Serena*Mのあたまのなかみ。
Xにて書き散らかしたSSまとめ⑦(2024.09~2025.03)
※各種パロ(現パロ)、ワードパレット
普段通りの闇鍋です
※各種パロ(現パロ)、ワードパレット
普段通りの闇鍋です
----------------------------
愛のかたち
※現パロ(同棲)
愛は目に見えない。
当たり前の話だ。
コレが目に見えたら無用な争いは無くなるかもしれないが――逆に、無駄な争いの種になるのかもしれない。
なんて難しいことを考えた飛段だったが、所詮は飛段の頭。
「わっかんね!」お得意のウインクをして思考は終わる。
一緒に暮らす恋人が「出掛けるぞ」言うと飛段は「ちょっと待ってろ」手早く浴室のドアを開ける。
カランを捻り、水を浴び、さっぱりとしたところで新しい肌着に腕を通したいのだ(ついでに寝癖も直せる!)。
自室は荒れ放題、ゴミの分別なんて知らぬ存ぜぬ、恋人からのお小言もなんのその。そんな自堕落を絵に描いたような人間の飛段だったが、子供の頃から何故か出掛ける前には身を清めたくなるのだ。ある意味、彼の出掛けの“儀式”のような。
今日も「出掛ける」言った角都に「待ってろ」飛段はいつものようにシャワーを浴びる。背後から大袈裟な舌打ちが聞こえたけれど気にしたら負けだ。気にしていたらこんな偏屈な男と長くは続いていない。
それに出掛けるつもりなら早めに言えっての。それは飛段の談。
「…さっさとしろ」
苛ついた恋人の声を水に打たれながら聴いた飛段は“愛だなぁ”ぼんやり思う。
時間には煩い癖に、こうして毎回律儀に自分を待つ角都に今夜は大サービスしてやろう、飛段は目論む。
この前買った新しい酒?
それとも一緒に選んだ新作の玩具?
それか、秘密裏に用意したコスチューム?
愛は目に見えない。
それは飛段にも分かる。けれど――愛は態度で分かるのだ。
「角都ちゃぁん♡お待たせぇ」
碌に体も拭かず、濡れ鼠のまま出てきた恋人に抱きつかれた角都が、愛の鉄拳を下したのは言うまでもない。
----------------------------
相棒だけが知る表情
基本的に角都の表情は読めない。
頭巾に口布をしていて、見えるのは目元だけなのだから当たり前の話だ。一流の忍であれば雰囲気で察しろ、とも強気に言えるのかもしれないが、そこは忍とて人間。表情の硬い角都は声にも抑揚が無く、腹の底が読めない男だった。
機嫌がいいのか、悪いのか。それは本人である角都しか分からないことであり、周りの人間は相棒(飛段)への対応で見極めるしか無い。
とは言ってもいつも飛段は角都の怒りを買っていたから、“機嫌が悪い”そうメンバーは結論付けるのだった。
アジトの食堂、難しい顔をして新聞を読む角都をデイダラが遠巻きに眺める。堅焼き煎餅をばりばりと齧りながら新聞を捲る爺に、彼は傍の相棒に耳打ちした。
「なぁ、飛段。アレって機嫌良いのか?悪いのか?うん」
角都はよく本を読んでいる。必ず新聞に目を通す男なのも知っている。
そんな彼が煎餅を片手に新聞を読むと言うのは――機嫌が“良い”?
小さな鳥を形作りながら尋ねたデイダラに、飛段は祈りのネックレスを磨く手を止める。それから、チラリと相棒に視線を投げると小さく頷いた。
「…ん?
