Serena*Mのあたまのなかみ。
僕のヒーローアカデミア/爆轟
平和アース/プロヒ設定/一緒に住んでいる2人
壮年期のちょっとのんびりした2人が浮かんだので書き綴った次第です。
ヤマもオチもイミもない。
平和アース/プロヒ設定/一緒に住んでいる2人
壮年期のちょっとのんびりした2人が浮かんだので書き綴った次第です。
ヤマもオチもイミもない。
「…ん、終わった」
目の前のローテーブルにドライヤーを置いた爆豪が股ぐらの轟の頭をぽんと叩いても本人は微動だにせず、雑誌を熱心に読み耽っていた。
轟の手にしている雑誌は珍しく女性に向けたファッション誌で、轟が風呂から上がる前に爆豪も目を通している。女性誌にしては珍しく、表紙に大きく載せられたモデルは男性で爆豪も轟もよく知っている人物だ。そこに、白抜きの文字で『【特集】大好き!私たちのヒーロー!!』綴られている。
「……しょーと」
ページを捲る恋人に爆豪が不満を漏らす。
反応するように「わりぃ」轟は顔を上げたが、またすぐに雑誌に視線を落とした。
――開かれたページにはヒーロー・デクの姿とインタビューが載っている。
『休みの日の過ごし方は?』『オールマイトグッズを見せて!』『雄英高校の思い出は?』『最近あった面白い事をひとつ』
真面目なヒーローインタビューが多い中、ターゲットの若い女性向けに構成された紙面はカラフルな色が並び、撮影風景のオフショットと共に“等身大のヒーロー”に迫った質問が並ぶ。欄外には『プロヒーローに聞きました!デクについて教えて☆』なんて言葉と黄色い髪の毛が眩しい上鳴や峰田からのメッセージも並ぶ。
――ったく、何が楽しいんだか。
手持無沙汰になった爆豪は乾かしたばかりの轟の頭を整える。遠目に見れば左右半分ずつに分けられて見える髪の毛が、こうして近くで見ると不揃いに生えているのが良く分かった。
相変わらずデクの特集を読み続ける轟は爆豪に頭を弄られても気に留めない様子でページを捲る。
じっと轟の髪の毛を掻き分けていた爆豪だったが、真っ赤な髪の毛の中に1本の光る髪を発見してぴんと引っ張った。
「…ってぇ」
痛みに読書を止められた轟が小さく呟く。
「白髪」
事も無げに爆豪は言うと、そのまま指に絡めた毛を引っこ抜いた。
「!!!」
爆豪の行動に、瞬時に轟が顔を上げる。
明るいエメラルドグリーンとこげ茶色の瞳に射られるも、負けじと爆豪も見つめ返す。
――見上げた顔は相変わらず整っていて。
出会ったばかりの頃に比べてたらそぎ落とされた頬のライン、火傷の後も随分と目立たなくなったような気もする。あの頃には無かった目尻の皴は、ここ最近になって気が付いた。
2人が出会って20年。
互いを想う気持ちはあの頃と変わらなかったし、関係性だってそのままだ。夢を叶えてプロヒーローになって、そして――
「…地毛を抜くな」
「こっちの方にあったんだ、地毛じゃなくて白髪だろ」
抜いたばかりのキラキラをした白髪を爆豪は見せ付けると、左の側頭部を擦った轟は反論出来ないようで口を噤む。
「ま、そんな年齢だろーよ」
勝ち誇ったように口角を上げた爆豪に轟は不満げに眉を寄せた。
「…お前だって同じトシだろ」
「は。テメェよか目立たねぇわ」
嗤って爆豪はそのまま背中を丸めて轟に口付ける。上唇を舐めて引っ張ると、轟も諒解したように開いた雑誌を閉じた。
「随分と察しが良くなったじゃねぇか」
「…俺だって“学習”するさ」
煽るようにTシャツの襟を引っ張って乳首を覗かせた轟に、爆豪も乗ったとばかりに恋人を引きずり上げてそのままベッドに押し倒す。
出会ったばかりのあの頃のような弾ける感情はなくとも、共に年を重ねた“大人”の余裕が其処にはある。
「テメェの頭が真っ白になったって愛してやるよ」
