Serena*Mのあたまのなかみ。
バットマン/蝙蝠一家、駒鳥兄弟
お題箱より
>蝙蝠一家で駒鳥たちにめちゃくちゃ甘いパパバッツがみてみたいです
駒鳥兄弟俺アース!
多分、リクエストの意図と違うだろうなぁと思いつつも浮かんでしまったネタがコレなので仕方ない。
過去捏造はお家芸です()
お題箱より
>蝙蝠一家で駒鳥たちにめちゃくちゃ甘いパパバッツがみてみたいです
駒鳥兄弟俺アース!
多分、リクエストの意図と違うだろうなぁと思いつつも浮かんでしまったネタがコレなので仕方ない。
過去捏造はお家芸です()
夏の盛りのある夜、急に空が曇りだしたかと思うと激しい雷鳴が辺りに鳴り響きました。
倉庫の天井を打ち付ける雨音は強く、その音に思わずジェイソンは目を覚まします。
喉の渇きも覚えましたから、仕方なく彼は屋敷へ続く道と駆け出したのでした。
同じ頃、お屋敷で寝ていたディックも稲光に目を覚まします。
彼の部屋の大きいバルコニー付きの窓はいつもカーテンが開けられたままです。それは時々父に会いに来る恋人が彼にも挨拶をしていくからで、星空を見るのが好きだったディックはいつでもこうしてカーテンを開けて寝るのが好きなのでした。
ピカピカと光る空に、ディックは目を擦ります。小さく欠伸をしてカーテンを閉めてベッドに伏しましたが、どうも変に目が冴えてしまったらしくぱたぱたと寝返りを打つばかりでしたから、冷たいレモネードでも飲もう、とナイトガウンを羽織ったのでした。
地下のケイブに近い自室でモニターと睨めっこしてたティムは突然の天候の不調に電子機器の電源を落とします。
勿論、このお屋敷に大きな雷が落ちたって電子機器が壊れる可能性は0でしたが、ちょうど作業がキリの良いところだったこと、それから少しお腹も寂しかったので何か摘んでから眠ろうと食堂へ行こうと椅子を引いたのでした。
ちょうどダミアンがトイレで用を足していた時に空がゴロゴロと鳴る音が聴こえました。
間を置かずして光る雷が小さなトイレの窓から差し込みます。それに、大降りの雨の音も。
なんだか雨の音を聴くとわくわくしてしまうのは彼がまだ少年だからでしょうか。にやりと口の端を歪めて、彼はトイレを後にします。
時折光る雷が屋敷の廊下を照らす中、食堂に明かりが灯っているのが見えましたから「何だろう?」ダミアンは木製のドアを開けたのでした。
「やぁ、ダミアン」
ドアから顔を覗かせた彼に最初に挨拶をしたのは水滴の付いた水差しを持った長兄・ディックでした。
「雷で起きちゃった?」
彼の青いガウンが優しく揺れます。
「飲む?」
差し出されたレモネードを受け取るとテーブルの端に三番目の兄も居ることに気付きました。
木製の大きな椅子によじ登って兄の向かいに座ります。
彼の前には大きなクッキーが置かれていて、弟の視線に気付くと彼は皿をダミアンに押し遣りました。
その時です。
食堂の勝手口のドアが開き、ずぶ濡れの人物が雷光に浮かび上がります。
「ジェイ!」
濡れ鼠のような弟にびっくりした声を上げたのは面倒見の良い長兄で、彼は慌ててティムを呼んだのでした。
「戸棚のタオルを持ってきて!」
*
びしょびしょのジェイソンの部屋着を絞り上げて、自分の羽織っていたガウンを貸し付けてからディックは温めたレモネードを弟の前に差し出します。
暑い盛りの時期ではありましたが、ずぶ濡れで体が冷えたのを感じていたので素直にジェイソンは兄の拵えた飲み物に口を付けたのでした。
「…ふぅ」
やっと一息着いて椅子に座った長兄を弟たちは労わります。
相変わらず窓の外は激しい雷雨で、足元が真っ白くけぶっているのが分かりました。
「父さんはパトロールかな」
ダミアンが呟きます。
前髪から雫を滴らせる隣の兄を見遣って、ふと、父とパトロールしていたある夜、こんな雨に降られて父のケープの中に入った事を思い出しました。
「…そう言えば、父さんとずぶ濡れで帰ってきたことがあったね」
目の前のティムも同じことを考えたのでしょう、ダミアンをじっと見つめます。
「父さんが珍しく『濡れないように』ってケープを広げてくれたんだ」
ぽつりとダミアンは話します。
「…だから、僕はそんなに濡れなかった」
あまり愛情表現が上手ではないブルースが時おり見せる愛情を、子供達はそれぞれ思い出していました。
「…僕はねぇ」
ディックが口を開きます。