ありゃー良い方だと思うぜ〜」
相変わらず小難しい顔をして新聞を睨みつける角都を飛段は評する。
「機嫌が悪かったら此処で新聞も読まねーし、上機嫌だから煎餅も食ってんだろ、アレ」
食堂に置かれた煎餅はリーダーからの心遣いで、時折こうした菓子が食堂に置かれていた。
普段は甘い菓子が多いのに今回は珍しい。「塩っけのあるモンが食いてぇ」夕食で言った飛段の望みを聞いたのか。
「そっかー、…うん」
デイダラも飛段に習って角都を視界に入れると、飛段の言葉に納得したようだ。
「なになに?」
ジャシン教のシンボルマークに短く口付けをして懐に仕舞った飛段が首を傾げる。
――別に。
デイダラは返すと、また粘土を捏ねる。
吐き出した粘土で今度は蜘蛛を作り始める。
丁寧に2匹ほど並べたところで、彼はまた口を開いた。
「…よく分かるな、うん。
オイラ、全然分かんねーぞ、うん」
素直な感嘆の言葉に「そうか?」飛段は出来上がったばかりの蜘蛛型の起爆粘土をつつきながら返す。
「フッツーに怒鳴ってくるし、イライラすっと蹴ってくるし…賞金首届けた帰りは美味いモン食わせてくれっけど…
結構、分かりやすいと思うけどなぁ〜」
今度は手を伸ばしてテーブルに置かれた袋菓子を開けながら続けると「殆ど怒られてんじゃん、うん」デイダラに鋭く突っ込まれる。
「ゲハハハ! まぁいつも“殺してやる”って脅されてっからな!!」
カラカラと相棒からの殺人予告を笑い飛ばす飛段に、彼の声が癪に触ったのか角都が重い口を開く。
「煩い、飛段。気が散る。
その口縫い止めるぞ」
投げつけられた言葉に「!」デイダラは身を硬くしたが、当の飛段は
「出来るならやってみろっつ〜の」
意に介さないばかりか火に油を注いでいる。
――任務帰りに茶屋を見つけた時の『寄るか?』柔らかい表情も、換金所での上機嫌な声も。
自分を求める時の真剣な眼差しも、達した後の少し潤んだ目尻も、優しく頭を撫でる手のひらも。
くるくると変わる角都(相棒)の表情は飛段だけが分かっていればいいのだ。
相棒から罵倒されながら、ニンマリと目を細めた飛段に「触らぬ神に祟りなしだな、…うん」デイダラは眉を寄せると、大急ぎで粘土を集めて食堂を後にするのだった。
----------------------------
幽霊
存在しない“神”(ジャシン)を信じる飛段ではあるが、目に見えない“幽霊”の類は信じていないのだと言う。
曰く「アイツら、角都とおっ始めるとどっか消えんじゃん」
そう言って薄暗い部屋の隅を見つめた飛段に、角都の背中に冷たい物が走る。
普段は頭刻苦たちで蠢く背後が、こうした情事の際は外してしまうから静寂が余計に気になった。
昔、何処かで聞いたことがある。
命を作る行為は圧倒的な陽の気を纏うものであること。妖アヤカシ)たちを撥ね退ける力があること。
「…そうか」
努めて冷静に角都は言うと、そのまま飛段を組み敷く。
暗闇に浮かぶ青白い肌、月夜に咲く月下美人のような。
――その晩、いつも以上に角都の口が重く、激しく相棒を抱いたのは言うまでもない。
----------------------------
~密着☆角飛24時 任務に行くよver.~
3:57 AM
【角都】目覚ましの前に起床。隣の飛段を蹴って起こす
【飛段】角都から蹴られて起床
4:15 AM
【角都/飛段】事前に鬼鮫が用意していてくれた朝食を食べ、出立。
(おにぎり×3 角都⇒梅干し・昆布・ちりめんじゃこ
飛段⇒鶏そぼろ・昆布・おかか)
10:30 AM
【角都】山をひとつ越えたところで休憩。隣の飛段が「甘いモンが食いてぇ」とうるさい
【飛段】ずーっと「甘いモンが食いてぇ」と言っていたらやっと角都が茶屋に入ってくれたので栗蒸し羊羹を頼む。何故か睨まれた。機嫌が悪いんだったら甘いモノを食え!
