Serena*Mのあたまのなかみ。
バットマン/ジェイディクを見つめるティム・ドレイク(笑)
弊アースのティムはダイナミックデュオ強火で、
かわいそかわいい…みたいな扱いです。
ティムに幸あれ!
弊アースのティムはダイナミックデュオ強火で、
かわいそかわいい…みたいな扱いです。
ティムに幸あれ!
ティム・ドレイクはCEOである。
彼はゴッサムの大学に通うごく普通の大学生で、ニュースにもなるような自分自身で会社を立ち上げた学生社長ではない。ディック・グレイソン大好き倶楽部の会長なのである(因みに会員はいない)。
養父の財力と、自分の知力を使って彼は潤沢な資産を更に拡充させ、そして自身の生活の糧としている。養父なんかは「使い過ぎるなよ」と口で注意する程度だったから、ますますティムは尽きることの無い資産を使い、調子に乗って自身のガジェット類を充実させていた。
光学ズームを搭載したカメラに、暗視機能に優れたカメラ… 1つ購入しては改造して更に性能を高め、そしてまた新しい機能の物が出たと分解しては研究する…
勿論、レッドロビンとしてその力は大いに役立っている。バットマンと協力してゴッサムの街のあらゆる裏路地をこうして監視しているのだ。異常があれば警報が鳴るシステムも、アップデートして家族に伝わるように細工したのも彼の力。最近ではGPSの機能も使ってより近い警護者に伝わるようにも工夫した。いつだってティムはアイデアマンなのだ。
――彼の情熱は唯一つ、長兄であるディック・グレイソンに注がれている。
もとはダイナミックデュオのフリークだった彼だ。
初代ロビンであるディックに入れ上げるのも不思議ではない。家族になって、親しい関係になってもティムは兄を崇拝していた。
「照れるよ~」
ディックはそう手を振るが、ティムの愛は変わらない。
今日は、そんな彼の1日を追ってみよう。
*
ティムCEOの朝は早い。
夜中を過ぎても研究室に籠って武器の開発をしたり新たなデータから敵の行動パターンを予測したりと忙しいのだが、彼の本業は学生。
6時には起きて身支度を整える。
――早起きなのには理由があった。
ディックの部屋に仕掛けたカメラの映像確認だ。
勿論、セキュリティの面でブルースの屋敷にはあらゆる場所に監視カメラが置かれている。が、その映像ではなく、個人的にティムは監視カメラを置いていた。ディックもそれは了承済みで、意外と「おやすみ♡」なんてカメラ(ティム)に向かって投げキスをしたりするものだから、映像を保存し、画面をスクショするティムの手は止まらない。
こうして朝の1時間はたっぷりと長兄の映像を眺めるのだが、これには幸せなことと不幸せな部分があった。
――ディックの、恋人の存在である。
正直、ディックは顔が良い。いい匂いがするし女性には優しいし、頭だって良いから会話だってとっても弾む。
世の中の老若男女に愛されないワケがないのだ。彼は神の愛を一心に受けてこの世に誕生したと言っても過言ではない。
だから、そんな彼の選んだ恋をティムは応援したいと思う。
出来れば、ダイナミックデュオの相棒であるバットマンと愛を育んで欲しい。けれどそれは叶わぬ夢だ。
なのにどうしてあの美しい兄はゴリラのような別の兄と肉体関係を結んでいるのか。
カメラに録画されているのもジェイソンは知っている筈だ。なのに彼はこれ見よがしにディックの部屋で彼を抱くのだ(恋人だから当たり前である)。しかも月に1度だって“多い”と思うのに今週なんて2日置きだぞ!? ティムは頭を掻き毟る。
けれど、恋人に抱かれるディックの美しいこと!
