Serena*Mのあたまのなかみ。
TENET/主ニル
「実は未来の世界で主人公さんに指輪を送っているニール君。
任務中には外してるけど、基本的にずっと指輪を付けてくれてる(左手の薬指)
だけど、過去(映画本編)の主人公さんにはそれがないから
なんとなく物足りなさを感じちゃうニール君。
(ニール君は任務中なので指輪は外してる)」
話の基本構成が前回と同じだな~、と思うものの過去と現在とか現在と未来の対比が好きなので仕方ない。
*
アルニタク…オリオン座の恒星で2等星。三重連星(wikiより)
「実は未来の世界で主人公さんに指輪を送っているニール君。
任務中には外してるけど、基本的にずっと指輪を付けてくれてる(左手の薬指)
だけど、過去(映画本編)の主人公さんにはそれがないから
なんとなく物足りなさを感じちゃうニール君。
(ニール君は任務中なので指輪は外してる)」
話の基本構成が前回と同じだな~、と思うものの過去と現在とか現在と未来の対比が好きなので仕方ない。
*
アルニタク…オリオン座の恒星で2等星。三重連星(wikiより)
「あのさ…これ……」
恋人に袖口を引っ張られた男は足を止める。
それは、デートの帰り道。木枯らしの吹く並木道でのことだった。
不思議そうに小さく首を傾げた男に、ニールは泣きそうな表情を浮かべる。鼻まで赤くしたのはこの寒さ故か、それとも――
その潤んだ瞳を拭おうと男が手を伸ばすと突風が落ち葉を舞い上げる。思わず強く目を瞑った男が再び目を開けると、そこには小さな箱を差し出したニールの姿があった。
「これは?」
男は恋人の髪の毛に着いた枯れ葉を払いながらそれを受け取る。
小さな青い箱は重厚なベルベット素材だったが、中身は軽い。真ん中に伸びた線から割るように開けると、中に鎮座していたのはどっしりと幅があり存在感のある金の指輪だった。
「……女々しいかな、って思ったんだけど」
普段、男に対して積極的なニールが珍しく言葉を濁す。
2人がこうしてパートナーとして共に歩んで随分と時間が経つ。既に2人の仲は公然の秘密であり、本部の同僚らは2人の関係性について諒解はしていたがそれ以上へ踏み込むことは無かった。
「貴方に似合うなぁって思って」
ニールははにかんで男の頭に付いた落ち葉を払う。
「…そうか」
男は短く答えると台座から指輪を取り出し、ゆっくりと指へ嵌める。右手の指に嵌めようとしたら「コホン」ニールが遠慮がちに咳き込んだ。
――あぁ、その意味で。
任務となると驚くほど頭の回転が速くなる男だったが、こうして“普通”に生活している分には恋人の気持ちに鈍感な唯の人になる。
男は指輪を持ち替えると左の薬指にゆっくりと嵌めた。
サイズを合わせたのだろうか、ぴったりと合った其れに純粋に男は驚く。
「…ぴったりだ。
いつの間に?」
いつだってニールより男は早起きだったし、彼が動く気配で意識を覚醒させていた。彼の指のサイズを測る隙など無かった筈だ。
「僕ね、貴方の事ならなんだって詳しいの」
得意げに笑ったニールだったが、訝し気な表情の男に苦笑しながら種明かしをする。
「…これ」
ニールは男の手を掴み、いつも一緒に歩く時にするように指を絡める。
「感覚だけで選んだんだけど、ぴったりで安心した」
事も無げに笑う彼に、男はただ感心する。
へらへら笑っているように見えて、彼のアンテナはいつでも張り巡らされており、その観察眼は秀逸だった。
「…で?
