要はボロミアさんとメリピピが仲良し、ってそれだけ。
あと、まだレゴとギムが仲良くないのがポイント(笑)
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「おぉ、そうじゃ」
2回目の朝ご飯の後、サムが豆を炒っていた時にガンダルフは何か思い出したようでした。
「どうしましたか、ガンダルフ?」
隣で、皿を片づけてたフロドが尋ねます。
向かいでは、まだメリーとピピンがソーセージとチーズを頬張っていました。
お前ら、そんな小さな体でよく食べるなぁ、とボロミアが笑っています。
「『豆まき』と言うのを知ってるか?」
ガンダルフのパイプ草が火花を散らします。
(それは、本当に炎で出来た花でした!)
「いいえ」
フロドは首を振ります。
アラゴルンが、
「昔、エルロンドの館でそんな話を聞いた気がする…」
と言いました。
「確か、無病息災を祈っての風習でしたよね?」
さっきまで岩の上で見張りをしていたレゴラスが、声を掛けました。
「…エルフの祭りなぞ、俺は知らん!」
ギムリはそっぽを向いてしまいました。
「いや、大昔の人間の祭りじゃ。
なんだか呪文を唱えながらな…豆を撒くのだ。
…はて、どんな呪文だったかのぅ…」
ガンダルフはパイプ草を燻らせます。
「豆を撒くの?
もったいない!」
メリーとピピンはやっと食事を終えたようで、身を乗り出してきました。
「そーゆー祭りじゃからのぅ…
おぉ!そうじゃ!!
『鬼は外 福は内』 じゃ!」
ガンダルフの吐いた煙が花火の形になります。
「鬼役を決めて、鬼に向かって投げるんですよね」
レゴラスが言うと、アラゴルンも頷きます。
「あぁ、そんな話だった」
そこへ、ちょうどサムが豆を持ってきたので、ピピンが言いました。
「それじゃぁ、その豆まきってのをしようよ!
これから、僕たちの旅が無事に終わるように!」
祭りの時期があるのだが…、言いかけてガンダルフは止めました。
楽しい事が大好きなホビットを止める術を知りませんでしたから…
「じゃぁ、鬼はボロミアさんね!」
メリーが続けます。
「ぁ?!
どうして私が…」
「だってボロミアさんの怒った顔、凄く怖いもん!」
目配せして逃げたメリーとピピンをボロミアが追いかけます。
「豆も持たずにどうするつもりじゃ…」
ガンダルフはため息を吐きましたが、フロドはレゴラスに習って豆をぱらぱらと撒きました。
「鬼は~そと!
福は~うち!!」
「豆は食う方がいい」
ギムリは炒りたての豆を頬張ります。
「最後に自分の歳の数だけ食べるのじゃが…
これはホビットだけに云った方が良いの」
彼の呟きに、アラゴルンが苦笑して頷きました。
「待て~~!
八つ裂きにしてナズグルの供え物にしちまうぞ~~!」
向こうでは、ボロミアとメリーとピピンが相変わらず追いかけっこをしています。
まだ、エルロンドの館を出発して間もない頃のお話です。
*FIN*