Serena*Mのあたまのなかみ。
NARUTO/カカイル
明けましておめでとうございます。久しぶりに文字を書きました。
火影さま×教師のカカイルです。
今年もよろしくお願いします。
明けましておめでとうございます。久しぶりに文字を書きました。
火影さま×教師のカカイルです。
今年もよろしくお願いします。
「お気をつけて!」
慌ただしく恋人の背中を見送った夜明け前、振り向いた自室の惨状にイルカは肩を落とす。
夜は冷え込んで来たと気も早く出した炬燵の上には食べかけのおでんの残りと転がった酒の瓶。癇を温めていたストーブの上の鍋の水はぬるく、乱れたベッドは言わずもがな。
せめて寝る時くらいは綺麗なシーツにしたいと剥がされたシーツは恋人と自分の体液に塗れ、静かに洗濯の時を待っていた。
流石に夜明け前から洗濯機を回すのは気が引けるし、かと言って汚れ物を見て見ぬふりをするのも忍びない。
イルカは小さく溜め息を吐くと、ぽとぽとと落ちた服を拾って洗濯機の中を開けた。詰め込まれた洗濯物を無造作に麻袋に突っ込むと、最後にシーツとタオルもその中に詰め込む。
歩いて10分の場所に、24時間営業のコインランドリーがある。
1番大きな機械を占領して、それから乾燥機にもかけて。
いつもは天日で干すイルカの、朝早くだからこその贅沢に微笑すると、金に頓着しないあの人に似て来たかなぁ、なんて小銭入れを掴んだ。
大戦が終わって1年。
まだまだ里は復興の途中ではあったが、随分と“以前の暮らし”に近くなってきたと思う。
子供たちも安心してアカデミーで学べるし、忍への任務だって危険な依頼が随分と減ってきた。
其れは、恋人でもあるカカシ(火影)の尽力であるところも大きい。
出会った時から上忍、遂には火影にもなった恋人に気後れするようなイルカではなかったが、それでも自由に会えない日々にはもどかしさも感じていた。
戦漬けの日々ならまだしも、こうも“平和”が続いてしまうと――
――まぁ、流石に火影様と同棲、なんて難しいよなぁ。結婚ならまだしも、な。
理解しようと努力している言葉を朝もやにそっと吐き出すと、洗濯物を抱えたイルカはパックンにも似た犬の根付の付いた鍵を回すのだった。
*
カカシが玄関のドアを開けると、一抹の寂しさがその身を覆う。
火影になって1年、何度も引越しを促されたが部屋に帰ることは多くないし、火影室の方にも自由に使える仮眠部屋があったから、彼はそのまま住み慣れた部屋を引き払えずにいた。
――引き払えない理由の1つに恋人の存在もある。
外遊で帰らない家主の代わりに、恋人のイルカは部屋の空気を入れ替え、埃の積もった本棚を掃除してくれるのだ。
カカシが里に戻った時、受付の仕事をしている恋人と連れ立って里の商店街を歩くのは彼の密かな楽しみで、幸せな時間でもあった。
「さ、行きましょう!」
愛を営んだ翌日、一緒に家を出るのもカカシの好きな瞬間だ。
それがどうだろう。
今宵は『おかえりなさい』そう迎える恋人の姿も無く(当たり前だ。イルカは別の場所に住んでいるのだ)ただ冷たい静寂が広がる。
「おべんと、美味しかったです」
誰に言うわけでもなく呟いて、カカシは恋人が作ってくれた弁当の空箱を置くと風呂場の明かりを灯して手を洗う。
『ちゃんと手を洗わないとダメです!』
アカデミーの教師らしく口煩い恋人に感化されちゃったな、なんてカカシは目尻を下げると
「あ、ついでに風呂洗っちゃお」
また独り呟いた。
簡単だけれど、鏡を磨いて置いたボトルのぬめりを拭いて。
1人で暮らす時よりも随分と石鹸の減りが早いのは髪の長い恋人の所為だろうか。
排水溝を開けた先に、白く短い毛に長い髪が絡まったのを見て「1人ってこんなに寂しかったっけ」カカシはしょんぼりと肩を落としたのだった。
*
其れは、いつもと変わらない帰り道。
商店街で惣菜を買うにしても、カカシとイルカ、どちらの家に行くかを2人は決めかねていた。
順番だけで言ったら今宵はカカシの家になる。
けれど、彼がこの家に帰るのは久しぶりだったし、イルカも忙しくて空気の入れ替えも出来ていなかった。
そんなイルカの家だって、忙しいのが続いたからシンクにはカップラーメンの空が重なってると訪問に対して良い顔をしてくれない(あんなあられもない姿は晒しているのに!!)。
「ん~…じゃぁ、久し振りに外でご飯食べて…それで、開催にしちゃう?
オレも暫くは書類仕事で里に居るからサ」
カカシの言葉にイルカが俯いて、ぎゅっと彼の服を引っ張る。
――こんな時、一緒に住んでたらこんな不毛な会話だってしなくて良いのになぁ。
同じ里に住んでいるのに。互いの家の合鍵だって持っているのに。
細い三日月を見上げて溜め息を吐いたカカシが、はたと気付いた顔で傍らの恋人に振り向いた。
「ね、イルカ先生」
口を開くと、いやに真面目な顔をしたイルカと視線がぶつかる。
「あの……カカシさん」
――共に長い年月を過ごした恋人同士、綴る言葉に差異はなかった。
『一緒に、暮らしませんか――』
*おしまい*
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