まさか私だけ、ではないだろう?」
絡めた指を振り解いて男は指輪を恋人に見せつける。
彼のチョコレート色の肌に金の指輪は良く映え、上品で美しかった。
「やっぱりそう思う?」
ニールは頭を掻くと「僕のはこれ」そう言ってポケットを弄ると握った手を男に差し出す。
「この中に?」
「うん」
男の言葉にニールはゆっくりと手のひらを開く。真ん中にあったのは銀色の指輪で、デザインは男のものと同じように見えた。
「本当は一緒の色が良かったんだけどさ」
ニールは口を尖らせる。
けれど、彼の白い肌には儚げな銀がよく似合って見えるのはファッションに疎い男でも想像が出来た。
「…君に似合うと思うよ」
男は言うと指輪を取ると、そのまま恋人の手を持って薬指に嵌める。銀色の指輪は吸い付くように薬指にぴったりとはまった。
そして、男は恋人の手のひらに自分のを重ねる。冷えた空気に、重ねた手だけが温かかった。
――黒と白、金と銀。
全てが真逆に位置する2人だったが、相棒としての相性は抜群で、互いを欠かさない存在として認めていた。こうして重ねた手のひらも、自然と2人で絡め合わせるくらいに心の内を理解している。
「…なんだか、君に先を越されてしまったな」
「何が?」
「どうも私はこう言ったケースに弱くて」
「…その分、僕がこうして補うんだから問題ないよ」
恋人の言葉ににべもなく返してニールは微笑う。
男も目を細めると、背伸びをして彼の頬に口付けた。
「!?」
人の往来のある遊歩道なのに関わらず、珍しく積極的な男にニールは戸惑う。
「…惚れ直したよ」
余裕の笑みを浮かべた男の表情はニールの1番好きな顔だ。
「僕も」
ニールも夕陽に負けないくらい声を蕩かして、そして「もう1回!」膝を曲げてキスをせがんだ。
*
翌日、指輪を見ては目尻を下げるニールと、男の左手に光る指輪に、本部の同僚たちは昨日の休日についての2人を察し、そしてやっぱり素知らぬ振りを続けるのだった。
*
「あー…あれが若いボス?」
双眼鏡を覗き込んだニールにアイヴスが呆れた声を上げる。
「お前、髪くらいちゃんとセットしておけよ。
ボッサボサだぞ」
わざと乱れるように後頭部を撫でたアイヴスにニールは振り返る。
「あー!もうちょっと止めてよ!
初めてボスと会うんだから、格好良く会いたいじゃん!!」
頬を膨らませると、彼はまた双眼鏡を覗き込んでボンベイ・ヨットクラブの入り口を確認する。
男が店内に入るのを確かめると、彼は慌ててジャケットを掴んで飛び出した。
クラブへの階段を駆け下りながらニールは左手に付けた指輪をそっと外す。
――久方振りに見た恋人には、当たり前だけどお揃いの指輪なんて着けてなくてほんの少し違和感を覚えた。
けれど、自分もこれからは任務に入る。
“私”としてのニールとは別になるのだ。
『またね』
告げるように銀色の指輪にキスを捧げてポケットに仕舞う。随分長い間使い込まれたそれは白金特有の柔らかさで随分と細かい傷が付いていた。
いつも欠かさず身に着けていたものだったから、なんだか特定の位置にソレがないとニールも下着を1枚脱がされたような気分になる。
クラブに入ると駆けつけに一杯のウォッカ・トニックを流し込んでから、眉を寄せて座る男の隣に滑り込んだ。
「やぁ、僕はニール。
…あ、君!ウォッカ・トニックと……彼にダイエットコークを」
*おしまい*
恋人に袖口を引っ張られた男は足を止める。
それは、デートの帰り道。木枯らしの吹く並木道でのことだった。
不思議そうに小さく首を傾げた男に、ニールは泣きそうな表情を浮かべる。鼻まで赤くしたのはこの寒さ故か、それとも――
その潤んだ瞳を拭おうと男が手を伸ばすと突風が落ち葉を舞い上げる。思わず強く目を瞑った男が再び目を開けると、そこには小さな箱を差し出したニールの姿があった。
「これは?」
男は恋人の髪の毛に着いた枯れ葉を払いながらそれを受け取る。
小さな青い箱は重厚なベルベット素材だったが、中身は軽い。真ん中に伸びた線から割るように開けると、中に鎮座していたのはどっしりと幅があり存在感のある金の指輪だった。
「……女々しいかな、って思ったんだけど」
普段、男に対して積極的なニールが珍しく言葉を濁す。
2人がこうしてパートナーとして共に歩んで随分と時間が経つ。既に2人の仲は公然の秘密であり、本部の同僚らは2人の関係性について諒解はしていたがそれ以上へ踏み込むことは無かった。
「貴方に似合うなぁって思って」
ニールははにかんで男の頭に付いた落ち葉を払う。
「…そうか」
男は短く答えると台座から指輪を取り出し、ゆっくりと指へ嵌める。右手の指に嵌めようとしたら「コホン」ニールが遠慮がちに咳き込んだ。
――あぁ、その意味で。
任務となると驚くほど頭の回転が速くなる男だったが、こうして“普通”に生活している分には恋人の気持ちに鈍感な唯の人になる。
男は指輪を持ち替えると左の薬指にゆっくりと嵌めた。
サイズを合わせたのだろうか、ぴったりと合った其れに純粋に男は驚く。
「…ぴったりだ。
いつの間に?」
いつだってニールより男は早起きだったし、彼が動く気配で意識を覚醒させていた。彼の指のサイズを測る隙など無かった筈だ。
「僕ね、貴方の事ならなんだって詳しいの」
得意げに笑ったニールだったが、訝し気な表情の男に苦笑しながら種明かしをする。
「…これ」
ニールは男の手を掴み、いつも一緒に歩く時にするように指を絡める。
「感覚だけで選んだんだけど、ぴったりで安心した」
事も無げに笑う彼に、男はただ感心する。
へらへら笑っているように見えて、彼のアンテナはいつでも張り巡らされており、その観察眼は秀逸だった。
「…で?
