Serena*Mのあたまのなかみ。
サイコパス/狡宜
PPPで滾ってしまい…久しぶりの狡宜です。
外務省になって満足に日本の床屋で切れないのかなぁ…なんて考えた妄想です。宜野座さんの絹糸のような髪の毛に触りたい()
3期あたりのイメージでお願いします。雰囲気短文。
PPPで滾ってしまい…久しぶりの狡宜です。
外務省になって満足に日本の床屋で切れないのかなぁ…なんて考えた妄想です。宜野座さんの絹糸のような髪の毛に触りたい()
3期あたりのイメージでお願いします。雰囲気短文。
秘密裏に狡噛が日本に入国したとフレデリカから耳打ちされた宜野座だったが、その狡噛から連絡を受けたのは彼が知らせを聞いてから1日もしないうちだった。
公安の裏回線を巧みに使った短いメッセージに宜野座は意図を読み取る。
――恋人からの連絡はいつだって突然で、そして自分勝手だった。
俺が仕事だったらどうするんだ?
文句を奥歯で噛み砕いて指定された場所に宜野座は向かう。
あまり治安の良くない地区の安宿の一室。
自分だと分かるような少し特徴のあるノックを宜野座がすると「入れ」低い声が耳に届いた。
ガチャリと旧式のドアノブを回すと、ベッドだけが置かれた簡素な部屋で狡噛がスプリングを撓ませ、長い足を放り出している。
「早いな」
愛用の煙草をもみ消した狡噛に「何の用だ」宜野座は短く返した。
「……恋人を呼ぶつったら――理由は1つだろ」
意地悪く笑った狡噛に宜野座は小さく溜息を吐く。
外務省管轄になった今でも、こうしたやり取りは公安の執行官と監視官の頃から1ミリも変わっていなかった。
「お前も日本に戻ってるって聞いてな」
ニヤリと口の端を歪めた狡噛の髪が妙に膨らんでいて、愛を囁こうとするその姿勢と随分と時代錯誤な髪型に思わず宜野座は指摘する。
「…どうした、その頭」
恋人からの冷徹な一言に、狡噛が舌打ちをして内頬を噛んだ。
「酷いな」
――近くで見ると、余計に。
畳みかけるように宜野座は続けると、狡噛の隣に腰掛ける。
それを聞いて、「あ~ぁ」狡噛は背中を丸めると頭を掻いた。
「……海外でアジア系の髪扱える床屋なんざぁねーんだよ。
邪魔になりゃ自分で適当に切ってる」
悪態を吐いた狡噛は傍らの宜野座の結んだ髪の毛に指を絡めながら呟く。
「お前だって似たようなモンだろ」
最後に見た時は肩に掛からないくらいの長さだったと記憶しているが、今の彼の髪は肩よりも下に垂れている。
「そろそろ切ろうと思ってたんだ」
伸びた髪を肩の前に流して宜野座は答える。
「…同じ行動課のよしみだ、軽く梳いてやる」
密集した狡噛の後頭部を撫でて宜野座が目を細める。その顔は笑いたいのを必死に堪えているようだった。
*
「お前は良いよなぁ、真っ直ぐで。
そーやって縛っちまえば良いもんな」
亀裂の入った鏡に映る、恋人の姿を見ながら狡噛は呟く。
鏡を見つめたまま、背後に手を伸ばすと「危ない」ぱちりと宜野座に叩かれた。
「……お前のは、こう…犬のような…」
よく砥がれたナイフを使って細やかに狡噛の髪を梳く宜野座は相変わらず言葉の選び方が下手で「なにおう!?」狡噛が振り向く。
「…っ、危な…」
眉を寄せて言いかけた宜野座だったが、狡噛の反応を見て「覚えてないのか」小さく続けた。
「?」
首を傾げた狡噛に「前を向け」そう両手で頭を抱えて前を向かせると、無言でまた髪の毛を梳く。
狭い一室、無言の2人だったが、もともと宜野座も無駄な話はしなかったし、狡噛だってお喋りはしない方だった。——身体で語る、なんて下世話な事を言って狡噛が宜野座に殴られたのだって1度や2度ではない。
ただ2人とも沈黙には慣れていたから、特に困ったことはなかった。
暫くすると、
「——出来た」
宜野座はパンパンと両手を打ち鳴らす。肩に落ちた毛を払ってやり、狡噛に手鏡を渡すと