普通、乱れた姿と言うのは非情にも間抜けな顔だったりもするのだがディックには微塵も感じられない。
「ふう」
汗を垂らしながらベッドに身を横たえるだけで美しいのだ。やはり彼は神に愛されている。
そんな中でも「ティム、そろそろ寝たら?」なんて暗号のサインを送ってくるのだからこの兄は恐ろしい。
気付いたジェイソンが力任せに「人のセックスを覗くなんて悪趣味だな」なんてカメラを壊すのがオチなのだが、ゴリラめ、ティムは舌打ちをするだけ別に問題視はしていない。こうして壊れてくれないと、新しいカメラを設置できないのだ。
壊れないと新しい物に変えられないからね。Win-Winさ。
ティムはそう自分に言い聞かせる。
そうして昼間は学生として過ごし(勿論、ゴッサムとブルードヘイブンに仕掛けた監視カメラの映像はチェックする。警官姿でドーナツを食べるディックは可愛い。今度あのドーナツを買って帰ろう)、夜は街の守護者として活動を行っていた。
「あ、そう言えばさぁ、ティム」
ゴッサムのタワーの天辺で人々の往来を眺めながらディックが口を開く。
吹き付ける風は強かったが、体幹の優れたディックには関係のない話。しゃがむ姿も美しかった。
――今夜の担当はティムとディックの2人で、彼が3ヵ月前から楽しみにしていた時間だ。
「なぁに?」
町外れのBARのざわめきをイヤホンで拾いながらティムが答える。ディックは
「これ、お土産」
腰に回したベルトから小さなぬいぐるみを取り出した。
「この前、ゴッサム湾の古い水族館に行ってね。僕とお揃いだよ」
ティムの目の前で揺れる、ボールチェーンのついた小さなぬいぐるみはどうやらラッコのようだ。クリーム色の貝殻を持って、少しトボけた顔が可愛らしい。
“お揃い”
その言葉にティムは歓喜する。
「ありがとう!」
キーホルダーを受け取ってティムは大切にそのラッコを撫でる。けれど、その水族館デートの相手がジェイソンなのも知っていたから少し複雑な気分だった。
「ジェイがね『なんだかこの顔がティムに似てる』って」
ディックからのトドメの一言にティムは思いきり壁に頭を打ち付ける。
高性能なレッドロビンのヘルメットに頭への衝撃は皆無だったが、急に暴れ始めた弟に「え!?」ディックは目を白黒させ、同時にティムのスーツに仕込んだ健康維持装置が異常な心拍数と血圧の上昇を認めて、アラートが通知されるのだった。
*
今日はブルードヘイブンのセーフハウスに帰ると言うディックを見送り、ティムはゴッサムの屋敷に戻る。
シャワーを浴びて汗を流すと、アルフレッドの用意した軽食を持って今日も研究所に引きこもった。
新しく設えた電気銃の標準が少し甘かったから調整して、携帯用のファストエイドキットも補充しなきゃ。
学校の課題のレポートを片付けながら、考えるのは守護者の仕事ばかり。日中のディックの映像を大きなモニターで確認しながら、ついでに株価のチャートも開いて値をチェックするとやっとティムも一息吐けた。
――と、不意にデスクに置いたスマートフォンが震え、画面を確認すると送信元は憧れのディック・グレイソン。
『おつかれさま!
学校は大変? 目の下のクマが随分と酷かったけど…無理はしないでね
次の休みには屋敷に行くから、息抜きに美味しいジェラートでも食べに行こう 新しく出来たお店、クルミ味が美味しかったよ』
弟を気遣う優しい兄からの連絡に
「うう~~~!!!」
言葉にならない喜びをティムは吐き出し、スマートフォンを抱き締める。
――知ってるんだ、そのジェラートショップにもこの前ジェイソンと行ったこと。
でも僕を誘ってくれるのは嬉しいから…!
相変わらず複雑な感情を抱くティムの夜は、こうして更けるのだった。
*おしまい*
彼はゴッサムの大学に通うごく普通の大学生で、ニュースにもなるような自分自身で会社を立ち上げた学生社長ではない。ディック・グレイソン大好き倶楽部の会長なのである(因みに会員はいない)。
養父の財力と、自分の知力を使って彼は潤沢な資産を更に拡充させ、そして自身の生活の糧としている。養父なんかは「使い過ぎるなよ」と口で注意する程度だったから、ますますティムは尽きることの無い資産を使い、調子に乗って自身のガジェット類を充実させていた。
光学ズームを搭載したカメラに、暗視機能に優れたカメラ… 1つ購入しては改造して更に性能を高め、そしてまた新しい機能の物が出たと分解しては研究する…
勿論、レッドロビンとしてその力は大いに役立っている。バットマンと協力してゴッサムの街のあらゆる裏路地をこうして監視しているのだ。異常があれば警報が鳴るシステムも、アップデートして家族に伝わるように細工したのも彼の力。最近ではGPSの機能も使ってより近い警護者に伝わるようにも工夫した。いつだってティムはアイデアマンなのだ。
――彼の情熱は唯一つ、長兄であるディック・グレイソンに注がれている。
もとはダイナミックデュオのフリークだった彼だ。
初代ロビンであるディックに入れ上げるのも不思議ではない。家族になって、親しい関係になってもティムは兄を崇拝していた。
「照れるよ~」
ディックはそう手を振るが、ティムの愛は変わらない。
今日は、そんな彼の1日を追ってみよう。
*
ティムCEOの朝は早い。
夜中を過ぎても研究室に籠って武器の開発をしたり新たなデータから敵の行動パターンを予測したりと忙しいのだが、彼の本業は学生。
6時には起きて身支度を整える。
――早起きなのには理由があった。
ディックの部屋に仕掛けたカメラの映像確認だ。
勿論、セキュリティの面でブルースの屋敷にはあらゆる場所に監視カメラが置かれている。が、その映像ではなく、個人的にティムは監視カメラを置いていた。ディックもそれは了承済みで、意外と「おやすみ♡」なんてカメラ(ティム)に向かって投げキスをしたりするものだから、映像を保存し、画面をスクショするティムの手は止まらない。
こうして朝の1時間はたっぷりと長兄の映像を眺めるのだが、これには幸せなことと不幸せな部分があった。
――ディックの、恋人の存在である。
正直、ディックは顔が良い。いい匂いがするし女性には優しいし、頭だって良いから会話だってとっても弾む。
世の中の老若男女に愛されないワケがないのだ。彼は神の愛を一心に受けてこの世に誕生したと言っても過言ではない。
だから、そんな彼の選んだ恋をティムは応援したいと思う。
出来れば、ダイナミックデュオの相棒であるバットマンと愛を育んで欲しい。けれどそれは叶わぬ夢だ。
なのにどうしてあの美しい兄はゴリラのような別の兄と肉体関係を結んでいるのか。
カメラに録画されているのもジェイソンは知っている筈だ。なのに彼はこれ見よがしにディックの部屋で彼を抱くのだ(恋人だから当たり前である)。しかも月に1度だって“多い”と思うのに今週なんて2日置きだぞ!? ティムは頭を掻き毟る。
けれど、恋人に抱かれるディックの美しいこと!
