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Serena*Mのあたまのなかみ。
NARUTO/うちはマダラ×千手柱間

2023年のSS3本まとめ


【マダ柱】お御籤

マダラが、気まぐれに木ノ葉の神社で御籤を引いた。

――神に運命を委ねるなど、笑止。

そうは思うものの、験を担ぐタイプの人間でもあったので無視は出来なかった。

恋愛・焦りは禁物 健康・早起きは三文の徳 金運・貸し借りに注意

あまり良い言葉の書かれていない其れに「もう一回だ!」社務所の巫女に小銭を渡し、また新しい御籤を引く。
今度渡された半紙には

恋愛・待ち人来たらず 健康・怪我に警戒 金運・八方塞がり

1枚目よりも悪い言葉が並んでいて「まだだ!!」マダラは再び御籤を引く。
そうして何度目かに巫女から渡された半紙には“大吉”そう記され、文言も満足するものだった。

恋愛・相思相愛 健康・案ずること無し 金運・上向き

「柱間ァァァァァァァ!!!!!!」

彼は長い髪を靡かせると、神風の如く幼馴染の詰める火影邸に姿を現す。

「…っ、何の用だ!?」

書類を抱えた扉間の横をすり抜け、襖を開けると呆けた顔をして執務に当たる柱間に叫んだ。

「柱間ァ!」

突然の幼馴染の登場に柱間の目がぱちくりと瞬く。

「マダラ!」

どうしたぞ? 首を傾げた柱間にマダラは尋ねる。

「お前は俺が好きか!?」

マダラの言葉に顔を険しくさせたのは慌てて追いかけて来た扉間で、けれど、問い掛けられた柱間は当たり前の事のように破顔すると頷いた。

「好きぞ!!」

屈託のない太陽のような笑顔に「そうかァ!」マダラは返すと

「邪魔したな!!」

似合わない爽やかな笑顔を浮かべて傍らの扉間の肩を叩き、また颯爽と姿を消す。
静かになった執務室にはらりと散った書類を柱間は拾って、

「…嵐のようだの」

苦笑すると「全くだ」溜息を吐いた弟も同意した。

「さ、兄者。今日はこの書類全てに目を通して許可印を押してくれ」

補佐の言葉に「うぁぁぁぁ…」火影はがっくりと肩を落とし、書類を整えると大人しく扉間の言うことを聞くのだった。

――その後、木ノ葉の神社にうちはからの多額の寄付があったのは言うまでもない。

【マダ柱】お泊り
扉間からの視点。

柱間(兄者)が、マダラの家に泊まりに行くと言う。
別に幼馴染であり、一歩進んだ恋人の関係だ。今更2人きりの空間を作ることに別段、抗議はしない(反対したところでマダラからの恨みが増すだけだし、面倒くさい。どうか一生兄の面倒を見てくれ。心から願う)。
マダラの家に通っている家政婦が休みの5日間、マダラに呼ばれたと言うのだ。別に火影の仕事は詰所で行うし、帰る家が別なだけのこと。――まぁ、恋人同士の2人だ。夜の過ごし方は自ずと分かる。

迎えに来たマダラへ「その茸ももいでしまえ」扉間にしては下劣な言葉で見送ると、騒がしい兄の居ない生活を満喫しようと意気込むものの、積まれた洗濯物と障子の桟に溜まる埃に「…大掃除から始めるか」そう肩を鳴らすのだった。

呼び出されたのは2日目の夜。

緊急の式だったから「何事だ!?」大急ぎでマダラの家に向かった柱間が見たのは、天井まで焼け焦げた台所の姿だった。

「ほ、ほっとけぇき? を焼こうとしたらこうなったんぞ…」

双眸を潤ませた柱間に、背後からマダラが覗く。
――大方、火力が足りないとか御託を並べてお得意の火遁でも披露したんだろう。

此 処 は 室 内 だ !

心の内に盛大な突っ込みをしながら、扉間の表情は険しい。

「……全く。何事かと思えば」

天井を睨んで素早く状況を確認すると、溜め息を吐いて扉間は柱間に指示する。

「只の焦げだ。面倒だが鑢(ヤスリ)を使って削れば問題ない。
 目の粗い物から順番に、だ」

そうして帰ろうと背中を向けた弟を、兄は引き留める。

「そ、それからの…朝ご飯、なんだが…」

居間のちゃぶ台に並べられた得体の知れない料理?の数々、よく見れば洗い場にも調理用具が重なっている。

舌打ちした扉間にマダラが殺意を向けるが「まぁまぁまぁまぁ」間に立った柱間が諫めた。

「…飯は」
「炊けた! 飯盒は得意ぞ!!」

胸を反らせた柱間の浴衣の隙間から赤い痕が見えてもう一度扉間は舌打ちをすると「茶くらいはあるだろう」後ろの家主(マダラ)に声を掛ける。

「……後ろの棚だ」

指差したマダラに

「もう時間もない。茶漬けを作ってやるからさっさと腹に入れろ」

扉間は言うと手早く梅としらすを乗せた茶漬けを作り(食品貯蔵庫を覗くのはマダラの許可を得ている。流石、通いの家政婦のいる家だ。質の良い食材が並んでいた)、残りの白米を握り飯にすると「片付けまでは面倒みきれん!」そう言い残して一足先に詰所に向かった。