「おぉ! 良いな!!」
合わせ鏡越し、すっかりとボリュームダウンした後頭部を撫でて狡噛は満足げに頷いた。
宜野座は床に落ちた毛を纏めながら
「常守がこんな風に刈り上げてたから、参考にした」
不愛想に答える。
先刻からずっと無言の宜野座だったが、原因は不機嫌だった。もともと感情を出すのが苦手で、同じ顔ばかり続ける男だったが最近は表情を出すことも多い。久し振りに会えた恋人の前、可愛い素振りでも見せたいものだったが、其れを壊したのは恋人の言葉なのだ。狡噛も素直に謝れば丸く収まるものの、非を認めるのが得意な男ではない。
「……お前の観察眼も役に立つな」
狡噛は渡された手鏡を置くと、宜野座の腕を引っ張り強引に唇を重ねる。
下唇を舐めて食むと、宜野座は恋人を突き飛ばした。
「!?」
「…っとぉ」
粗悪な鏡に新しいひび割れを作って狡噛は口の端を上げる。
「——俺が、ギノの髪が好きだって言ったからだろ?」
したり顔を作った狡噛に、宜野座は端正な顔を歪ませる。
――それは、いつかの逢瀬の宵に狡噛が言った言葉だった。
腹上に乗った宜野座が『——ッ』果てて狡噛に被さる。同時に落ちた髪の毛がカーテンのように狡噛を覆い、至近距離の2人は世界から断絶された。
『もう少し我慢してくれ』
果てた恋人を気遣いつつ、己の欲を開放させるのに狡噛がまた腰を突き上げたのは別の話。
「…お陰で、メンテナンスオイル以外にもヘアーオイルにも詳しくなったし、霜月監視官からは何処のヘアケアがお薦めか、なんて関係ない相談をされるようになった。……大変なんだぞ、こっちは」
恋人の言葉に凄んだ宜野座だったが、
「それって……俺が滅茶苦茶に愛されてるってコトだろ?」
当の狡噛は上機嫌に笑った。
いつ会うか、なんて確証の無い関係なのに、こうして日々のメンテナンスを怠らずに保っていると言うことは――
続けた言葉に「……さっさと風呂で髪の毛落として来い!!!」怒声を浴びせられ、へいへい、狡噛は大げさに肩を竦める。けれど、直ぐに気を変えて
「一緒に入ろうぜ、ギノ。
狭いけど、日本の風呂ってやっぱ良いモンだぜ」
なんて言って、恋人の腕を掴んで浴室に引きずり込んだのだった。
*おしまい*
公安の裏回線を巧みに使った短いメッセージに宜野座は意図を読み取る。
――恋人からの連絡はいつだって突然で、そして自分勝手だった。
俺が仕事だったらどうするんだ?
文句を奥歯で噛み砕いて指定された場所に宜野座は向かう。
あまり治安の良くない地区の安宿の一室。
自分だと分かるような少し特徴のあるノックを宜野座がすると「入れ」低い声が耳に届いた。
ガチャリと旧式のドアノブを回すと、ベッドだけが置かれた簡素な部屋で狡噛がスプリングを撓ませ、長い足を放り出している。
「早いな」
愛用の煙草をもみ消した狡噛に「何の用だ」宜野座は短く返した。
「……恋人を呼ぶつったら――理由は1つだろ」
意地悪く笑った狡噛に宜野座は小さく溜息を吐く。
外務省管轄になった今でも、こうしたやり取りは公安の執行官と監視官の頃から1ミリも変わっていなかった。
「お前も日本に戻ってるって聞いてな」
ニヤリと口の端を歪めた狡噛の髪が妙に膨らんでいて、愛を囁こうとするその姿勢と随分と時代錯誤な髪型に思わず宜野座は指摘する。
「…どうした、その頭」
恋人からの冷徹な一言に、狡噛が舌打ちをして内頬を噛んだ。
「酷いな」
――近くで見ると、余計に。
畳みかけるように宜野座は続けると、狡噛の隣に腰掛ける。
それを聞いて、「あ~ぁ」狡噛は背中を丸めると頭を掻いた。
「……海外でアジア系の髪扱える床屋なんざぁねーんだよ。
邪魔になりゃ自分で適当に切ってる」
悪態を吐いた狡噛は傍らの宜野座の結んだ髪の毛に指を絡めながら呟く。
「お前だって似たようなモンだろ」
