Serena*Mのあたまのなかみ。
バットマン/ジェイディク
風邪で弱って甘えるジェイソンの幻覚が見えたので採取しました。
やっぱり元気なジェイソンの方が安心しますね!(誰目線や)
風邪で弱って甘えるジェイソンの幻覚が見えたので採取しました。
やっぱり元気なジェイソンの方が安心しますね!(誰目線や)
恋人といつ会うのだって自由だし、お互いの都合が良い時に過ごせれば良い。
“大人”の関係に満足しているジェイソンとディックの2人ではあったが、いつも恋人の顔を見たがるのはディックの方で、幾つかあるジェイソンのセーフハウスに当たり前と言わんばかりに私物を増やしていくのだった。
「ね~…ジェイソン」
電灯の壊れたセーフハウスは、ディックの設える部屋とは違って随分と荒涼としていて、つい先日は上の階の配管から漏水して大変だったとジェイソンが教えてくれた。「引っ越ししたら?」何度ディックが提案したか分からない。けれど、その度にジェイソンは「別に毎日過ごす場所じゃねぇし、そこそこ便利だからこのままでいい」そう遮るのだ。
ディックは薄暗い室内で恋人に馬乗りになりながら口付けを捧げる。
ソファの前のローテーブルは買ってきたハンバーガーの包み紙が投げられたままで、冷えたポテトが雑誌の上に油の染みを作っていた。
「……ん…」
積極的な恋人にジェイソンの反応は冷たい。ただ、いつも恋人は冷淡な対応が多かったからディックもさして気にせず、そのまま恋人の本能を服の上から揉んだ。
単純に刺激されただけで雄の本能は力を持つ。しかもこんな扇情的な自分が視覚的に迫ってきているのだ。反応しない方がおかしい。
自信満々に恋人を弄るディックだったが、
「あ~…ちょっと…無理、かも」
上擦ったジェイソンの声に制される。
「…無理?」
行為を止めてディックは恋人を見つめる。
ほんのりと色付いた頬、目尻に溜まる涙は睫毛を濡らしディックを妖しく誘う。
――確かに、今日のジェイソンの反応は悪い。
けれど、疲れている時は鈍い事もあったし、気分に左右される反応であることも同じ男であるが故にディックは諒解していた。
「疲れてる?」
ディックは甘えるように囁いて額をジェイソンに合わせる。
「だったら何もしなくていいよ。僕が勝手に……」
独り遊びなんて慣れたものだ。
こう言っておけばそのうちジェイソンも乗り気になって(と、言うか抱かざるを得なくなる)くれるのを知っているし、そうすればこっちのもの。当たり前のようにズボンを脱がそうとボタンを外した、ジェイソンが上半身を起こした。
「ディッキー、今日は……本当に」
普段より低く響いた声に、ディックはお得意の上目遣いを恋人に投げる。
「…絶対、ダメ?」
夜に対して乗り気の恋人に、ジェイソンは溜め息を吐いた。
「…埋め合わせは必ずしてやるからさ。
なんだか今日、ちょっと気分が悪いんだ」
そう言って、またソファに倒れ込んだジェイソンの額にディックは手を伸ばす。
あまり熱は感じなかったが、確かに普段のジェイソンより体温は高いようでうっすらと汗ばんでいる。今日はハンバーカーしか食べてないし、アルコールの類は一切身体に入れていない筈だ。――言われてみれば、さっきキスした時も口の中が温かった気がする。赤い頬も潤んだ瞳も、具合が悪いと聞けば合点のいく反応だった。
「…え…ちょ、ま、ジェイソン!
