Serena*Mのあたまのなかみ。
NARUTO/カカイル
友人からのリクエスト「スパ銭に行くカカイル」
私もそうなのでよく分かるのですが、欲しい人に直接言うスタイル 大好きです
六代目×教頭でお送りします。
友人からのリクエスト「スパ銭に行くカカイル」
私もそうなのでよく分かるのですが、欲しい人に直接言うスタイル 大好きです

六代目×教頭でお送りします。
「木ノ葉にもスパ銭が欲しい」
其れは、外遊していた綱手の言葉だった。
引退した火影として「もう仕事はせん!」そう強く言い放つ彼女ではあったが、彼女の根の部分は木ノ葉を想う忍。
大戦後の混乱を分かっていたから、文句を言いつつも現・火影の名代として外遊には積極的に関わっていた。
そんな彼女が珍しく“欲しい”と言った施設に、火影であるカカシ、それに控えたシカマルが首を傾げる。
今回の綱手は水の国に出掛けていて、互いの復興の報告や新たに結んだ条項の確認、それに里と里を繋ぐ街道の設備の話等の比較的面倒な仕事を引き受けてくれた筈だ。新しく火影となったカカシよりも、顔の広い綱手の方がこういった外交に強い。それに、カカシの暗部仕込みの眼光の鋭さを最後まで取っておきたいと言うシカマルの意向もあった。
そんな彼女が真面目な報告の最後にその一言を放って、話は冒頭に戻る。
「すぱせん…?」
「…スーパー銭湯のことですか、五代目」
「そうそう、流石シカマルは話が早いな」
「…この前、テマリがサクラたちと行ってきたって言ってましたから…」
「ねぇねぇ俺抜きで話しないでよ。そのスーパー銭湯って何?」
話を呑み込めないカカシを尻目に、綱手は訪れたスーパー銭湯がいかに良かったかをシカマルに説く。
銭湯よりも近代的で、大人も子供も楽しめる。それに、其処を観光の目的としても良い筈だ。湯治とは違った温泉の楽しみ方もあっても良い――語る綱手に「まぁ、悪くないッスね」シカマルも財源の関係もあるものの前向きに検討したいと頷き、相変わらずカカシだけが
「ねぇ、なに、なに!?」
先代と相談役の顔を交互に見ながら眉を寄せる。
「百聞は一見にしかず、だカカシ。行ってこい!」
綱手はそんな彼の背中を叩き、
「確かイルカ先生も温泉巡りが好きって言ってましたよね。
2人で行って来てくださいよ」
そしたら、俺も休めるんで。
シカマルもそう続けて、カカシはイルカを連れてその“スーパー銭湯”なる施設に行くことになったのだった。
*
水ノ国の中心部から離れた場所に建てられた大きな施設に
「ほぉ~…これが」
「立派ですねぇ」
カカシとイルカの2人は見上げて感嘆の声をあげる。
洋風に作られた外観はおよそ“温泉施設”とは思えなかったが、仄かに漂う硫黄の香りに其処は温泉なのだと語られている。
受付に「大人2名」と渡された優待チケットを渡すと
「こちら館内着とタオルになります。どうぞお使いください」
藍色の作務衣とタオルを渡され「はぁ」そのまま受け取った。
――確かに、館内を見回すとこの作務衣姿の男女が多い。この施設では徹底的に寛ぐ空間を提供しているようだった。
綱手からは温泉以外にも食事処や休憩場所に遊技場もあると聞いていたが、想像以上の広さに「凄いねぇ~」カカシは目を瞬かせ、イルカが「カカシさん、こっちですよ」彼を手招きする。
「あれ、イルカさんも来たことあるの?」
「あぁ、少し前にアカデミーの慰安旅行で来たんですよ。旅行、と言っても日帰りなんですけど。
ご飯も美味しくて良かったですよ」
『大浴場』
書かれた暖簾を潜りながらイルカは続ける。
「はい、カカシさん。荷物はこっちのロッカーに入れて下さいね。
100両は戻って来ますから忘れずに」
てきぱきと荷物を仕舞い、服を脱ぎ始めたイルカに「あ…ハイ…」カカシも慌てて衣服を脱ぐ。
『火影が何の知らせも入れずに遊びに行っちゃっていいのぉ?』
『誰も火影がスパ銭に行くなんて思ってないだろう。火影のコスプレしたオッサンが来たな、くらいにしか』
『お、オッサンって…!』
『もうそんな年だろう、カカシも』
『そんなこと言ったら綱手様だってババ――』
『…おっとカカシ、ここで死にたいか?』
意外と誰にも不審がられずにこうして浴場に入れたのは良いことだと喜べば良いのか。
腰にタオルを巻きながら小さく溜め息を吐いたカカシに、イルカは目を細めた。
「相変わらずカカシさんは良い身体してますねぇ…」
第一線を退いても、何もしないのは不安だと鍛錬をしているカカシの肉体は未だに精悍な体つきで、教頭になって少しデスクワークの増えたイルカは丸みを帯びた体つきになっていた。
「そ~ぉ? ま、恋人が若いから頑張らなきゃいけないし」