11:25 AM
【角都】某里に到着。変化し、必要な情報を集める。
【飛段】角都が「任務に行く」と言うから商店街で別れた。腹が減った
0:30 PM
【角都】ターゲットから情報を吐かせる。それくらいの失血で人間は死なん。
【飛段】“焼肉食べ放題”につられて60分食べ放題を満喫
1:15 PM
【角都/飛段】合流。角都の昼食の為に適当な蕎麦屋へ。カツ丼を頼む飛段に角都が慄く
2:30 PM
【角都】適当な賞金首を捕まえて換金(予定)
【飛段】角都の捕まえた賞金首をジャシン様に捧げる為に儀式を行う
3:45 PM
【角都/飛段】アジトに向けて出発。飛段が角都に小遣いの交渉(今日の食べ放題でスッカラカン)をするも決裂。ちょっと地形を変えてしまう
4:30 PM
【角都/飛段】気まずいまま、午前中に立ち寄った茶屋で休憩。3色団子が美味かったので土産に包んで貰う
8:20 PM
【角都/飛段】アジトに戻る。土産を渡し、遅い夕食。
(今日は小南特製のメンチカツとカレー。飛段はお替りした)
9:50 PM
【角都】風呂
【飛段】デイダラと後片付け。皿を落とすが、メラミンの皿だったので問題無し。きちんと片付けて証拠隠滅
10:30 PM
【角都】報告書作成
【飛段】風呂。のち、風呂洗い(当番)
11:20 PM
【角都】報告書をリーダーに提出し、ついでに飛段の小遣いについて少し交渉をする。のち、就寝。
【飛段】デイダラ、トビとチャンネル争い。朝食の仕込みをしていた鬼鮫に怒られて各自、自室へ戻る
0:10 AM
【角都】すやり
【飛段】就寝前の祈りと得物の手入れ。武器を砥ぐのは嫌いじゃない
1:30 AM
【角都】すやり(1時間前と寝姿は変わらない)
【飛段】角都の部屋に行き、就寝
----------------------------
風邪
飛段が風邪を引いた。
“馬鹿は風邪を引かない”なんて唯の迷信。
不死を謳う飛段だって貧血で動けなくなることもあったし、こうした熱で寝込むこともあった。
その日は朝から「雪が降った!」と薄着でおおはしゃぎしていたから、夕方から「フラフラする」倒れたのも仕方のないこと。
翌日は賞金首を纏めて換金しようと思っていた角都だったが、相棒がこの調子では予定変更せざるを得ない。溜め息を吐いたところで気の優しい鬼鮫が代理を買って出てくれ、あまり人に頼るのを良しとしない角都だったが今回は素直に彼に甘えることとした。
「西の通りの外れの…」
「あの質屋さんの裏ですよね、知っています」
「それから明日は」
「分かってます、スーパーのポイント5倍セールの日でしょう?