最後に見た時は肩に掛からないくらいの長さだったと記憶しているが、今の彼の髪は肩よりも下に垂れている。
「そろそろ切ろうと思ってたんだ」
伸びた髪を肩の前に流して宜野座は答える。
「…同じ行動課のよしみだ、軽く梳いてやる」
密集した狡噛の後頭部を撫でて宜野座が目を細める。その顔は笑いたいのを必死に堪えているようだった。
*
「お前は良いよなぁ、真っ直ぐで。
そーやって縛っちまえば良いもんな」
亀裂の入った鏡に映る、恋人の姿を見ながら狡噛は呟く。
鏡を見つめたまま、背後に手を伸ばすと「危ない」ぱちりと宜野座に叩かれた。
「……お前のは、こう…犬のような…」
よく砥がれたナイフを使って細やかに狡噛の髪を梳く宜野座は相変わらず言葉の選び方が下手で「なにおう!?」狡噛が振り向く。
「…っ、危な…」
眉を寄せて言いかけた宜野座だったが、狡噛の反応を見て「覚えてないのか」小さく続けた。
「?」
首を傾げた狡噛に「前を向け」そう両手で頭を抱えて前を向かせると、無言でまた髪の毛を梳く。
狭い一室、無言の2人だったが、もともと宜野座も無駄な話はしなかったし、狡噛だってお喋りはしない方だった。——身体で語る、なんて下世話な事を言って狡噛が宜野座に殴られたのだって1度や2度ではない。
ただ2人とも沈黙には慣れていたから、特に困ったことはなかった。
暫くすると、
「——出来た」
宜野座はパンパンと両手を打ち鳴らす。肩に落ちた毛を払ってやり、狡噛に手鏡を渡すと
「おぉ! 良いな!!」
合わせ鏡越し、すっかりとボリュームダウンした後頭部を撫でて狡噛は満足げに頷いた。
宜野座は床に落ちた毛を纏めながら
「常守がこんな風に刈り上げてたから、参考にした」
不愛想に答える。
先刻からずっと無言の宜野座だったが、原因は不機嫌だった。もともと感情を出すのが苦手で、同じ顔ばかり続ける男だったが最近は表情を出すことも多い。久し振りに会えた恋人の前、可愛い素振りでも見せたいものだったが、其れを壊したのは恋人の言葉なのだ。狡噛も素直に謝れば丸く収まるものの、非を認めるのが得意な男ではない。
「……お前の観察眼も役に立つな」
狡噛は渡された手鏡を置くと、宜野座の腕を引っ張り強引に唇を重ねる。
下唇を舐めて食むと、宜野座は恋人を突き飛ばした。
「!?」
「…っとぉ」
粗悪な鏡に新しいひび割れを作って狡噛は口の端を上げる。
「——俺が、ギノの髪が好きだって言ったからだろ?」
したり顔を作った狡噛に、宜野座は端正な顔を歪ませる。
――それは、いつかの逢瀬の宵に狡噛が言った言葉だった。
腹上に乗った宜野座が『——ッ』果てて狡噛に被さる。同時に落ちた髪の毛がカーテンのように狡噛を覆い、至近距離の2人は世界から断絶された。
『もう少し我慢してくれ』
果てた恋人を気遣いつつ、己の欲を開放させるのに狡噛がまた腰を突き上げたのは別の話。
「…お陰で、メンテナンスオイル以外にもヘアーオイルにも詳しくなったし、霜月監視官からは何処のヘアケアがお薦めか、なんて関係ない相談をされるようになった。……大変なんだぞ、こっちは」
恋人の言葉に凄んだ宜野座だったが、
「それって……俺が滅茶苦茶に愛されてるってコトだろ?」
当の狡噛は上機嫌に笑った。
いつ会うか、なんて確証の無い関係なのに、こうして日々のメンテナンスを怠らずに保っていると言うことは――
続けた言葉に「……さっさと風呂で髪の毛落として来い!!!」怒声を浴びせられ、へいへい、狡噛は大げさに肩を竦める。けれど、直ぐに気を変えて
「一緒に入ろうぜ、ギノ。
狭いけど、日本の風呂ってやっぱ良いモンだぜ」
なんて言って、恋人の腕を掴んで浴室に引きずり込んだのだった。
*おしまい*
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