Serena*Mのあたまのなかみ。
NARUTO/カカイル
食に興味のないカカシさんの話②
食に興味のないカカシさんの話②
――食事、なんて別にどうでも良いものだった。
在籍したアカデミーで『行儀よく食べましょう』だの『栄養バランスを考えよう』だの教科書を読ませられたが、暗部の任務中なんかにいちいち緑の野菜を食べようだの魚を摂ろうだの、そんな細かい事は考える暇はない。そんな事に割く時間は労力の無駄だと兵糧丸を齧り、造血剤を呑み込んだ。
暗部を離れ、下忍の面倒を見る頃になってもやっぱりカカシは食に興味は持てず、1人で過ごす夜はいつも兵糧丸を噛み砕き、土産に貰った酒をちびりと舐めるのが常だった。
そんな彼にも“春”は訪れる。
担当した下忍の恩師、出会いの印象は最悪だったが、そこは大人の世界だ。作り笑いで感情をごまかし、彼には近付かない――そう思った筈なのに。
切っ掛けは何だったか。アカデミーの受付で向けられた愛想笑いか、それとも夕方の木ノ葉マートで見掛けた真剣な表情か。いつの間にかカカシの視界にイルカが入り込み、そしてそれは世界の中心になった。
例え“食”に興味は無くとも、愛い人との親交を深めるのに彼はイルカを食事に誘う。
上忍がよく使うひっそりと佇む高級料亭、安くて旨いと人気の居酒屋、イルカの好物の一楽――
出されたものが“美味い”のか“不味い”のか、カカシにはよく分からない。
けれど、隣に座るイルカが「美味いですねこれ!」そう嬉しそうに目を細めるのを見ると、それだけで充分とカカシは酒を傾けるのだった。
「せーんせ、いる?」
施錠した鍵を合鍵も無しに解錠したカカシが、手土産を片手に玄関の暖簾を潜る。
すると、玄関直ぐの台所に立ったイルカが顔を上げた。
「あっ、カカシさん!」
おかえりなさい――言う前に奥の部屋から威勢の良い声がカカシの耳を劈く。
「あーーーーっ! カカシ先生だってばよ!!」
間仕切り代わりに下げた暖簾から顔を覗かせた愛弟子に、カカシは目を瞬かせる。
「あれ、イルカせんせ…」
サンダルを脱ぎつつ下忍を指差したカカシにイルカはフライパンを振りながら苦笑した。
「さっき帰り道で会って。
久し振りだし一楽に…って誘われたんですが、カカシさんも今日帰ってくると思って。そのまま家に呼んじゃいました」
ちらりと横目で見遣ったフライパンの中身は、カカシの好きな茄子を使った料理で。
手際よく炒めて大皿に盛ったイルカが少し困ったように見上げたから、
「ぜーんぜん!」
カカシも大人の対応を見せた。
「これ、紅が美味いって教えてくれたお酒なんだけど…これは今度飲もっか」
差し出された風呂敷包みに「すいません」イルカは肩を竦めると大瓶を受け取って食器棚の陰に置く。
「今日は茄子の味噌炒めに筑前煮、魚はブリの照り焼きです。
あとは厚焼き玉子も焼こうと思ってたんですけど…」
手早く今夜のメニューを伝えるイルカにカカシはにっこりすると「大根下ろすの、やりますよ」手伝いを申し入れる。
それから
「ナルトー! 料理出来たから持ってけ!」
「今、箸並べてるってばよ!!」
なんて少しだけ上忍風を吹かせるのだった。
*
「「「いただきます」」」
小さなちゃぶ台に所狭しと並んだ料理に、家主のイルカ、それにカカシとナルトが手を合わせる。
大盛りの丼を渡されたナルトは「多いってばよ」文句を言っていたけれど、成長期真っ只中の少年だ。あまり好みではない野菜の炒め物でも味付けは濃いから食べちゃうんだろうな、ほんの少しだけ盛られた自分の茶碗を見つめながらカカシは思う。
イルカと一緒の時は食事をしようと意気込むものの、任務帰りの肉体はどうも“それ”を上手く受け入れられず、こうして人の半量を身体に入れるのが精いっぱいだった。足りない分は兵糧丸があるし…言うといつも怒られるのだが、慣れてしまったものは仕方がない。そんな理由でイルカの家にもカカシの愛飲する兵糧丸は置かれているのだった。
「ん~~~~~~!!!!!!!