少し備品も買っておきたいので多めに予算を頂けると助かります」
なんて傭兵団体として余りにも所帯じみた会話を交わして、角都は飛段の様子を見に行く。
単純に寒い中遊んで疲れただけだろう、ここ1週間ほど任務で野営続きだったから、少し疲れも出たのかもしれない。
布団からはみ出した足を戻し、額から落ちた手拭いで首筋の汗を拭ってやると飛段は薄く目を開けた。
「…ぁ? 角都ぅ?」
傍らに置いた桶で手拭いを濡らすと、角都は固く絞って飛段の額に乗せる。
「きもちぃ~…」
情事を思わせる上気した頬で飛段が呟くと「具合はどうだ」角都の返しは相変わらずだった。
「…別にぃ。
悪ィなぁ、角都。明日一緒に換金所行けなくてよ~」
「鬼鮫に頼んだ」
「マジか」
人にものを頼むことを嫌う相棒が、仲間に頼るのは珍しくて飛段は驚く。
「…腹は減っているか」
続けた角都に「う~?」飛段は頭を捻るが、
「でも食わねーと薬も飲めねーしな。ちょっと食う」
なんて頷いた。
「……待ってろ」
角都は低く言うと、温くなった桶を抱えて部屋を後にする。
鬼鮫が用意した粥を持ち、小南が持って来た解熱の薬も盆に載せてそそくさと相棒の部屋へ向かう角都に
「…意外と…」
「面倒見が良いわね」
「うん」
寛いでいた鬼鮫、小南、そしてデイダラが声を合わせるのだった。
*
『いいって』
そう顔を背ける飛段に粥を食べさせ、薬を飲ませたあと、汗に濡れた寝間着を取り換えてやり、頭刻苦でほんのりと温めた布団へ寝かしつける角都は、想像以上に甲斐甲斐しい。
「寝ろ」
布団を引っ張り上げて促すと、「…おぅ」素直に飛段も応じた。
小さな豆電球の明かりの下、角都が留守の間の帳簿を眺めていると
「…角都ぅ」
寝たと思った飛段が声を掛ける。
「どうした」
「……ん、別に」
「寝ろ」
帳面から視線を上げて自分を見つめる相棒に、なんだか飛段は居心地が悪くなって布団を引っ張り上げる。
「…なんかさ」
「いいから黙って寝ろ。
貴様が寝ないとこっちの仕事も出来ん」
「……角都さ、やっぱ心配してくれてんの?」
別に俺、風邪で死なねーし。
続けて寝返りを打った飛段の額から手拭いが落ちて、角都は溜め息を隠さなかった。
「…だからどうした?
相棒の心配をするのは当たり前だろう」
当たり前のように返した角都に、飛段は顔を綻ばせる。
「なぁ、角都ぅ。
意外と俺、角都から愛されてる?」
にやけた笑顔に「そんな事にも気付かんのか、馬鹿者」角都は冷たく返すと
「寝ろ」
三度目の正直とばかりに飛段の額に手拭いを乗せ直し、ぽんと布団と叩いて寝かしつけるのだった。
愛のかたち
※現パロ(同棲)
愛は目に見えない。
当たり前の話だ。
コレが目に見えたら無用な争いは無くなるかもしれないが――逆に、無駄な争いの種になるのかもしれない。
なんて難しいことを考えた飛段だったが、所詮は飛段の頭。
「わっかんね!」お得意のウインクをして思考は終わる。
一緒に暮らす恋人が「出掛けるぞ」言うと飛段は「ちょっと待ってろ」手早く浴室のドアを開ける。
カランを捻り、水を浴び、さっぱりとしたところで新しい肌着に腕を通したいのだ(ついでに寝癖も直せる!)。
自室は荒れ放題、ゴミの分別なんて知らぬ存ぜぬ、恋人からのお小言もなんのその。そんな自堕落を絵に描いたような人間の飛段だったが、子供の頃から何故か出掛ける前には身を清めたくなるのだ。ある意味、彼の出掛けの“儀式”のような。
今日も「出掛ける」言った角都に「待ってろ」飛段はいつものようにシャワーを浴びる。背後から大袈裟な舌打ちが聞こえたけれど気にしたら負けだ。気にしていたらこんな偏屈な男と長くは続いていない。
それに出掛けるつもりなら早めに言えっての。それは飛段の談。
「…さっさとしろ」
苛ついた恋人の声を水に打たれながら聴いた飛段は“愛だなぁ”ぼんやり思う。
時間には煩い癖に、こうして毎回律儀に自分を待つ角都に今夜は大サービスしてやろう、飛段は目論む。
この前買った新しい酒?
それとも一緒に選んだ新作の玩具?
それか、秘密裏に用意したコスチューム?
