の密度が濃くなってきたのは季節が秋に向かっているのを示してる。
担任である相澤がホームルームに戻るまでの時間、生徒たちは気を抜いた時間を満喫した。

「な、尾白は連休どうすんの?」

体術に優れた彼が休みの日は通い慣れた地元の道場に向かうのを上鳴は知っている。休みが長ければ、殊更彼は自己鍛錬に打ち込むだろう、地元に帰っても友達遊ぶことばかり考える上鳴は凄いと思う。

「やっぱ実家?」

続けた彼に、尾白は首を振った。

「この前の休みに帰ったからね、今回は学校に残るつもり。
 なかなか忙しくて部屋も片付けられなかったし…」

ふうん。
普通じゃん、呟いた上鳴に「…ったく」尾白は気分を害したように大きく尻尾を揺らす。
――と、

「上鳴~」

会話を中断するように彼の名が呼ばれる。上鳴が呼ばれた声に振り向くと、其処には瀬呂が立っていた。

「ん、なに?」

相変わらず級友の尻尾を堪能しながら上鳴が首を傾げると、瀬呂が口を開く。

「明日からお前実家帰んの?」
「なんで?」
「や、俺は寮に残るつもりだったから訊いてみた」

瀬呂の言葉に上鳴は悩んだ顔を作る。

「ん~…帰ろうと思ってた…けど……金もないし、尾白も残るんだもんな」
「さっき砂藤も残るって言ってたな。3時のおやつに新しいお菓子が食えるかもよ?」
「えっまじ? この前食べたギモーヴまた食べたいんだよね!」

瀬呂の言葉に上鳴が顔を輝かせる。聞いていた尾白も「砂藤も? じゃぁ体術の組手頼もうかな…」なんて言っていて、上鳴とは違う意味で級友が残ることを喜んでいた。

「んじゃ決まりな。ちょっと明日買い物に付き合え」

瀬呂が言ったところで「席に着け~」相変わらずの調子で相澤が教室に入って来る。

「あとで連絡して!」

上鳴も返すと、やっと尾白の尻尾も離して前を向いたのだった。



朝とも昼とも言えるような時間に買い置きしていたパンを食べた上鳴は、誘われるまま瀬呂と学校近くのドラッグストアへ買い物に行く。
衣替えをするのに衣類用の防虫剤が欲しいと瀬呂は言っていたが、別になくてもいいじゃん、上鳴は笑った。

「お前と違って繊細なの」

瀬呂も軽口に返すと防虫剤や、ヘアワックスなんかの日用品をポイポイと買い物かごに投げ込んでいく。
上鳴から見ればドラッグストアなんてコンビニよりお菓子が安いくらいで、後は別に好きでも嫌いでもない場所だった。気に入って使っていた芳香剤を置かなくなったのも“好き”じゃない理由の1つかもしれない。同じように安く買うなら、少し離れた繁華街にあるディスカウントストアで買う方が彼は楽しかった。

「ん~こんなモンかな」

スマホのメモを見ながら買い忘れが無いか確認する瀬呂に「おやつは~?」なんて上鳴がおどける。

「おやつは1つまでよ」

瀬呂も乗るように言うと、「あ」何かを思い出したようにまた店の奥の方へ向かう。
「待って」上鳴が追いかけると、棚の前に突っ立った瀬呂が「明日も休みだし、ヤるだろ?」並んだコンドームと上鳴の顔を見比べた。

「!!!」

恋人になって日が浅いわけでもないのに、こうして驚く上鳴の反応が堪らなく可愛いと思う。
言葉を呑んだ恋人に瀬呂は笑うと、1番安いパッケージの其れを買い物かごに入れた。

「…いつものと違うの」

歩き出した瀬呂の、シャツの裾を引っ張って上鳴は口を尖らせる。

「ん~…今日色々買い込んだし、ちょっとピンチなのよね?」

――2人の営みにコンドームは必須で、いつも用意するのは瀬呂の役目だった。
上鳴に買わせると、ディスカウントストアで妙なものばかり買ってくるから仕方のない結果とも言えるのだが。

瀬呂はレジへ向かおうとするが、裾を掴んだ上鳴は俯いたまま動こうとしない。

「上鳴?
 …でんきくん?」

2人きりの時のように下の名前で瀬呂が呼ぶと、ほんのりと頬を赤らめた顔で上鳴は恋人を見上げた。

「…か、金なら出すからこっちの薄いのにして」

【0.01】パッケージに描かれた其れは普段買うコンドームよりも少しだけ高く、けれど上鳴に言わせれば“気持ち良い”商品らしかった。
利用目的は同じなのに薄さによって金額の差があるのに瀬呂はイマイチ釈然としなかったが、それでもこうして色々なラインナップが“生き残って”いるのにはそれなりの理由があるのだろう。彼は口の端を上げると、買い物かごに仕舞ったコンドームを棚に戻した。

「セロ君ってば電気くんから愛されてるねぇ~」

そうニヤリと笑って恋人の指定したコンドームを買い物かごに投げ入れる。
普段から軽薄な態度ばかりなのに、こんな時ばっかり大人しくなるのは卑怯だよなぁ、瀬呂は思いつつ裾に伸ばされた恋人の手を掴んだ。

「ちょっ、瀬呂!」

慌てた上鳴に「誰も手ェ繋いでるから付き合ってる、なんで思わないでしょ」瀬呂は目を細める。

「コーラとメントスと買ってあげるから、盛り上がりましょ~ね」

悪戯に笑うと、上鳴もいつもの調子を取り戻したようだった。

「やっだぁ瀬呂君、電気くんのこと寝かさないつもりねぇ♡」
「…マジでやったら出禁だからな」
「……はい」

凄んだ恋人に上鳴が肩を窄めると、はは、整列した歯を見せて瀬呂は笑う。

――ま、マジに寝かさないつもりですけど。

隣部屋の轟は実家に帰ったのを確認済み。
裏に隠した恋人の本性に、上鳴はまだ気付いていないのだった。

*おしまい*

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