先生の料理めちゃくちゃ美味いってばよ!!!!!!」
口いっぱいに白米を詰め込んで、更に茄子炒めに箸を伸ばしたナルトが絶賛する。
「ほらほら、飯は逃げないからそんな慌てんな」
イルカは麦茶を注いでやるとナルトの前に置いた。
こんな風に美味しいって褒めて貰えるのは嬉しいよねぇ、好物の茄子を口に運んだカカシも「美味しい」イルカに微笑む。
「大葉の香りが爽やかで唐辛子も良い仕事してるってばよ!
それに照り焼きの針ショウガもアクセントになってて美味いし、イルカせんせぇ、料理の腕上げたな!?!?!?」
キラキラした目を向けるかつての生徒に「ぅぇ?」イルカが怪訝な顔を作る。
恋人の気を察したのか、カカシが口を挟んだ。
「…どったの、ナルト。食レポなんか出来るようになっちゃって」
――確かに、以前のイルカの料理と言えば出汁入りの味噌を溶いた味噌汁にめんつゆを豪快に投入した野菜炒めが多かった。豆腐の上のネギが繋がっているなんて当たり前で、『好きに味付けしてください』なんて野菜炒めと一緒に塩と醤油、味噌を並べられた事もあった。
「……ん?
エロ仙人がさ『一流の忍たるもの、一流を経験しないとダメだ』っつってさ…よく美味しいお店に連れてってくれるんだってばよ」
事も無げに伝説の忍を“エロ仙人”と形容するナルトにイルカは頭を抱え、「でも、美味しい物を食べたからってそれをレポート出来るのは違うんじゃナイ?」カカシは話を広げる。
「エロ仙人がさ、『美味いって一言で言ってしまえば簡単だが、美味い理由があればもっと嬉しいだろう?』って言っててさ。前に一楽のおっちゃんに『チャーシューが柔らかくて口の中でとろける!』って言ったらさ、すっげぇ喜んでくれてさ…ちょっとだけ見習おうと思ってばよ」
得意げに胸を反らせたナルトに「ナルト~…」イルカは目を潤ませる。
――観察眼、か。
愛読書を思い出しながら、恋人の手料理をもう一度口に運んでカカシは気付く。
少し前に足を運んだ、料亭の照り焼きにこんな風に針ショウガがあしらわれていた。その前に訪れた惣菜を並べた小料理屋では、こんな風に大量の大葉は入った茄子の味噌炒めが並んでいた筈だ。確かに、昔は卵焼きだって塩味のシンプルなものだったのに、いつの間にかだし巻きに変わっていた――
余りに食べる行為に興味が無さ過ぎて、隣で微笑む恋人の存在に満足してしまっていて。
なのに、恋人は自分も“美味い”と思えるようにこうして小さな努力は重ねていて――
「あ~~~もう!」
急に頭を掻いたカカシに、隣のイルカとナルトがびくりと反応する。
「ど、どうしたんですか急に」
「センセ、びびらすなってばよ」
心配そうに見上げた2人に「ううん、こっちの話」カカシはそう取り繕って、ちびりとつついていたご飯を平らげる。そして、
「イルカ先生、おかわりください!」
茶碗を差し出した。突然の恋人の行動にイルカは目を瞬かせたが直ぐに「はい」柔らかく微笑む。上忍に負けじと「せんせ~!オレにも欲しいってばよ!!」ナルトも丼を差し出した。
2人の剣幕に「いっぱい食え!」イルカも頷いて台所から炊飯器を運んだ。
そうして男3人、競い合うように釜の飯を空にする。
空になった釜に
「ごちそ~さまーーーー!!」
満足そうに大きなお腹を抱えたナルトが手を振ってイルカの部屋を後にした。