愛は目に見えない。
それは飛段にも分かる。けれど――愛は態度で分かるのだ。
「角都ちゃぁん♡お待たせぇ」
碌に体も拭かず、濡れ鼠のまま出てきた恋人に抱きつかれた角都が、愛の鉄拳を下したのは言うまでもない。
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相棒だけが知る表情
基本的に角都の表情は読めない。
頭巾に口布をしていて、見えるのは目元だけなのだから当たり前の話だ。一流の忍であれば雰囲気で察しろ、とも強気に言えるのかもしれないが、そこは忍とて人間。表情の硬い角都は声にも抑揚が無く、腹の底が読めない男だった。
機嫌がいいのか、悪いのか。それは本人である角都しか分からないことであり、周りの人間は相棒(飛段)への対応で見極めるしか無い。
とは言ってもいつも飛段は角都の怒りを買っていたから、“機嫌が悪い”そうメンバーは結論付けるのだった。
アジトの食堂、難しい顔をして新聞を読む角都をデイダラが遠巻きに眺める。堅焼き煎餅をばりばりと齧りながら新聞を捲る爺に、彼は傍の相棒に耳打ちした。
「なぁ、飛段。アレって機嫌良いのか?悪いのか?うん」
角都はよく本を読んでいる。必ず新聞に目を通す男なのも知っている。
そんな彼が煎餅を片手に新聞を読むと言うのは――機嫌が“良い”?
小さな鳥を形作りながら尋ねたデイダラに、飛段は祈りのネックレスを磨く手を止める。それから、チラリと相棒に視線を投げると小さく頷いた。
「…ん?
ありゃー良い方だと思うぜ〜」
相変わらず小難しい顔をして新聞を睨みつける角都を飛段は評する。
「機嫌が悪かったら此処で新聞も読まねーし、上機嫌だから煎餅も食ってんだろ、アレ」
食堂に置かれた煎餅はリーダーからの心遣いで、時折こうした菓子が食堂に置かれていた。
普段は甘い菓子が多いのに今回は珍しい。「塩っけのあるモンが食いてぇ」夕食で言った飛段の望みを聞いたのか。
「そっかー、…うん」
デイダラも飛段に習って角都を視界に入れると、飛段の言葉に納得したようだ。
「なになに?」
ジャシン教のシンボルマークに短く口付けをして懐に仕舞った飛段が首を傾げる。
――別に。
デイダラは返すと、また粘土を捏ねる。
吐き出した粘土で今度は蜘蛛を作り始める。
丁寧に2匹ほど並べたところで、彼はまた口を開いた。
「…よく分かるな、うん。
オイラ、全然分かんねーぞ、うん」
素直な感嘆の言葉に「そうか?」飛段は出来上がったばかりの蜘蛛型の起爆粘土をつつきながら返す。
「フッツーに怒鳴ってくるし、イライラすっと蹴ってくるし…賞金首届けた帰りは美味いモン食わせてくれっけど…
結構、分かりやすいと思うけどなぁ〜」
今度は手を伸ばしてテーブルに置かれた袋菓子を開けながら続けると「殆ど怒られてんじゃん、うん」デイダラに鋭く突っ込まれる。
「ゲハハハ! まぁいつも“殺してやる”って脅されてっからな!!」
カラカラと相棒からの殺人予告を笑い飛ばす飛段に、彼の声が癪に触ったのか角都が重い口を開く。
「煩い、飛段。気が散る。
その口縫い止めるぞ」
投げつけられた言葉に「!」デイダラは身を硬くしたが、当の飛段は
「出来るならやってみろっつ〜の」
意に介さないばかりか火に油を注いでいる。
――任務帰りに茶屋を見つけた時の『寄るか?』柔らかい表情も、換金所での上機嫌な声も。
自分を求める時の真剣な眼差しも、達した後の少し潤んだ目尻も、優しく頭を撫でる手のひらも。
くるくると変わる角都(相棒)の表情は飛段だけが分かっていればいいのだ。
相棒から罵倒されながら、ニンマリと目を細めた飛段に「触らぬ神に祟りなしだな、…うん」デイダラは眉を寄せると、大急ぎで粘土を集めて食堂を後にするのだった。
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幽霊
存在しない“神”(ジャシン)を信じる飛段ではあるが、目に見えない“幽霊”の類は信じていないのだと言う。
曰く「アイツら、角都とおっ始めるとどっか消えんじゃん」