まさか私だけ、ではないだろう?」
絡めた指を振り解いて男は指輪を恋人に見せつける。
彼のチョコレート色の肌に金の指輪は良く映え、上品で美しかった。
「やっぱりそう思う?」
ニールは頭を掻くと「僕のはこれ」そう言ってポケットを弄ると握った手を男に差し出す。
「この中に?」
「うん」
男の言葉にニールはゆっくりと手のひらを開く。真ん中にあったのは銀色の指輪で、デザインは男のものと同じように見えた。
「本当は一緒の色が良かったんだけどさ」
ニールは口を尖らせる。
けれど、彼の白い肌には儚げな銀がよく似合って見えるのはファッションに疎い男でも想像が出来た。
「…君に似合うと思うよ」
男は言うと指輪を取ると、そのまま恋人の手を持って薬指に嵌める。銀色の指輪は吸い付くように薬指にぴったりとはまった。
そして、男は恋人の手のひらに自分のを重ねる。冷えた空気に、重ねた手だけが温かかった。
――黒と白、金と銀。
全てが真逆に位置する2人だったが、相棒としての相性は抜群で、互いを欠かさない存在として認めていた。こうして重ねた手のひらも、自然と2人で絡め合わせるくらいに心の内を理解している。
「…なんだか、君に先を越されてしまったな」
「何が?」
「どうも私はこう言ったケースに弱くて」
「…その分、僕がこうして補うんだから問題ないよ」
恋人の言葉ににべもなく返してニールは微笑う。
男も目を細めると、背伸びをして彼の頬に口付けた。
「!?」
人の往来のある遊歩道なのに関わらず、珍しく積極的な男にニールは戸惑う。
「…惚れ直したよ」
余裕の笑みを浮かべた男の表情はニールの1番好きな顔だ。
「僕も」
ニールも夕陽に負けないくらい声を蕩かして、そして「もう1回!」膝を曲げてキスをせがんだ。
*
翌日、指輪を見ては目尻を下げるニールと、男の左手に光る指輪に、本部の同僚たちは昨日の休日についての2人を察し、そしてやっぱり素知らぬ振りを続けるのだった。
*
「あー…あれが若いボス?」
双眼鏡を覗き込んだニールにアイヴスが呆れた声を上げる。
「お前、髪くらいちゃんとセットしておけよ。
ボッサボサだぞ」
わざと乱れるように後頭部を撫でたアイヴスにニールは振り返る。
「あー!もうちょっと止めてよ!
初めてボスと会うんだから、格好良く会いたいじゃん!!」
頬を膨らませると、彼はまた双眼鏡を覗き込んでボンベイ・ヨットクラブの入り口を確認する。
男が店内に入るのを確かめると、彼は慌ててジャケットを掴んで飛び出した。
クラブへの階段を駆け下りながらニールは左手に付けた指輪をそっと外す。
――久方振りに見た恋人には、当たり前だけどお揃いの指輪なんて着けてなくてほんの少し違和感を覚えた。
けれど、自分もこれからは任務に入る。
“私”としてのニールとは別になるのだ。
『またね』
告げるように銀色の指輪にキスを捧げてポケットに仕舞う。随分長い間使い込まれたそれは白金特有の柔らかさで随分と細かい傷が付いていた。
いつも欠かさず身に着けていたものだったから、なんだか特定の位置にソレがないとニールも下着を1枚脱がされたような気分になる。
クラブに入ると駆けつけに一杯のウォッカ・トニックを流し込んでから、眉を寄せて座る男の隣に滑り込んだ。
「やぁ、僕はニール。
…あ、君!ウォッカ・トニックと……彼にダイエットコークを」
*おしまい*
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