具合が悪いなら早く言ってよ!?」
ディックは慌ててジェイソンの上から身体を退くと、大急ぎで彼を着替えさせてベッドに寝かしつける。
セミダブルのベッドは2人で寝るには狭かったが、ジェイソンが1人で寝るには少しだけ広く見えた。
散らかったセーフハウスとは言え、“セーフハウス”の名前を持つ以上、ファーストエイドキットの類は充実している。アスピリンを飲ませたあと、大人しく寝転がったジェイソンの額に氷嚢を乗せると、やっとディックは一息つくことが出来た。
「飲む?」
スポーツドリンクの入ったコップを見せると、薄目を開けたジェイソンは小さく首を振る。
「…毛布、足そうか」
ジェイソンの上に掛けられた上掛けが足りないように見えて、提案した恋人をジェイソンは引き留める。
「平気…だ」
そう言ってディックの腕を掴んだから、ディックは目を瞬かせるとぎゅっと手を握ってから布団の中に仕舞った。
こんな風に気弱な恋人は珍しい。滅多に人に頼ることをしない弟が、こうして自分を必要としてくれるのが妙に嬉しかった。
「…もう、具合が悪いんだったらちゃんと言ってよ」
恋人の不調に気付かずに身体を重ねようと誘った事実を棚に上げて、“兄”らしくディックは頬を膨らませる。
「別に。我慢すれば治るかと」
さらりと弟の口から出た言葉に、彼の悲惨な幼少期が脳裏を掠めてディックは口を噤む。けれど、直ぐに目を細めると優しくジェイソンの毛布を撫でた。
「…我慢しても直るけどさ。
具合が悪い時はあったかいチキンスープを飲んで、ゆっくり寝るのが1番だよ?
あ、明日の朝はチキンスープを作るからね!」
あとでアルフレッドに簡単に出来る作り方教えて貰わなきゃ!ディックは考える。
「僕はソファで寝るからさ。
もし何かあったら呼んでよ」
ジェイソンの頭を撫でてディックは微笑む。一晩中の看病が必要なくらい酷い不調には見えなかったから、ゆっくり眠るのが1番の薬だろう。睡眠が体調回復に大切なことは彼自身も身を持って経験していた。
ジェイソンは恋人の言葉に視線を逸らす。続けて、小さく呟いた。
「……寝袋ならクローゼットに入ってるから。
嫌じゃなければ、此処に居て欲しい」
いつもはきりりと上がった眉が八の字に歪んで、捨てられた仔犬のような視線を向けられると、ぎゅっとディックの心は掴まれる。
――あぁ神様! こんな素直なジェイソンなら、ずっと風邪を引いてくれて構わないのに!!
不安げな表情から小さな子供に見える恋人に、ディックは精一杯の兄の顔を作って看病するのを誓うのだった。
*
「――っ、もう!
どこをどう調理すればここまでマズく出来るんだよ、なぁ?」
翌朝、「おはよう、ジェイソン。朝ご飯のチキンスープが出来てるよ」なんて優しく起こすまでは良かったものの、一晩ぐっすり寝てすっかり体調の良くなったジェイソンの怒号で、ディックの考える甘えたな恋人の時間は終わりを告げたようだった。
「…えっと? コンソメと…あとはチキンとセロリと玉ねぎだけど…」
指を折りながらゆっくりとディックは問いに答える。材料だけ聞けば不味く仕上がる要素は少ないものの、そこは壊滅的に料理の才能に欠けるディックだ。きっと、何か独自のアレンジを施したのだろう。病人用に作った物だからか、全ての材料が小さく切られて生煮えじゃないだけ“安全”な食べ物だった。
「あ~~~…もう、どけ!
作り直す!」
テーブルに置かれたボウルのスープを雑に鍋に戻すと、手早くジェイソンは味を調える。薄味過ぎるベースはコンソメを足して塩で締めて。トマトケチャップも足してトマト風味変えると随分と味の良いスープに変身した。
「わ~!天才!流石ジェイソン!!」
味見用の小さな小皿から出来立てのスープを一口貰って、ディックは手を叩く。
「…ったく」
小さなキッチンで背中を丸めながら悪態をつく恋人に、ディックは頭を掻く。それから、真剣な眼差しでスープを掻き混ぜるジェイソンを見上げると、やっぱりジェイソンはこうじゃなきゃ!そう、目を細めるのだった。
「ほら! ぼんやり見てないで早く食器渡せ。冷めるぞ」
恋人の視線に気付いたのか、ジェイソンが苛々と舌打ちをする。けれど、いつもの調子の彼に安心して、ディックは満面の笑みを浮かべるのだった。
「はぁーい!」
*おしまい*
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