そう言って薄暗い部屋の隅を見つめた飛段に、角都の背中に冷たい物が走る。
普段は頭刻苦たちで蠢く背後が、こうした情事の際は外してしまうから静寂が余計に気になった。
昔、何処かで聞いたことがある。
命を作る行為は圧倒的な陽の気を纏うものであること。妖アヤカシ)たちを撥ね退ける力があること。
「…そうか」
努めて冷静に角都は言うと、そのまま飛段を組み敷く。
暗闇に浮かぶ青白い肌、月夜に咲く月下美人のような。
――その晩、いつも以上に角都の口が重く、激しく相棒を抱いたのは言うまでもない。
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~密着☆角飛24時 任務に行くよver.~
3:57 AM
【角都】目覚ましの前に起床。隣の飛段を蹴って起こす
【飛段】角都から蹴られて起床
4:15 AM
【角都/飛段】事前に鬼鮫が用意していてくれた朝食を食べ、出立。
(おにぎり×3 角都⇒梅干し・昆布・ちりめんじゃこ
飛段⇒鶏そぼろ・昆布・おかか)
10:30 AM
【角都】山をひとつ越えたところで休憩。隣の飛段が「甘いモンが食いてぇ」とうるさい
【飛段】ずーっと「甘いモンが食いてぇ」と言っていたらやっと角都が茶屋に入ってくれたので栗蒸し羊羹を頼む。何故か睨まれた。機嫌が悪いんだったら甘いモノを食え!
11:25 AM
【角都】某里に到着。変化し、必要な情報を集める。
【飛段】角都が「任務に行く」と言うから商店街で別れた。腹が減った
0:30 PM
【角都】ターゲットから情報を吐かせる。それくらいの失血で人間は死なん。
【飛段】“焼肉食べ放題”につられて60分食べ放題を満喫
1:15 PM
【角都/飛段】合流。角都の昼食の為に適当な蕎麦屋へ。カツ丼を頼む飛段に角都が慄く
2:30 PM
【角都】適当な賞金首を捕まえて換金(予定)
【飛段】角都の捕まえた賞金首をジャシン様に捧げる為に儀式を行う
3:45 PM
【角都/飛段】アジトに向けて出発。飛段が角都に小遣いの交渉(今日の食べ放題でスッカラカン)をするも決裂。ちょっと地形を変えてしまう
4:30 PM
【角都/飛段】気まずいまま、午前中に立ち寄った茶屋で休憩。3色団子が美味かったので土産に包んで貰う
8:20 PM
【角都/飛段】アジトに戻る。土産を渡し、遅い夕食。
(今日は小南特製のメンチカツとカレー。飛段はお替りした)
9:50 PM
【角都】風呂
【飛段】デイダラと後片付け。皿を落とすが、メラミンの皿だったので問題無し。きちんと片付けて証拠隠滅
10:30 PM
【角都】報告書作成
【飛段】風呂。のち、風呂洗い(当番)
11:20 PM
【角都】報告書をリーダーに提出し、ついでに飛段の小遣いについて少し交渉をする。のち、就寝。
【飛段】デイダラ、トビとチャンネル争い。朝食の仕込みをしていた鬼鮫に怒られて各自、自室へ戻る
0:10 AM
【角都】すやり
【飛段】就寝前の祈りと得物の手入れ。武器を砥ぐのは嫌いじゃない
1:30 AM
【角都】すやり(1時間前と寝姿は変わらない)
【飛段】角都の部屋に行き、就寝
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風邪
飛段が風邪を引いた。
“馬鹿は風邪を引かない”なんて唯の迷信。
不死を謳う飛段だって貧血で動けなくなることもあったし、こうした熱で寝込むこともあった。
その日は朝から「雪が降った!」と薄着でおおはしゃぎしていたから、夕方から「フラフラする」倒れたのも仕方のないこと。
翌日は賞金首を纏めて換金しようと思っていた角都だったが、相棒がこの調子では予定変更せざるを得ない。溜め息を吐いたところで気の優しい鬼鮫が代理を買って出てくれ、あまり人に頼るのを良しとしない角都だったが今回は素直に彼に甘えることとした。
「西の通りの外れの…」
「あの質屋さんの裏ですよね、知っています」
「それから明日は」
「分かってます、スーパーのポイント5倍セールの日でしょう?