――通いの手伝いが居る男と、生活能力の欠けた火影と。
2人が生活したら“どう”なるかは明白だと言うのに。

任務書を捲りながら顔を顰めた扉間に、呼ばれた猿飛がどんな危険な任務を言い渡されるのかと震えるのだった。

次に呼び出されたのは4日目の夜。

「風呂場が水浸しぞ!」

相変わらず飛ばした式は緊急用で、けれど今回は用件が書いてあったから仕方なしに扉間は清掃用具を見繕ってそのままマダラの家へと走る。

――柱間が不在の千手の家はどこも磨き上げられており、チリひとつ落ちていない。
溜まっていた洗濯物も全て片付けたし、古い寝間着は繕って必要な物は買い揃えた。今朝も縁側の廊下を水拭きして油を塗ったから素足で歩くと心地が良いはずだ。

朧月が浮かぶ夜、屋根伝いにマダラの住居区へと急ぐ扉間は今宵何度目かの盛大な溜め息を夜空に溶かすのだった。



そうして呼び出されたマダラ邸の風呂場。
部屋着なのだろう、作務衣を着たマダラと真っ裸の柱間が彼を迎える。

「…兄者。服を着ろ。汚物を仕舞え」

心底嫌な顔を作った扉間に

「汚物とはなんぞ!」

柱間は頬を膨らませる。
傍らのマダラは扉間の言葉に吼えたが扉間は意に介さず(柱間は全裸で屋敷をウロウロするのである意味見慣れている。もっと言えば幼少の頃は一緒に風呂にも入っていたのだ)、水溜りの作った床に彼は手早く排水溝を確認すると、絡んだ髪の毛の塊を引きずり出した。

「…原因はこれだ」

――考えなくたって分かる。

腰まで伸ばした柱間の艶髪、少し癖のあるマダラの長髪――

“掃除をした”と言っても、精々湯船を洗い、床を拭いた程度なのだろう。
普段は通いの手伝いが、扉間が細やかに掃除をしているのをマダラも柱間も知らないのだ。

「うわ!」
「!! こっちに近付けるな!!!!」

柱間に飛びつかれたマダラの頬が赤いのが癪に障るが、扉間も大人なので冷静に対処する。

「……毎日、とは言わんがせめて2日に1回はこうして排水溝のゴミも捨てろ。
 特に兄者もマダラも髪の毛が長いしこうして絡んで詰まりやすい」

ついでに持参した洗剤でその辺もスポンジで擦ると「随分と家庭的な弟だなァ?」マダラが憎まれ口を叩く。

「…貴様の家だ。自分でしろ」

売り言葉に買い言葉とばかりにスポンジを投げつけた扉間は兄の顔をじっと見つめて尋ねた。

「兄者、ちゃんと食ってるか」

――この前の台所は酷い有様だった。
毎日、陽の昇る時間は一緒に過ごしているものの、きちんと兄が生活出来ているのかは気になる。

「作るのは諦めたんぞ。
 今は食べて帰ったり、買って帰ったりしている」

指差した先にどさりと置かれた弁当箱の空に、嗚呼 今度はゴミ捨ての概念も教えなければ。扉間は頭を抱えるのだった。


――通いの手伝いが居る男と、生活能力の欠けた火影。
2人に“普通”生活を叩き込むのが扉間の次の仕事で、どんな無謀な任務よりも難しいものだった――

【マダ柱】嘘
ほぼ扉間の独白。

初代火影である千手柱間は嘘が下手だ。直ぐに表情に出るからこそ彼の人となりを表していて好感が持てるのだが、本人の趣味である博打に関してはからきしの性質ある。運の勝負のある賭博ならば何とか、花札なんかの表情を読むものに関しては全く。

――そんな嘘を吐けない柱間が、慣れない嘘を扉間に吐くのは親友と会った夜のみ。

「散歩か、兄者」

もうすっかり日も落ちた夜半、庭の枝折戸をそっと動かした柱間に縁側に立った扉間は尋ねる。

「ヒィ! さ、散歩ぞ!!」

まるで子供が親に叱られるかの如くに驚いた兄に、弟は小さく溜め息を吐いた。

「別に兄者も大人だ。夜中に出歩いたって怒りはせん。
 飯は食ったかと心配しておるのだ」

表情筋をよく動かく柱間に対し、弟の表情はいつも険しい。
主に兄の事で頭を悩ませているから難しい顔になるのだが、原因の兄は気にも留めなかった。

――さっきも、火影室を出た途端に「用事ぞ!」素早く窓から出て行ってしまった。
其れがこの時間の帰宅なのだ。家族として、弟として。兄の腹事情を心配する(夜明け前に「腹が減ったぞ!」起こされるのはいつも扉間なのだ。大人なのだから勝手に食え…)。

「食べてきたぞ!」

大振りに頷いた柱間に「そうか」扉間は返したが――直後、柱間の腹の虫が鳴る。

「~~!」

慌てて腹を押さえた柱間に

「…握り飯くらいならすぐに出してやれる」

扉間は首を振ると「早く家に入れ、兄者。夜風に当たり過ぎては身体に悪い」そう手招きする。

「はは、悪いの」

頭を掻いた柱間が隣をすり抜けると、夜空に溶けるような黒髪から甘い匂いが漂って逢瀬(マダラ)か。察した。

『散歩ぞ!』——か。本当に、兄者は嘘が吐けない男だな。
恋人からの独占欲(マーキング)に扉間は辟易すると、

「飯を食ったら相談したいことがある」
「えぇ~~~仕事の話は嫌ぞ」
「…安心しろ、新しい術の相談だ」
「なら安心ぞ!」

そう話題を変えて家へと入る。

――嘘を吐いたとて、バレると言うのに。

機嫌よく袂を振り回して歩く兄の背中に扉間は思う。
弟には親友との関係を秘密にしていると思い込んでいる兄の詰めの甘さに、オレがしっかりせねば。扉間は気を引き締めるのだった。

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