Serena*Mのあたまのなかみ。
僕のヒーローアカデミア/心尾
※プロヒ/同棲
猿夫のライフセーバー姿が見たいよママァ~~~~(大の字)
※プロヒ/同棲
猿夫のライフセーバー姿が見たいよママァ~~~~(大の字)
いくら雄英高校を卒業して“プロヒーロー”の資格を持ったとしても、社会に出て働き始めればその生活は一般人と変わらない。
家賃は払うし、生活費も必要、それに社会人としても付き合いもあった。身分相応の暮らしをしていると自負している心操と尾白ではあったが、事務所を通した仕事の他に小さなバイトをして日銭を稼ぐこともあった。
これは、そんなまだサイドキックな時代の2人の話——
「なー、人使。
今度の仕事なんだけど」
社会に出て半年、久し振りに休日が重なった2人が家仕事を片付け、たまには美味しい物を食べに行こう(デートしよう)よ、なんて電車に乗って少し大きな町で食事をして買い物をした帰り道のことだ。
駅の時刻表を見上げた心操に尾白が袖を引く。
「ん? なぁに」
紺色のコットンシャツを引っ張られた心操は恋人を振り向く。
「事務所の仕事じゃなくてバイトの方?」
まだ電車が来るまでには時間がある。
家具屋で買ったプラスチックの収納ケースを抱えた心操がベンチに座ると、尾白も隣に腰を下ろした。
「うん。月末の金曜日なんだけど。
プールサイドでの保安警備」
尾白の言葉に心操は首を傾げる。
「あれ、猿夫、ライフセーバーの資格持ってたっけ?
この前事務所で取れって言われてたヤツ??」
「うんにゃ、事務所のはまた別。
俺たち、プロヒの免許あるだろ? なんかそれにライフセーバーの資格も入ってるらしくて。単独での任務の場合は別に筆記試験を受ける必要があるんだけど、ライフセーバーの資格を持つ人と一緒なら業務上では資格が適用されるらしい」
「へぇ…そうなんだ。知らなかった」
「うん、俺も。蛙吹に聞いたら、筆記受けて資格は別に持ってるって」
「あー…確かに蛙吹なら単独での業務も多いしな」
心操は答えると、ライフセーバーの格好をした恋人の姿を思い浮かべる。
黄色と赤の紐付きの帽子に6つに割れた腹筋が眩しい。黄色のボディボートを抱えて「今助けるからな!!」溺れた子供へ一直線に波間を縫う後ろ姿は頼もしかった。
「…似合うね」
口元を緩めた心操に「なーに想像してんだよ」唇を尖らせて尾白は小突く。けれど、直ぐに真面目な顔を作るとそのまま続けた。
「それがさ」
声のトーンを落とした尾白に
「それ、ここでしていい話?」
心操は周囲を警戒する。
ヒーローの仕事だ、機密事項も多い。
けれど、尾白は首を振った。
「バイトの方、つったろ?」
怖い顔をした心操の眉間を突くと、尾白は苦笑する。
「なんかさ、ホテルのプールを貸し切ってのイベントみたいで。
ナイトプールだしDJなんかも呼んで派手にするんだって。
…で、さ。
保安警備ではあるけど、招く人と同じような水着で来て欲しいって話でさ」
ライフセーバーの格好じゃなくて残念だな、歯を見せた恋人に「もう」今度は心操がそっぽを向く。
「警備だからこっちもトランシーバーとか装備あるのにな」
苦笑した尾白に心操は頷きつつも、はっと顔を上げた。
「…あれ?? じゃぁ、仕事用の水着を買わなきゃダメなんだ? 尻尾用ってある?」
心操は荷物を足元に置くと、ボディバッグからスマートフォンを取り出して検索する。
『水着 尻尾用』
そう打ち込んで出て来た画面に、彼は目を白黒させた。
「ま、猿夫! これ…!!」
出てきたのはジョグストラップのお尻が顕わになった競泳用の水着ばかりで、普段の洋服よりもずっと肌面積が多い。
DJの奏でる重低音の音楽、ネオンの光に照らされたプールサイドにそんなセクシー過ぎる水着を身に着けた筋肉美な恋人の姿——
「だ、ダメダメダメダメダメ!!!!!!!」
大きく首を振った心操に尾白の表情が曇る。
「…え…? 猿夫、まさか……」
「事務所で一番世話になってる先輩からの話で断りづらくて…
それに……バイト代も凄く良くて…」
――待て待て待て待て。
嘘だろ、猿夫。金の為にこの格好をするのか!?
恋人が口を開く前に心操は叫んだ。
「ダメだ猿夫!!!!!」
がばと跳ね起きた恋人に
「どうした人使」
背後から穏やかな恋人の声が耳に届く。
場所は、見慣れたリビング。
2回目の洗濯物を干して、ちょっと一息、ソファに座ってしまった転寝(うたたね)をしてしまったらしい。
テレビの前に置かれたデジタル時計に今日が休みの日で、ほんの10分ほど眠ってしまったことを理解する。
「…めっちゃ…怖い夢、見た…」
頭を抱えた恋人に「はは」キッチンで洗い物を片付けていた尾白が
「ちょうどお茶淹れたから飲めよ。落ち着くぜ」
なんて色違いのカップに注いだ緑茶を差し出す。
「あ、あぁ…ありがとう……」
心操は素直に其れを受け取ると、尾白は恋人の隣に座った。
温かい緑茶を一口飲んでふぅ、ゆっくりと息を吐いた心操に尾白は切り出す。
「あ、あのさ人使。
ちょっと仕事のことで相談があって」
見上げて少し可愛らしい顔を作った恋人に心操は弱い。何かお願いことがあると尾白はこうして“おねだり”するのだ。尾白に言わせれば心操も“そう”して自分に迫ると言うのだが。ここで2人の惚気について語るのは止めておこう。
「…? ん? なぁに」
心操は尾白に尋ねる。
――心操の背後、ダイニングテーブルに置かれた書きかけの書類には『ナイトプール警備のご案内』の文字。
「仕事、手伝って欲しいって先輩から言われて」
心操の、苦難は続く――
*おしまい*
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