泊まってけよ、誘ったものの「明日の朝から任務なんだってばよ」そう断られてしまって少し肩を落としたイルカをカカシはそっと抱き寄せる。
「…オレが泊まるのはダメなんです?」
「……別に、いつものことでしょう?」
「やーさし」
カカシは目を細めると、きっちり纏められたイルカの髪の毛に短く口付ける。そして、
「今日ね、改めてイルカ先生のこと好きだなぁって思いました」
自分がイルカから向けられているように、暖かい眼差しを恋人に向ける。
「…?」
「貴方と一緒に食べるから、まぁ、有名だし美味いって言われてるお店に行けばいいかなって思ってて。
味なんて二の次だし、先生が喜んで食べてるからいいかなって思ってたんですけど…」
――カカシが食に興味がないのはイルカも知っていた。
だからこうして手の込んだ料理をするのは、単純に美味いものが食べたいだけの自己満足なのだ。
良い店に連れていかれれば、自然と舌は肥える。簡単に出来る料理を否定するつもりもなったし、独り身なれば“食えれば良い”イルカも思っていたくらいだ。
けれど、こうしてカカシと付き合うようになって、手の込んだ美味い料理を知って。
「美味い」「不味い」
あまり表情を出さないカカシに、少しでも変化が欲しいと思ってしまったのだ。
「……センセ、料理、美味くなったね」
カカシは囁いて、髪紐を解く。
恋人の意図する行為を察して、イルカは抱かれた身を捩った。
「ダメです、カカシさん…片付けが……まだ…」
「いーよ。片付けはオレがやっとくから」
そう組み敷かれてしまっては、中忍のイルカは手も足も出ない。
「…明日は体術の授業があるんです。だから……」
伏せた睫毛に「りょ~かい」カカシは言って支給服の隙間に手のひらを這わせる。
――その先の蜜時は、カカシのご褒美。
彼にしか味わえない甘味に、カカシは舌鼓を打つのだった――
*おしまい*
在籍したアカデミーで『行儀よく食べましょう』だの『栄養バランスを考えよう』だの教科書を読ませられたが、暗部の任務中なんかにいちいち緑の野菜を食べようだの魚を摂ろうだの、そんな細かい事は考える暇はない。そんな事に割く時間は労力の無駄だと兵糧丸を齧り、造血剤を呑み込んだ。
暗部を離れ、下忍の面倒を見る頃になってもやっぱりカカシは食に興味は持てず、1人で過ごす夜はいつも兵糧丸を噛み砕き、土産に貰った酒をちびりと舐めるのが常だった。
そんな彼にも“春”は訪れる。
担当した下忍の恩師、出会いの印象は最悪だったが、そこは大人の世界だ。作り笑いで感情をごまかし、彼には近付かない――そう思った筈なのに。
切っ掛けは何だったか。アカデミーの受付で向けられた愛想笑いか、それとも夕方の木ノ葉マートで見掛けた真剣な表情か。いつの間にかカカシの視界にイルカが入り込み、そしてそれは世界の中心になった。
例え“食”に興味は無くとも、愛い人との親交を深めるのに彼はイルカを食事に誘う。
上忍がよく使うひっそりと佇む高級料亭、安くて旨いと人気の居酒屋、イルカの好物の一楽――
出されたものが“美味い”のか“不味い”のか、カカシにはよく分からない。
けれど、隣に座るイルカが「美味いですねこれ!」そう嬉しそうに目を細めるのを見ると、それだけで充分とカカシは酒を傾けるのだった。
「せーんせ、いる?」
施錠した鍵を合鍵も無しに解錠したカカシが、手土産を片手に玄関の暖簾を潜る。