さらさらの髪の毛を梳いて迫った恋人に、轟も「この先お前がハゲたって変わんねぇ」子供っぽく言って恋人を抱き留める。
濃厚に口付けを交わしながら手慣れた様子で自分の部屋着を擦り下げた恋人へ「変わったな」爆豪は思いながらも、必死に差し出される舌に変わらないのはこの口だけか――なんて嘲笑って、恋人の腹筋へ指を這わせた。
――季節は、秋。
長い夜の始まり。ヒーローたちの夜は、こうして更け行くのだった。
*おしまい*
目の前のローテーブルにドライヤーを置いた爆豪が股ぐらの轟の頭をぽんと叩いても本人は微動だにせず、雑誌を熱心に読み耽っていた。
轟の手にしている雑誌は珍しく女性に向けたファッション誌で、轟が風呂から上がる前に爆豪も目を通している。女性誌にしては珍しく、表紙に大きく載せられたモデルは男性で爆豪も轟もよく知っている人物だ。そこに、白抜きの文字で『【特集】大好き!私たちのヒーロー!!』綴られている。
「……しょーと」
ページを捲る恋人に爆豪が不満を漏らす。
反応するように「わりぃ」轟は顔を上げたが、またすぐに雑誌に視線を落とした。
――開かれたページにはヒーロー・デクの姿とインタビューが載っている。
『休みの日の過ごし方は?』『オールマイトグッズを見せて!』『雄英高校の思い出は?』『最近あった面白い事をひとつ』
真面目なヒーローインタビューが多い中、ターゲットの若い女性向けに構成された紙面はカラフルな色が並び、撮影風景のオフショットと共に“等身大のヒーロー”に迫った質問が並ぶ。欄外には『プロヒーローに聞きました!デクについて教えて☆』なんて言葉と黄色い髪の毛が眩しい上鳴や峰田からのメッセージも並ぶ。
――ったく、何が楽しいんだか。
手持無沙汰になった爆豪は乾かしたばかりの轟の頭を整える。遠目に見れば左右半分ずつに分けられて見える髪の毛が、こうして近くで見ると不揃いに生えているのが良く分かった。
相変わらずデクの特集を読み続ける轟は爆豪に頭を弄られても気に留めない様子でページを捲る。
じっと轟の髪の毛を掻き分けていた爆豪だったが、真っ赤な髪の毛の中に1本の光る髪を発見してぴんと引っ張った。
「…ってぇ」
痛みに読書を止められた轟が小さく呟く。
「白髪」
事も無げに爆豪は言うと、そのまま指に絡めた毛を引っこ抜いた。
「!!!」
爆豪の行動に、瞬時に轟が顔を上げる。
明るいエメラルドグリーンとこげ茶色の瞳に射られるも、負けじと爆豪も見つめ返す。
――見上げた顔は相変わらず整っていて。
出会ったばかりの頃に比べてたらそぎ落とされた頬のライン、火傷の後も随分と目立たなくなったような気もする。あの頃には無かった目尻の皴は、ここ最近になって気が付いた。
2人が出会って20年。
互いを想う気持ちはあの頃と変わらなかったし、関係性だってそのままだ。夢を叶えてプロヒーローになって、そして――
「…地毛を抜くな」
「こっちの方にあったんだ、地毛じゃなくて白髪だろ」
抜いたばかりのキラキラをした白髪を爆豪は見せ付けると、左の側頭部を擦った轟は反論出来ないようで口を噤む。
「ま、そんな年齢だろーよ」
勝ち誇ったように口角を上げた爆豪に轟は不満げに眉を寄せた。
「…お前だって同じトシだろ」
「は。テメェよか目立たねぇわ」
嗤って爆豪はそのまま背中を丸めて轟に口付ける。上唇を舐めて引っ張ると、轟も諒解したように開いた雑誌を閉じた。
「随分と察しが良くなったじゃねぇか」
「…俺だって“学習”するさ」
煽るようにTシャツの襟を引っ張って乳首を覗かせた轟に、爆豪も乗ったとばかりに恋人を引きずり上げてそのままベッドに押し倒す。
出会ったばかりのあの頃のような弾ける感情はなくとも、共に年を重ねた“大人”の余裕が其処にはある。
「テメェの頭が真っ白になったって愛してやるよ」