普通、乱れた姿と言うのは非情にも間抜けな顔だったりもするのだがディックには微塵も感じられない。
「ふう」
汗を垂らしながらベッドに身を横たえるだけで美しいのだ。やはり彼は神に愛されている。
そんな中でも「ティム、そろそろ寝たら?」なんて暗号のサインを送ってくるのだからこの兄は恐ろしい。
気付いたジェイソンが力任せに「人のセックスを覗くなんて悪趣味だな」なんてカメラを壊すのがオチなのだが、ゴリラめ、ティムは舌打ちをするだけ別に問題視はしていない。こうして壊れてくれないと、新しいカメラを設置できないのだ。
壊れないと新しい物に変えられないからね。Win-Winさ。
ティムはそう自分に言い聞かせる。
そうして昼間は学生として過ごし(勿論、ゴッサムとブルードヘイブンに仕掛けた監視カメラの映像はチェックする。警官姿でドーナツを食べるディックは可愛い。今度あのドーナツを買って帰ろう)、夜は街の守護者として活動を行っていた。
「あ、そう言えばさぁ、ティム」
ゴッサムのタワーの天辺で人々の往来を眺めながらディックが口を開く。
吹き付ける風は強かったが、体幹の優れたディックには関係のない話。しゃがむ姿も美しかった。
――今夜の担当はティムとディックの2人で、彼が3ヵ月前から楽しみにしていた時間だ。
「なぁに?」
町外れのBARのざわめきをイヤホンで拾いながらティムが答える。ディックは
「これ、お土産」
腰に回したベルトから小さなぬいぐるみを取り出した。
「この前、ゴッサム湾の古い水族館に行ってね。僕とお揃いだよ」
ティムの目の前で揺れる、ボールチェーンのついた小さなぬいぐるみはどうやらラッコのようだ。クリーム色の貝殻を持って、少しトボけた顔が可愛らしい。
“お揃い”
その言葉にティムは歓喜する。
「ありがとう!」
キーホルダーを受け取ってティムは大切にそのラッコを撫でる。けれど、その水族館デートの相手がジェイソンなのも知っていたから少し複雑な気分だった。
「ジェイがね『なんだかこの顔がティムに似てる』って」
ディックからのトドメの一言にティムは思いきり壁に頭を打ち付ける。
高性能なレッドロビンのヘルメットに頭への衝撃は皆無だったが、急に暴れ始めた弟に「え!?」ディックは目を白黒させ、同時にティムのスーツに仕込んだ健康維持装置が異常な心拍数と血圧の上昇を認めて、アラートが通知されるのだった。
*
今日はブルードヘイブンのセーフハウスに帰ると言うディックを見送り、ティムはゴッサムの屋敷に戻る。
シャワーを浴びて汗を流すと、アルフレッドの用意した軽食を持って今日も研究所に引きこもった。
新しく設えた電気銃の標準が少し甘かったから調整して、携帯用のファストエイドキットも補充しなきゃ。
学校の課題のレポートを片付けながら、考えるのは守護者の仕事ばかり。日中のディックの映像を大きなモニターで確認しながら、ついでに株価のチャートも開いて値をチェックするとやっとティムも一息吐けた。
――と、不意にデスクに置いたスマートフォンが震え、画面を確認すると送信元は憧れのディック・グレイソン。
『おつかれさま!
学校は大変? 目の下のクマが随分と酷かったけど…無理はしないでね
次の休みには屋敷に行くから、息抜きに美味しいジェラートでも食べに行こう 新しく出来たお店、クルミ味が美味しかったよ』
弟を気遣う優しい兄からの連絡に
「うう~~~!!!」
言葉にならない喜びをティムは吐き出し、スマートフォンを抱き締める。
――知ってるんだ、そのジェラートショップにもこの前ジェイソンと行ったこと。
でも僕を誘ってくれるのは嬉しいから…!
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