すると、玄関直ぐの台所に立ったイルカが顔を上げた。
「あっ、カカシさん!」
おかえりなさい――言う前に奥の部屋から威勢の良い声がカカシの耳を劈く。
「あーーーーっ! カカシ先生だってばよ!!」
間仕切り代わりに下げた暖簾から顔を覗かせた愛弟子に、カカシは目を瞬かせる。
「あれ、イルカせんせ…」
サンダルを脱ぎつつ下忍を指差したカカシにイルカはフライパンを振りながら苦笑した。
「さっき帰り道で会って。
久し振りだし一楽に…って誘われたんですが、カカシさんも今日帰ってくると思って。そのまま家に呼んじゃいました」
ちらりと横目で見遣ったフライパンの中身は、カカシの好きな茄子を使った料理で。
手際よく炒めて大皿に盛ったイルカが少し困ったように見上げたから、
「ぜーんぜん!」
カカシも大人の対応を見せた。
「これ、紅が美味いって教えてくれたお酒なんだけど…これは今度飲もっか」
差し出された風呂敷包みに「すいません」イルカは肩を竦めると大瓶を受け取って食器棚の陰に置く。
「今日は茄子の味噌炒めに筑前煮、魚はブリの照り焼きです。
あとは厚焼き玉子も焼こうと思ってたんですけど…」
手早く今夜のメニューを伝えるイルカにカカシはにっこりすると「大根下ろすの、やりますよ」手伝いを申し入れる。
それから
「ナルトー! 料理出来たから持ってけ!」
「今、箸並べてるってばよ!!」
なんて少しだけ上忍風を吹かせるのだった。
*
「「「いただきます」」」
小さなちゃぶ台に所狭しと並んだ料理に、家主のイルカ、それにカカシとナルトが手を合わせる。
大盛りの丼を渡されたナルトは「多いってばよ」文句を言っていたけれど、成長期真っ只中の少年だ。あまり好みではない野菜の炒め物でも味付けは濃いから食べちゃうんだろうな、ほんの少しだけ盛られた自分の茶碗を見つめながらカカシは思う。
イルカと一緒の時は食事をしようと意気込むものの、任務帰りの肉体はどうも“それ”を上手く受け入れられず、こうして人の半量を身体に入れるのが精いっぱいだった。足りない分は兵糧丸があるし…言うといつも怒られるのだが、慣れてしまったものは仕方がない。そんな理由でイルカの家にもカカシの愛飲する兵糧丸は置かれているのだった。
「ん~~~~~~!!!!!!!
先生の料理めちゃくちゃ美味いってばよ!!!!!!」
口いっぱいに白米を詰め込んで、更に茄子炒めに箸を伸ばしたナルトが絶賛する。
「ほらほら、飯は逃げないからそんな慌てんな」
イルカは麦茶を注いでやるとナルトの前に置いた。
こんな風に美味しいって褒めて貰えるのは嬉しいよねぇ、好物の茄子を口に運んだカカシも「美味しい」イルカに微笑む。
「大葉の香りが爽やかで唐辛子も良い仕事してるってばよ!
それに照り焼きの針ショウガもアクセントになってて美味いし、イルカせんせぇ、料理の腕上げたな!?!?!?」
キラキラした目を向けるかつての生徒に「ぅぇ?」イルカが怪訝な顔を作る。
恋人の気を察したのか、カカシが口を挟んだ。
「…どったの、ナルト。食レポなんか出来るようになっちゃって」
――確かに、以前のイルカの料理と言えば出汁入りの味噌を溶いた味噌汁にめんつゆを豪快に投入した野菜炒めが多かった。豆腐の上のネギが繋がっているなんて当たり前で、『好きに味付けしてください』なんて野菜炒めと一緒に塩と醤油、味噌を並べられた事もあった。
「……ん?