さらさらの髪の毛を梳いて迫った恋人に、轟も「この先お前がハゲたって変わんねぇ」子供っぽく言って恋人を抱き留める。
濃厚に口付けを交わしながら手慣れた様子で自分の部屋着を擦り下げた恋人へ「変わったな」爆豪は思いながらも、必死に差し出される舌に変わらないのはこの口だけか――なんて嘲笑って、恋人の腹筋へ指を這わせた。
――季節は、秋。
長い夜の始まり。ヒーローたちの夜は、こうして更け行くのだった。
*おしまい*
PR
What's NEW
PASSについては『はじめに』をご覧ください。
2025.07.09
えすこーと UP
2025.06.27
しかえし UP
2025.06.26
ろてんぶろ UP
2025.06.23
しーつ UP
2025.06.20
ねっちゅうしょう UP
2025.06.17
あくじき UP
2025.06.15
しゃしん UP
2025.06.14
ヒーロー情景者がヒーローの卵を手伝う話
大人になったヒーロー情景者が現役ヒーローを手伝う話 UP
2025.06.12
ていれ② UP
2025.06.10
せきにん UP
2025.06.09
よっぱらい UP
2025.05.28
まんぞく UP
2025.05.27
きすあんどくらい UP
2025.05.26
もーにんぐるーてぃん UP
2025.05.23
みせたくない UP
2025.05.21
あい UP
2025.05.15
サイズ UP
2025.05.13
すいぞくかん UP
2025.05.12
intentional gentleman UP
2025.05.09
てんしのあかし
considerate gentleman UP
2025.05.06
新米ヒーローと仕事の話
そんな男は止めておけ! UP
2025.04.27
なつのあそび UP
2025.04.19
はちみつ UP
2025.04.18
ようつう UP
2025.04.16
しつけ UP
2025.04.10
へいねつ
鮫イタSSまとめ UP
2025.04.08
ヒーロー2人と買い物の話
かいもの UP
2025.04.05
こんいんかんけい UP
2025.04.04
角飛SSまとめ⑦ UP
2025.04.03
ゆうれい UP
2025.04.02
汝 我らに安寧を与えん UP
2025.03.31
どりょく UP
2025.03.29
とれーにんぐ UP
2025.03.28
しらこ UP
2025.03.26
ティム・ドレイクの幸せで不幸せな1日
あいのけもの 陸 UP
2025.03.25
さんぱつ UP
2025.03.23
けんこうきぐ UP
2025.03.21
へんか UP
2025.03.20
はな UP
2025.03.18
こえ UP
2025.03.17
こくはく UP
2025.03.15
ぎもん UP
2025.03.14
あめ UP
2025.03.12
よだつか/オメガバ UP
2025.03.10
あこがれ UP
2025.03.08
おていれ UP
2025.03.07
くちづけ UP
2025.03.06
どきどき UP
2025.03.04
たいかん② UP
2025.03.03
たいかん UP
2025.03.01
かおり UP
2025.02.28
なまえ UP
2025.02.27
さいふ UP
2025.02.26
しらない UP
2025.02.24
くちうつし UP
2025.02.21
うそ UP
2025.02.20
たばこ UP
2025.02.19
よだつか R18習作 UP
2025.02.17
きのこ UP
2025.02.15
汝 指のわざなる天を見よ UP
2025.02.04
角飛 24の日まとめ UP
since…2013.02.02