力こぶを作ったカカシに「ばか」イルカはそっぽを向き、「行きますよ」ロッカーの鍵を回すと大浴場のドアを開ける。
「俺はどんなイルカさんだって好きですぅ~」
カカシはイルカを追いかけて浴場に入ると、其処は銭湯とも違う空間が広がっていて面食らった。
洗面器やカランが並んだ姿は見慣れた銭湯と変わらないが、中に広がる風呂場は広く、幾つも浴槽がある。
『ぬる湯』『熱め』『日替わり風呂』
掲げられた言葉は丁寧で、「外には露天風呂もありますよ」掛け湯をしたイルカにカカシも続く。
続いて覗いた外風呂も
『檜風呂』『一人風呂』『打たせ湯』
幾つもの種類があってあまり風呂に興味を持たないカカシでも心が弾んでしまった。
「ここ、温泉も良いんですけどね…」
イルカはカカシを手招く。
「最新式のサウナが入ってて…それが凄く良いんです」
浴場の隅のドアはどうやらサウナ室の入り口らしく、サウナの苦手なカカシは「えぇ」躊躇したが
「ほらほら、何事も経験ですよ!」
恋人にそう言われては致し方ない。
言われるままにサウナハットを被り、マットを持ってサウナ室に入ると、其処は今まで見知ったサウナとは別次元の世界が広がっていた。
「……ね、いいでしょう?」
大きな窓から望む、水の国の大海原に仄かにアロマの混じる水蒸気が心地良い。
「そんなに熱くなーいね」
「でもしっかりと汗が出るんですよ。そしてこの後水風呂に入ると…“整う”んです」
白い歯を見せたイルカに「ふぅん…?」カカシは頷いたが、その後の水風呂で“整う”意味を知ってすっかりサウナへの苦手意識が無くなってしまった。
その後はいくつもの風呂を巡り、風呂上りには瓶に入った牛乳を一気飲みして喉を潤す。
女性向けのエステは流石に体験出来なかったが、替わりに“足つぼマッサージ”を体験して悶絶の叫びをあげ、イルカの勧めるラーメンを食べて一息吐くと「少し休憩しましょう」イルカに連れられて個室の休憩室に入った。
「あっちの広い部屋じゃなくていーの?」
もうすっかりスーパー銭湯を満喫しているカカシは大広間を振り向くが、
「流石に火影様に大広間でゴロ寝はさせられないでしょう」
イルカは苦笑し、「様はやめて」カカシは唇を尖らせる。
「あ、ほら。
そうやって可愛い顔をするから見せたくないんです」
湯に浸かって上気した頬のイルカに言われて、カカシも「イルカさんだってかわい~もん」そう反論する。
自動販売機で買ってきたビールのプルタブを引いて「乾杯」2人は缶を合わせると、「ね、イルカさん。膝枕して?」早速にカカシは甘える。
「…もう」
けれど、イルカもまんざらではない反応で、正座を崩すとぽんと太腿を叩いた。
――カカシとイルカが心を寄せた関係になって長い。
子は鎹と普通の夫婦であれば言うのかもしれないが、この2人にとっての子はかつての生徒であり、里の子供たちであり倦怠期を迎えるまでもなく、毎日が波乱万丈で忙しかった。だからなのだろうか、未だに2人きりになるとその関係はとびきり甘くなる。
「イルカさん、大好き」
洗いたての、ふわふわな銀髪を押し付けたカカシに「はいはい、俺も好きですよ」イルカは頭を撫でて置いたビールを一口飲む。
「あ、動けなくなる前にマンガ持ってくれば良かったなぁ」
「…マンガ?」
「広間のところ、いっぱい本棚が並んでたでしょう?」
「……ん、並んでたーね」
「あれ、全部マンガなんですよ。
少女マンガから青年マンガまで。……流石に、イチャパラのコミック版はありませんけどね」
笑ったイルカの笑い皴に、じんわりとカカシの心が温まる。
「いーね。
マンガ読んでゆったりして。1日遊べちゃう」
「…でしょう?
五代目は此処に賭博場も作りたい、なんて言ってましたけど…」
「やーそれは駄目だね。
悪い大人が集まっちゃう」
少し体温が高くなったカカシが寝返ると、イルカはその背中を優しく撫でた。
「賭博場は別にしても、木ノ葉にもこんな施設があったら良いですね」
「……ん、つくろ。そしてイルカさんと来――」
ずしりと重くなった頭に、イルカはカカシが眠ったのを察する。
最低でも30分、出来れば1時間。火影として忙しく過ごすカカシには少しでも休んで欲しかった。
――ま、俺の足が痺れるのが先かもしれないけど。
イルカは苦笑すると、残ったビールも飲み干して子供のような顔をして眠る恋人を覗き込んで目尻を下げるのだった。
*
そうして、お忍びでの視察旅行からして暫く。
急ピッチに“木ノ葉 温泉の国”計画を進めるカカシに「普段からもこれくらいやる気出してくれりゃぁな」シカマルは書類を集めながらボヤくのだった。
*おしまい*
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