長兄の彼は誰よりも一番ブルースから厳しく躾けられ、そして深い愛情も受け取っていました。
「きっとダミアンくらいの年の頃かな。
サマーキャンプで1つ年上の女の子に恋をしてね。…っても勝手に僕が好きになってただけで一緒にキャンプファイヤーもしなかったんだけど。結局なにも出来ずにサマーキャンプが終わって、悲しくて大泣きしてたら父さんが無言でココアを作ってくれたのは忘れられないなぁ」
「父さんが、ココアを?」
驚いた顔をしたティムに、ディックは微笑みます。
「そう。粉を溶かすだけのタイプだと思うけど。
背中を擦ってくれて、僕が泣き止むまでずっと隣に居てくれたんだ」
「…お前でも失恋して泣く時代があったんだな」
向かいに座ったジェイソンが皮肉ると、「もう!」ディックは口を尖らせました。
「じゃぁ、次は僕が話そうかな」
クッキーを割ったティムが話します。
「僕もやっぱり子供の頃の話なんだけどさ。
ウェインの家に引き取られたばっかりの頃、学校になかなか馴染めなくて。あの日は『お腹が痛い』ってアルフレッドを困らせてたんだ」
「“病院”に行くと嘘がバレるもんな」
口を挟んだダミアンにティムは頷きます。
「そうなの。病院に行く、行かないで押し問答してたらさ…父さんが帰って来て。
きっと分かってたんだろうなぁ。自分も疲れてるのに『じゃぁ今日は父さんと一緒に休もうか』って言ってくれてさ。見たかった映画をルームシアターで一緒に観てくれたんだ。子供向け映画だからきっとつまらない映画だったとは思うけど」
ティムは苦笑します。
「…でも、それからはあんまり学校も嫌じゃないなって思えてきてさ。やっぱ父さんの力って凄いよ」
“兄”としての姿しか知らないダミアンは兄たちの話は大変興味深く、静かに聞き入っていました。
「ね、ジェイは?
君にはどんな風に父さんが優しくしてくれたの?」
覗き込んだディックに、ジェイソンはそっぽを向いてクッキーを鷲掴みにし、豪快に口に放り込みます。
「…ほらほら、みんな言ったんだから」
ニヤニヤと続けるティムを一睨みしましたが、その隣のダミアンのキラキラした視線に負けて、ジェイソンはぽつぽつと語りだしました。
「…俺は。
俺は…お前たちみたいに父さんの『良い子』じゃねぇし…
インフルエンザになった時は隣で看病してくれたな。
病人にポップコーン持ってくる気持ちはちょっと分からないけど」
遠い、少年の日を思い出す視線になったジェイソンに、思わずディックも目を細めました。
「父さんってさ、愛情表現が下手だよね」
ポップコーンの話を受けて、彼は頷きます。
――誰よりも優しいのに、どうしても厳しさの方が勝ってしまって。
損な性格だよなぁ、一番長く“父”を見ていたディックは思います。
「“愛情表現”ならディックの方が上手だよね」
ウインクしたティムに他の兄弟も続けます。
「でもディックって“ママ”だよな?」
「アルフレッドは“お母さん”って感じがする…」
ジェイソンとダミアンの言葉に、“ママ”と言われたディックが困り顔を作ります。
「えー?
僕3人の息子のママなの~?
そしたらもっとママに優しくしてよ」
おどけて笑うと、兄弟も皆笑いました。
と、そこでダミアンが窓を指差します。
「雨、上がってる」
ほんの少し前まで雷鳴を轟かせていた空はいつの間にか夜明け前の静寂を取り戻していました。芝生の緑が雨に濡れてつやつやと輝いて見えます。
「じゃぁ、もう一眠りしようか」
兄弟の使ったカップやらお皿をトレイに載せてディックが呟きます。
暖炉の上の飾り時計は朝の4時を指していて、空が白んでくる時間になろうとしていました。
「明日は休みの日だよ。父さんに『甘やかして』っておねだりしてみようか」
悪戯っ子のようにティムが含み笑いをすると、
「賛成!」
珍しく嬉しそうにダミアンが声を上げました。
「…どんな反応をするか楽しみだね」
優しく微笑んだディックに、「付き合ってられるかよ」やれやれとジェイソンは肩を竦めました。
*
同じ頃――
地下のケイブにパトロールから帰ってきたずぶ濡れのブルースが小さくくしゃみをします。
「坊ちゃま、風邪ですかな?」
濡れたケープを受け取ったアルフレッドに、「さぁ…」ブルースは首を傾げたのでした。
*おしまい*
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