少し備品も買っておきたいので多めに予算を頂けると助かります」
なんて傭兵団体として余りにも所帯じみた会話を交わして、角都は飛段の様子を見に行く。
単純に寒い中遊んで疲れただけだろう、ここ1週間ほど任務で野営続きだったから、少し疲れも出たのかもしれない。
布団からはみ出した足を戻し、額から落ちた手拭いで首筋の汗を拭ってやると飛段は薄く目を開けた。
「…ぁ? 角都ぅ?」
傍らに置いた桶で手拭いを濡らすと、角都は固く絞って飛段の額に乗せる。
「きもちぃ~…」
情事を思わせる上気した頬で飛段が呟くと「具合はどうだ」角都の返しは相変わらずだった。
「…別にぃ。
悪ィなぁ、角都。明日一緒に換金所行けなくてよ~」
「鬼鮫に頼んだ」
「マジか」
人にものを頼むことを嫌う相棒が、仲間に頼るのは珍しくて飛段は驚く。
「…腹は減っているか」
続けた角都に「う~?」飛段は頭を捻るが、
「でも食わねーと薬も飲めねーしな。ちょっと食う」
なんて頷いた。
「……待ってろ」
角都は低く言うと、温くなった桶を抱えて部屋を後にする。
鬼鮫が用意した粥を持ち、小南が持って来た解熱の薬も盆に載せてそそくさと相棒の部屋へ向かう角都に
「…意外と…」
「面倒見が良いわね」
「うん」
寛いでいた鬼鮫、小南、そしてデイダラが声を合わせるのだった。
*
『いいって』
そう顔を背ける飛段に粥を食べさせ、薬を飲ませたあと、汗に濡れた寝間着を取り換えてやり、頭刻苦でほんのりと温めた布団へ寝かしつける角都は、想像以上に甲斐甲斐しい。
「寝ろ」
布団を引っ張り上げて促すと、「…おぅ」素直に飛段も応じた。
小さな豆電球の明かりの下、角都が留守の間の帳簿を眺めていると
「…角都ぅ」
寝たと思った飛段が声を掛ける。
「どうした」
「……ん、別に」
「寝ろ」
帳面から視線を上げて自分を見つめる相棒に、なんだか飛段は居心地が悪くなって布団を引っ張り上げる。
「…なんかさ」
「いいから黙って寝ろ。
貴様が寝ないとこっちの仕事も出来ん」
「……角都さ、やっぱ心配してくれてんの?」
別に俺、風邪で死なねーし。
続けて寝返りを打った飛段の額から手拭いが落ちて、角都は溜め息を隠さなかった。
「…だからどうした?
相棒の心配をするのは当たり前だろう」
当たり前のように返した角都に、飛段は顔を綻ばせる。
「なぁ、角都ぅ。
意外と俺、角都から愛されてる?」
にやけた笑顔に「そんな事にも気付かんのか、馬鹿者」角都は冷たく返すと
「寝ろ」
三度目の正直とばかりに飛段の額に手拭いを乗せ直し、ぽんと布団と叩いて寝かしつけるのだった。
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