my super hero

バットマン/ジェイディク

お相手から酷めの扱いされてるお兄ちゃんなのでジェイから「それ以上やったら身体に悪いだろ」的な（一般的な）労りの言葉をかけられて「」ってなるお話欲しい
…と呟いたのを処方しました。

ジェイディクは身体に良いので。

其れは、普段と変わらない夜だった。

「…ひ、ぁぅ…」

恋人から与えられる快楽に身を任せてディックは声を震わせる。身体の内部の違和感は慣れないものの、ジェイソンの愛撫は丁寧でディックの悦い場所をじっくりと刺激する。

「……ん…」

硬くなった前立腺を圧されてディックが思わず腰を揺らすと、ジェイソンの表情が固まったからディックもつられて眉をひそめた。

「…ジェイ？」

「……悪い、ディッキー。
　今日は“ナシ”だ」

ジェイソンは言って、ディックの圧迫感の正体、挿し込んだ指をゆっくりと引き抜く。それから手慣れた様子でベッドサイドのティッシュを引き抜くと、無造作に解したばかりの排泄口に押し当てた。

「どうしたの？　萎えちゃった…？」

――いつも通り、お腹の中は綺麗にした筈だけど。

ディックは心の内に首を傾げる。

「いや、これは俺が悪い」

ジェイソンは返して首を振る。
自らの爪先を見ると、小さく溜め息を吐いた。

「済まない、どっか切っちまった」

ほんの少し指の裏から見える白い爪を見せてジェイソンは肩を落とす。

「…？
　別に僕は構わないけど」

きょとんと瞳を瞬かせたディックに驚いたのはジェイソンの方で、

「『はい、じゃぁ続けよう』ってならないだろ」

尖った声をディックに浴びせた。
ディックはそんな恋人の返答が意外だったのか、

「このまま続けてセックスは出来るし…まぁ、1週間くらいはお預けだけど」

なんて続ける。


「普通に考えて止めるだろ。ってか辛いなら言え」

怒って返したジェイソンは圧迫していたティッシュを丸めると、そのままゴミ箱に投げ捨てた。
それから冷えたディックの身体を温めるように追いやったケットを引っ張り上げて彼を包む。

「……優しい♡」

上目遣いで見つめたディックを、ジェイソンは鼻であしらった。

「…そんな顔したってダメだ。
　今日は寝るぞ」

荒っぽく恋人の頭を撫でて、彼もするりと隣に潜り込む。
ぎゅっと抱き着てきたディックを、ジェイソンもそっと抱き返した。

「…ディッキー、お前さ」

「うん？」

「こんな状態でもヤる、って男と付き合ってきたのかよ」

低いアパートの天井を見上げてジェイソンは呟く。

「……まぁ、ジェイみたいな良い男とは付き合って来なかったかな」

悪びれもせず答えたディックにジェイソンは溜め息をまた吐いた。

「……別に、お前の身体はお前の自由だけどさ。
　ちゃんと付き合う相手くらいは考えろよ」

「大丈夫、今はこんなに優しい恋人に恵まれてる」

ジェイソンの首元にキスをしてディックは笑顔を作る。

「あ、でもさ。
　今日のってもともとはジェイが――」

思い出したように告げると、

「あーーーーーーーーーーーー寝るぞ寝るぞ寝るぞ！」

分が悪くなったのかジェイソンは叫んで、サイドランプを消した。

「…ふふっ」

ディックは笑い声を漏らして、もう一度恋人の腕まくらに頭を押し付ける。

「…なんだよ」

ぶつくさ言うジェイソンに、またディックは抱き着いた。

――恋人の“当たり前”の対応が温かくて嬉しい。
もっともっと好きになっちゃう。

「ジェイ、大好き」

＊おしまい＊