エロ仙人がさ『一流の忍たるもの、一流を経験しないとダメだ』っつってさ…よく美味しいお店に連れてってくれるんだってばよ」
事も無げに伝説の忍を“エロ仙人”と形容するナルトにイルカは頭を抱え、「でも、美味しい物を食べたからってそれをレポート出来るのは違うんじゃナイ?」カカシは話を広げる。
「エロ仙人がさ、『美味いって一言で言ってしまえば簡単だが、美味い理由があればもっと嬉しいだろう?』って言っててさ。前に一楽のおっちゃんに『チャーシューが柔らかくて口の中でとろける!』って言ったらさ、すっげぇ喜んでくれてさ…ちょっとだけ見習おうと思ってばよ」
得意げに胸を反らせたナルトに「ナルト~…」イルカは目を潤ませる。
――観察眼、か。
愛読書を思い出しながら、恋人の手料理をもう一度口に運んでカカシは気付く。
少し前に足を運んだ、料亭の照り焼きにこんな風に針ショウガがあしらわれていた。その前に訪れた惣菜を並べた小料理屋では、こんな風に大量の大葉は入った茄子の味噌炒めが並んでいた筈だ。確かに、昔は卵焼きだって塩味のシンプルなものだったのに、いつの間にかだし巻きに変わっていた――
余りに食べる行為に興味が無さ過ぎて、隣で微笑む恋人の存在に満足してしまっていて。
なのに、恋人は自分も“美味い”と思えるようにこうして小さな努力は重ねていて――
「あ~~~もう!」
急に頭を掻いたカカシに、隣のイルカとナルトがびくりと反応する。
「ど、どうしたんですか急に」
「センセ、びびらすなってばよ」
心配そうに見上げた2人に「ううん、こっちの話」カカシはそう取り繕って、ちびりとつついていたご飯を平らげる。そして、
「イルカ先生、おかわりください!」
茶碗を差し出した。突然の恋人の行動にイルカは目を瞬かせたが直ぐに「はい」柔らかく微笑む。上忍に負けじと「せんせ~!オレにも欲しいってばよ!!」ナルトも丼を差し出した。
2人の剣幕に「いっぱい食え!」イルカも頷いて台所から炊飯器を運んだ。
そうして男3人、競い合うように釜の飯を空にする。
空になった釜に
「ごちそ~さまーーーー!!」
満足そうに大きなお腹を抱えたナルトが手を振ってイルカの部屋を後にした。
泊まってけよ、誘ったものの「明日の朝から任務なんだってばよ」そう断られてしまって少し肩を落としたイルカをカカシはそっと抱き寄せる。
「…オレが泊まるのはダメなんです?」
「……別に、いつものことでしょう?」
「やーさし」
カカシは目を細めると、きっちり纏められたイルカの髪の毛に短く口付ける。そして、
「今日ね、改めてイルカ先生のこと好きだなぁって思いました」
自分がイルカから向けられているように、暖かい眼差しを恋人に向ける。
「…?」
「貴方と一緒に食べるから、まぁ、有名だし美味いって言われてるお店に行けばいいかなって思ってて。
味なんて二の次だし、先生が喜んで食べてるからいいかなって思ってたんですけど…」
――カカシが食に興味がないのはイルカも知っていた。
だからこうして手の込んだ料理をするのは、単純に美味いものが食べたいだけの自己満足なのだ。
良い店に連れていかれれば、自然と舌は肥える。簡単に出来る料理を否定するつもりもなったし、独り身なれば“食えれば良い”イルカも思っていたくらいだ。
けれど、こうしてカカシと付き合うようになって、手の込んだ美味い料理を知って。
「美味い」「不味い」
あまり表情を出さないカカシに、少しでも変化が欲しいと思ってしまったのだ。
「……センセ、料理、美味くなったね」
カカシは囁いて、髪紐を解く。
恋人の意図する行為を察して、イルカは抱かれた身を捩った。
「ダメです、カカシさん…片付けが……まだ…」
「いーよ。片付けはオレがやっとくから」
そう組み敷かれてしまっては、中忍のイルカは手も足も出ない。
「…明日は体術の授業があるんです。だから……」
伏せた睫毛に「りょ~かい」カカシは言って支給服の隙間に手のひらを這わせる。
――その先の蜜時は、カカシのご褒美。
彼にしか味わえない甘味に、カカシは舌鼓を打つのだった――
*おしまい*
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